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リカちゃん人形とリアルりかの自己一致

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
 
記事:あべ りか(ライティング・ゼミ集中コース)
 
「女の子が生まれたら、『リカ』と名付けよう!」
 
「なんて迷惑な名前を……」
そう思い始めたのはいつの頃からだろう。
初代リカちゃん人形の開発に携わった父の思いから、「りか」と名付けられた。
 
このことを知る人は、「えー、いいなぁ」って言う。名前負けしないために頑張らなきゃいけないわけであって、結構なプレッシャーである。
 
会って間もなく、私の名前の由来を知った人は、幼い頃持っていたリカちゃんを私に投影することが多かった。無意識だとわかっているが、自分の存在がいなくなる感じが嫌で、若い頃は自分からは決して言わなかった。
 
歌舞伎役者の人は「どうして俺、この家に生まれて、この名前を襲名するんだろう……」って思うのだろうか。芸能の場合は、家柄のみならず、個人的な技能の能力からも襲名の判断もなされるからそれなりの努力が必要であろう。
 
でも、リカちゃん人形にちなんで名付けられた生身のリアルりかはどんな努力がいるのだろう。
 
リカちゃんの現在のプロフィールは、「明るくてちょっぴりあわてんぼう」らしい。私はあまり、明るくはない。あわてんぼう、と言うより、ぼーっとしている。
 
リカちゃん人形は永遠の11歳、お肌ピチピチ、スタイルよし。生身のリアルりかは外見だけでも、シミ、シワ、肌荒れ、体重管理、更年期と問題が山積している。
 
誕生してから約50年、リカちゃん展など文化的なレベル感のこの存在には勝てない。いや、勝負する感覚自体がおこがましい。私はどうあるべきなのだろう。
私がリアルりかだ、とわかった人にとって、ダメージがないようにしておくのが礼儀な気がした。
だからだろうか。イメージコンサルタントという不思議な職業を選んでしまった。
 
イメージコンサルタントとは、一個人や企業のブランド価値の最適化をサポートをする職業である。
具体的には、
Appearance:外見―洋服、ビジネスアイテム、ヘアメイクなど
Behavior:立ち居振る舞い―プレゼンテーション、話し方など
Communication:コミュニケーションスキル―ビジネス/テーブルマナーなど
ABCの3つの視点からその人の特性や目的に合わせて、アドバイスをしていく。
 
国際資格を取り、人にコンサルティングをすることはできるようになった。リカちゃんのイメージにダメージを与えないまでに、体裁を保つことはできるようになっていた。
 
しかし、リアルりかという着ぐるみを着ている感覚とまでは言わないが、自分というものが見えなくなる感覚に襲われる時があった。それは、姿を映した鏡の中に見えるはず自分が見えない、洋服だけが映っている感覚だった。
 
ゲームオーバー。
 
ラスボスのように、リカちゃん人形の存在は大きく、一から「自分探し」の旅に出ることにした。
 
戦略を変えなければいけない。
 
リカちゃん人形のキャラクターはミッキーマウスやドラえもんのように一定のキャラクターができあがっている。私自身が人間である以上、四六時中、着ぐるみ的にリアルりかとしてのイメージを纏うことは無理である。
 
着ぐるみ的なキャラクターではなく、戦うごとに成長するキャラクターなら私自身も存在できるのではないか。
 
鬼滅の刃、ワンピース、ガンダム、戦いながらそれぞれの個性を伸ばしながら、心理的に成長している。
最終的に自分の内面に向き合うためにカウンセリングのスキルを求めて、40歳過ぎてから4年ほど旅に出た。
 
ようやく生身の人間へ
幼い頃から「私に縛られない私らしさって何?」禅問答のような考えがどこか頭にこびりついている。クリアしたと思っても、ゾンビのように立ち上がってくる。
 
「私がオリジナルだ」言い張ることに何の意味があるのだろう。
 
戦いながら気づいたことは、卑屈な自分も、傲慢な自分も、やけ食い・飲みする自分も全部私だった。猪突猛進で頭打ちする自分も、ストレスでボロボロになる自分も、不摂生で中年太りする自分もそこにいた。
 
炭次郎も、ルフィも、アムロも、敵と戦いながら自分と戦っている。そして実在する同世代のイチローが頭をよぎった。イチローは、目的・信念のための選択の積み重ねがイチローという人間を作っている。
 
「リアルりか」という存在が腑に落ちた。
人間らしいリアルりかでいいんじゃないか。
 
「自分らしさ」ってある種の幻想かもしれないと気づいた。
 
「自分らしさ」って、その時の選択・判断の積み重ねの集大成なのだと理解し
た時、ようやく鏡に私が映った気がした。
 
リアルりかは、私が心地よいと判断する・自分の信念に沿って選択したそのさきにあるものなのだ。
 
4年の旅の甲斐あって、外見的な面からも、心理的な面からもクライアントをサポートできるようになった。
 
戦い続けると、敵ながらにアッパレ、と思うことがある。
リカちゃん人形は大きな存在で、近過ぎて、いつも笑っている彼女が羨ましかったのかもしれない。
 
私は今「しなやかに・軽やかに・しなやかに・微笑みとともに」というVisionを持ってコンサルティングをしている。
 
動くりかちゃん、話すりかちゃんがいることで、当時の夢を思い出したり、本来の自分を取り戻してくれるきっかけになればそれでいい。私の存在が会話のきっかけになったり、喜んで、笑顔でいてくれるならもうそれでいいと思えるようになった。
 
父が当時の女の子にリカちゃん人形を通して夢を与えることができていたならば、私はその夢をサポートできる人間であろう。
 
そう思って、デスク横のリカちゃん人形に毎朝、微笑みかけるのである。
 
 
 
 
****

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2021-03-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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