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滝つぼに飛び込みながら、上京した


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滝つぼに飛び込みながら、上京した
記事:いはみどり(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「……行ってきます!」
 
わたしがそんな言葉を放ったのは滝つぼの上だった。
 
夏の思い出を作るために訪れたシャワークライミング。
名前だけ聞いてもピンとこなかったが、自分の身一つで川下りをするという遊びだ。
 
スリル、冒険は大好物!
サイトを見ただけでテンションもどんどん上がっていった。
 
そんな調子に乗っていたわたしは、すぐに絶体絶命のピンチを迎える。
 
全ては「飛び込みとかやってみた~い」という自分の一言が原因だ。
「さっき飛び込みをやってみたいって話があったんで、やってみますか!」インストラクターのお兄さんの声が耳に入ってきた。あ、やばい。
 
心中穏やかじゃないわたしを気にも留めず、お兄さんは滝つぼの上まで案内してくれる。
ずるっと足を滑らせ「ふぅ、危なかったぜ」なんて思いながら、小さな崖を登っていく。気分はまるで冒険家だ。あっという間に飛び込みスポットに到着し「あそこからお願いしますね~!」っとにこやかな笑顔。白い歯が眩しい。
 
「まって、まって、まって、これおわった。」
 
そこは高さ5メートルほどの岩場。
下には大きくたまった水場。
 
5メートルと言うと大した事ないように思えるが、体感は3階建ての学校の屋上から下を見下ろしているような感覚だ。お兄さんが飛び込み方法の指導をしてくれているが全く頭に入らない。
 
「誰から飛びますか?」
 
この声かけに対して
 
「わたしが行きます!」
 
手を上げてしまった。なぜだ
 
怖くて少し頭がおかしくなっていたのかもしれない。言ってしまった手前、後には引けないので「おおっ!」っという声とともに一歩ずつ足を進め、ついに飛び込み定位置に立った。
 
ここからはもう自分次第だ。
 
「あれ?この感じどっかで……」
 
滝つぼの上で自分と向き合っている時に頭をよぎった。
 
「 仕 事 を 辞 め ま す 」
 
あの時の上司のまん丸になった目が忘れられない。
 
それもそうだろう。自他ともに認める会社も仕事も大好きだったわたしから、出るはずのない言葉だと客観的に考えても思う。
 
伊豆の道の駅で広報という部署に配属され、仕事が毎日楽しかった。
職場が好きだから、それを広めることが出来るのは天職だな~なんて思いながら過ごした3年間。ある日、自分の仕事スタイルに疑問を持った。
 
業務にも慣れ人間関係も良く、職場に何の不満もない。ただ、限られた時間の中で広報をするために、もっと他に出来る事があるのではないか。もっと地元の良さを広めるにはどうしたら良いんだろう。悩んだ末、わたしは上京を考え始めた。
 
東京に行けば、最先端のマーケティングってやつを勉強出来るかもしれない!
 
そんな安易な考えだった。
 
ただ、生まれてこのかた伊豆から出て生活したことがない。
家を出たいとも思わなかったので1人暮らしもしたことがない。
 
東京へ行きたい!
でも、やっぱり怖い……
 
わたしの中の葛藤が生まれた。
 
「あ~、懐かしいな。」
 
滝つぼの上でわたしは思う。
 
転職をして上京するということは滝つぼに飛び込むようなものだ。
 
自分で決断をし、自分の意志で足を動かし、自分で新しい世界を見に行く。
 
「3・2・1」
「がんばって!」
 
少し離れた場所からお兄さんのカウントダウンと仲間の応援の声が聞こえる。
ドキドキとする鼓動を感じながら、覚悟を決めて「えいっ」とジャンプ。
 
バシャーン、ブクブクブク……
 
たくさんの水がわたしを包み込み、ふわっと水面へ持ち上げてくれる。
 
ぶはぁ、っと顔を出す。
 
「……飛んだ!!!」
 
笑顔で上の仲間に手を振りながら、なんとも言えない満足感にあふれていた。
水圧にやられてしまったのか、鼻水もあふれている。
でも、気持ちはとても晴ればれしていた。
 
足を踏み出すのはとっても怖いけど、怖いのは最初だけ。
 
上京する時、親に伝える瞬間もとても怖かった。
なんて言われるんだろうっとドキドキしていたけど、その不安も最初だけ。
 
「寂しいけど、応援してる!」
 
快く送り出してくれた。
 
「東京に行っても道の駅の広報は続けます!」
 
会社の送別会でわたしが言い放った。
どこで広報活動をするかも自分次第。
 
えいってジャンプして上京したおかげで、新しい出会いや発見もたくさんあった。
途中で岩にぶつかったり、水に飲み込まれて溺れかけたこともあったけど、その後には楽しいことがたくさん待っていた。自分で決めたことだからまったく後悔はしていない。
 
人生、飛び込むか飛び込まないかは自分次第。
 
どっちが正しいとかはないけど、もし迷っている人がいたら笑顔で言ってあげたいな。
 
「大丈夫、いってらっしゃい!」
 
 
 
 
***
 
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2020-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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