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美人じゃなくてもいいんです

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櫻井さん 美人

 

記事:櫻井るみ(ライティング・ゼミ)

 

私は美人じゃないと思う。客観的事実として、そう思う。
私の顔は、女優やアイドルのように今の時代に合った「可愛い・美人」と言われる顔ではない。
時代を超えて美しいと言われるモナ・リザのような不変的な「美しさ」を持つ顔でもない。当然ながら。

外見、特に顔にコンプレックスを持つ女性は多いと思う。
体型は努力次第で如何様にもできるけど、顔は基本的に変えられないからだ。

ご多分に漏れず、私も自分の顔が嫌いだった。
ブスだと思っていたし、小学校高学年から中学生くらいにはそのことでたくさん嫌な目にもあった。
外見で優劣が決まっていた年頃。
そしてそれをあからさまに態度に出してしまうという残酷な年頃。

もちろん、その当時好きだった男子には振られまくったし、その男子には可愛い彼女がいたということもざらだった。

振られるということはそれだけで自分の人間性まで否定されたかのような絶望感を味わう。

「私はブスだから一生結婚できないかも……」

多感な中学生女子がそう思ったとしても何の不思議もない。

それが覆されたのは高校2年生の時だった。
初めての彼氏が出来た。
嬉しかった。
好きな人に同じように好きでいてもらえるという喜びを初めて知った。
その彼とは後にお別れしてしまったけれど、「彼氏が出来た」「彼氏がいた」という事実は、私の中で大きな自信になった。
でも根本的に自分の顔へのコンプレックスがなくなったわけではないので、その自信は「私はブスじゃない」というよりも「ブスでも彼氏が出来る」というものだった。

大学生になってからはそれなりに外見の飾り方を覚えたこともあり、何人かの男性とお付き合いもしたし、社会人になってからは後に夫となる彼と出会い、現在に至っている。

そして、私は決して多くはない自分の男性遍歴の中で気付いたことがあった。

「もしかしたら私は、ある特定の男性にはウケるのかもしれない……」と。

世の中には万人にはウケないけれども、一部の人には熱狂的にウケるものがある。
例えて言うなら、タモリ倶楽部のオーディオ機器の回のときのような。

私はタモリ倶楽部が好きでよく見ている。
大抵は最初から最後までちゃんと見るけれど、どうしても興味を持てない回があった。

それがオーディオ機器の回だ。

誰がゲストだったのかは覚えていない。タモリさんを含めた4人くらいで都内のどこかのオーディオ機器のお店で、スピーカーがどうの音響がどうのと延々話していたような気がする。
そもそもタモリ倶楽部はマニアックなものを取り上げる回が多いけれども、鉄道の回とか坂道の回とかは楽しんで見ていた。
だけれども、オーディオ機器の回ははっきり言って全く面白くなかった。
オーディオ機器に全く興味を持てないのだから面白いわけがない。
「今回はハズレ回だなー……」と思いつつ、そのときは見ていた。

ただ、私にはワケの分からない用語で熱っぽく語る4人を見て「マニアってすごい……」と感心したことだけは覚えている。
だからこそ、その回のときのマニアっぷりが今でも印象に残っているのだと思う。

そう。
どんなものにでもマニアはいる。
それは人に対してだって例外ではない。

思えば歴代の彼氏に「顔が直球ど真ん中で好みだった」と言われたことはない。
もちろん、「可愛い」と言ってもらったことはある。だけれども、それは付き合い始めた後からのことで、恋の始まりが「顔が可愛かったから」といったことはなかった。
彼らは「顔」よりも「言動」や「反応」に惹かれていた。
さらに夫に私のどういうところが好きか聞いたときも「男らしいところ」と言われたこともある。意味が分からない。
それはそれで嬉しくはあるけれども、そういう答えを求めていたわけではない……。

ただ、夫及び歴代の彼氏のことを考えると、これだけは分かる。
彼らは私の「顔」以外の「何か」に反応して、私のことを好きになってくれた。
個々人よって、その「何か」はきっと違うと思う。
が、他の男性が見ることのなかった「何か」を彼らは見付けたのだ。
そして、そのマニアっぷりを遺憾なく発揮しているのが夫なのだろう。

だから、もし今「モテない」と悩んでいるとしたなら、そういうマニアを見付けてみればどだろう。
ストレートな「可愛らしさ」を好む男性ではなく、あなたの「尖った個性」を好いてくれるマニアックな男性を。

私は今でも自分のことを美人だとは思っていない。けど、「ブス」とも思わなくなった。
もはや顔の美醜は問題ではなくなった。
私にとって「マニア受けする」という事実は、長年のコンプレックスを無効化するくらい大きな自信になった。

万人にモテようと思うから、顔の美醜が気になる。
自分の欠点が気になる。
自分よりも可愛いと思う人が気になる。

万人にモテる必要なんて本当はないのだ。たった一人のマニアを見つければいい。

どんなものにでもマニアいるし、マニアはいつまでも飽きないのだから。

 

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2016-01-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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