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いとしのたまじいさん


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:寺田 昌代(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
たまさんは19歳のチャトラの雄猫である。
 
人間の年齢に換算すると猫は1ヶ月で4歳になり、半年で14歳、1年で18歳
2年で24歳になる。その後は1年に4つずつ歳を取る。
したがってたまさんは人間の年齢だと92歳ということになる。
猫の平均寿命は14歳から15歳、なのでたまさんは平均寿命をはるかに超えている。
りっぱなじいさんだ。
 
92歳だが、元気で食欲旺盛。
ご飯の時間になると
「まだまだ若い者には負けられん」
とばかり催促の声が遠くからでも聞こえるくらいだ。
 
たまさんはカフェ内のこたつ付きの個室(ケージ)にいる。
掃除をしていると部屋から出てきて
「おぅ 今日もご苦労さん」
ってな感じでザラザラした舌で手や頬を舐めてくれる。
 
人が好きなたまさんは、カフェの営業日をとても楽しみにしている。
客あしらいが上手く、お客さんの膝の上がお気に入りだ。
たまさんが膝の上で気持ちよさそうに眠ってしまったため、滞在時間の延長をしたお客さんもいた。なかなかの商売上手でもある。
なのでコロナの影響でカフェがしばらく休業していた期間に少し老けた気がする。
 
昨年末から2月頃まで猫風邪が蔓延してしまった時も、年齢を考えてたまさんは真っ先にオーナーの家へ避難し、感染せずに済んだのだが
「わしは早くカフェに帰りたいぞ」(そう聞こえたらしい)
と毎日文句を言っていたらしい。
たまさんの風貌からすると本当にそういっているように見えるのだ。
 
たまさんは強い猫だ。
少々汚い話になるが、たまさんは便秘症だったため、病院へ連れて行くと溜まった物をかき出すという恐ろしい事(実際に見たことはない)をされるのだが、たまさんは何食わぬ顔でやってのけた。
最近は食事を改善し、薬も合ったものが見つかったおかげでしなくてもよくなっている。
 
ある朝、たまさんは食欲がなく、じっとして動かなくなっていた。
歳も歳なので、そんな事はあっても不思議はないのだが、一番心配するのはやはり病気である。この歳になるとまず初めにに腎臓が悪くなっている事を考える。
猫がかかる病気で一番多いのが腎臓病である。歳を取ればなおさら悪くなりやすい。
しかも悪くなってしまった腎臓は元には戻らない。人間と同じだ。
 
病院へ連れて行き様子を話すと、案の定「腎臓ですね」と言われた。点滴を受け、翌日の点滴の予約をして帰ってきた。やはり体がだるいらしくほとんど動かない。
 
「たまさん ご飯だよ」
夜ご飯を持って行ったがいつもの催促の声もなければ、目の前に出しても匂いを嗅ぐだけで顔をそむける。
これはおかしい。絶対変だ。あのたまさんがご飯を拒否するなんて。
すぐにオーナーへ連絡し、翌日朝いちばんで病院へ連れて行ってもらう事にした。
 
オーナーは覚悟をして血液検査の結果が出るのを待っていたそうだ。
「腎臓は正常値だったよ、この年齢でこの数値は悪くないよ でも白血球の数値があがってるね」と。
 
実はたまさん、夏に背中にできた脂肪の塊をつぶし、治りかけていたのだが、そこが化膿し、白血球の数値があがっていた。相当痛かったと思う。
たまさん、気づかなくてごめんね。などと感傷的になっていたら
先生はあっという間にメスを入れ小指の頭くらい開くと、中の塊を出したそうだ。
麻酔もせず、心の準備もなしに。
たまさんの年齢を考えると、麻酔は命取りになる。処置中になくなってしまうこともある。先生はたまさんの事を考え、麻酔をしなかったのだ。
しかしたまさんはこれに鳴きも、あばれもせずじっと我慢していたらしい。
病院から帰るとさすがのたまさんもすぐに眠ってしまったそうだ。
 
翌朝ご飯を催促する声が聞こえ、たまさんはもりもりご飯を食べたらしい。
前日にあんな大変な事をしたのに、すっかりいつものたまさんに戻っていた。
たまさんの回復力には先生も驚いていた。
 
私がボランティアを始めたとき、すでにたまさんはカフェにいた。なのでどういった経緯でカフェに来たのかは知らない。
でも若い時はみんなに信頼され、頼れるボス的存在だったのではないかと思う。
もし、話ができたとしたら武勇伝などを聞いてみたい。
 
たまさんがいるカフェは譲渡型だが、たまさんはもうどこへも行かない。
このカフェがたまさんの終の棲家だ。
来年の6月には20歳になる。
あと何年たまさんは部屋を掃除させてくれるのだろう。
ちなみに最も長く生きた猫のギネス記録は38歳、人間で換算するとなんと170歳!
たまさんもギネス記録を目指し、まだまだ長生きしてほしいと思っている。
そしてお客さんが大好きなたまさんのために一人でも多くの人に会いに来て欲しいと思う。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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