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私にとってのI love youを見つけるまで


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小北采佳(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「おはよう、今日も愛してるよ」
 
こんなことを言われたら恥ずかしくて思わずムズムズしてしまうような人も多いだろう。
しかし私の彼氏は毎日のようにこの「愛してる」メッセージをLINEで送ってくる。
そんな彼からの「愛してる」が、私の悩みのタネであった。
 
彼とは付き合ってもう2年になるのだが、付き合って2~3か月経ったころから、やたら愛してる愛してると言ってくるようになった。始めのうちは、付き合ったばかりでテンションが上がっているだけかと思ったが、付き合いが長くなってもその頻度は変わらない。
 
このことを友人に話すと、「彼氏って外国の人?」とよく聞かれる。「愛してる」などとストレートな愛情表現をしてくる日本人男性は、若い人の中でもまだまだ少ないためだ。
しかし、私の彼は生粋の日本人である。
友人からは、彼氏が淡泊なので自分のことを好きかどうか分からないとか、自分との将来を真剣に考えているのか不安になるという話を聞くことのほうが多い。そう考えると、毎日愛を伝えてくれる彼氏は珍しく、ありがたい存在だと思うのが普通だろう。
 
ところが、一つ問題があった。
私が彼に「愛してる」と言うことがどうしてもできないのだ。
私は「愛してる」という言葉になんとも言えない重みを感じており、日常生活の中で気軽に口にしづらかった。しかも、「愛してる」なんて相手に伝えることに対する気恥ずかしさがあった。
決して、彼のことを嫌いなわけではない。「好き」なら何のためらいもなく言えるのだ。
ただ、「愛してる」はどういうわけか言うことができない。
 
一方で彼のほうは「愛してる」を重い言葉とは考えていないようで、まるで「おう、元気?」と言うのと同じくらいの気軽さでバンバン使ってくる。どうしてこんなに気負わずに「愛してる」が言えるのだろうか。
 
彼から「愛してる」と言われるたびに、私は「愛してる」と言えない自分と直面した。そして「どうして私は好きな人に『愛してる』が言えないのだろう」と悩むようになっていった。
おそらく彼はもう300回以上私に愛してると言っているのに、私は一度も言ったことがない。そう考えると彼に申し訳ない気がしたし、私も「愛してる」と言わないといけないのではないかという義務感やプレッシャーが次第に大きくなってきてしまった。
 
しかしこんなことを友人に相談しても、単なるのろけ話と思われてまともに取り合ってもらえない。「あー、幸せそうでいいわねー」とあしらわれるばかりで、何のアドバイスも得られないままいたずらに時が過ぎていった。
そして、そんな私の心の負担を知るよしもなく、彼は私に愛を伝え続けてくるのだ。
 
そもそも、私はそこまで恋愛経験が多くないので、「愛してる」がどういう感情なのかちゃんと分かっていないのではないか。
そう思った私は、恋愛をテーマにした小説を片っ端から読んだり、ドラマを見たり、愛についてGoogle先生に聞いてみたりした。「愛」とは何か? という人類普遍の問いを考え続ける哲学者になったかのような気分であった。
 
そんな中、自分と同じように恋人に「愛してる」となかなか言えない女性の悩み相談記事をネットで見つけた。この記事を読んだ時は嬉しかった。それまで私の悩みにドンピシャの記事はあるようでなかったからだ。
 
その記事によれば、「一緒にいてラク」「ドキドキする」「楽しい」など、愛情表現にもいろいろある。「愛している」ではない別のしっくりくる言葉があるはずだから、自分の気持ちに近い言葉を考えてみよう、と書いてあった。なるほど、これは非常に参考になる。
 
私にとって、「愛してる」に代わる言葉は何だろう?
記事を読んでからというもの、そう考えながら日々を過ごすようになった。
 
そして、ついに私はその言葉を発見する。
ある日、ちょっと高級な調味料や食料品を扱っているお店の中をぶらぶらしていたら、おしゃれなパッケージのサバの缶詰があった。
それを手に取って、「おいしそう。あっ、これ彼に買っていってあげたいな」と思った。
そのとき、これだ! と感じた。おいしそうな食べ物を見て、彼にあげたいと思う感情こそ愛ではなかろうか。私にとって、「愛してる」よりしっくりくる愛情表現は「あなたにこのサバ缶買っていってあげたい」だったのだ。
 
これ以来、私は「サバ缶買ってあげたい」をはじめ、「愛してる」をより自分の気持ちに近づけた愛情表現をたくさん言えるようになった。そしてそれと同時に、「愛してる」に代わる愛情表現が世の中にはあふれており、いつの間にか自分が言ったり言われたりしていることにも気が付いた。
 
夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳した、というのは有名な話だ。
きっと夏目漱石も、彼にとって一番しっくりくる愛情表現を考えてこの言い方にたどり着いたのではなかろうか。私自身がいろいろと悩み、自分にとっての「I love you」の訳を手に入れた今は、以前より「月が綺麗ですね」が素敵な表現だと感じる。
 
みなさんも、自分にとって一番しっくりくる「I love you」を考えてみてはいかがだろうか?
 
 
 
 
***

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2021-01-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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