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優先順位を間違えてはいけない


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:寺元 哲(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「まさか、、、ボタンが留まらない!?」
 
週末の夜遅く、40近くにもなる男がジーンズのフロントボタンを留められなくて鏡の前で右往左往していた。冷や汗をかきながら一生懸命ボタンを留めようと格闘しているのだが、どれほど頑張っても、ジーンズのボタンとボタンホールの間には、つめきれない数センチの距離があった。
 
1週間ほど前、いつも利用しているブランド品を安く購入できるサイトで、私は一着のジーンズと出会った。インディゴブルーと呼ばれる深く濃い青色がとても印象的なジーンズで、ほとんど一目惚れだったのだが、値段が半額になっているとはいえ、ふだん購入するリーバイスやリーの2倍以上するそのジーンズを前に、買おうか買うまいか1時間以上逡巡していた。
 
服を買う時はひとりで考え込みたい私は、いつの頃からか話しかけてくる店員さんが煩わしく感じるようになっていた。だから、オンラインショップで服を買うことの気楽さに気づいてからは路面店で買うことはほとんどなくなってしまったのだが、時々やらかすことがある。サイズ選びに失敗するのである。販売サイト上のサイズ表を見て、製造元のサイズ表まで確認して慎重に選んだはずが、数回に一度は失敗するのだ。だから、今回は両方のサイトで何度もサイズを確認するだけではなく、そのジーンズをはいている人たちの情報をグーグルで片っ端から検索するほど念には念を入れたのである。
 
そして、満を辞して「購入する」のボタンを押し、商品が到着するのを今か今かと待ち構えていた。それがつい2〜3日前、ようやく手元に届いたのだ。
 
最悪の場合は返品可能な商品なので、それほど考えこむ必要はないのだが、今回購入したジーンズは本当に色合いがよかった。惚れ惚れするようなインディゴブルーのジーンズを袋から出し、ワクワクしながら鏡の前で試着を始めた。片足を入れ、もう片方の足を入れる。そして、少しずつジーンズを上にずり上げて行くのだが、嬉しいことに、サイトで見て想像していた以上にローライズで綺麗な型のパンツだった。
 
ローライズのパンツは腰あたりでボタンを留め、「腰でジーンズを履く」ことになる。だから、足がスッキリ格好良く見える。メンズものではローライズのパンツに出会うことが少なくなっていたので、本当に嬉しかった。鏡に映った顔は、相当にやけていたと思う。
 
「なんだ、このジーンズは! なんて綺麗なシルエットなんだ!」
 
もう気持ちは最高潮だった。鏡に映ったジーンズを履く自分を眺めてうっとりしていた。まさか、そこから地獄のような30分を過ごすことになるとは思いもせずに・・・。
 
ん?
ボタンが、、、
まさか、、、サイズを間違えて購入したのか!?
 
私はいつも29インチのジーンズを履いており、今回の購入したジーンズも、29インチを履いている方は同じサイズで問題ないという表記を確認済みである。1週間前、さんざん確認して購入ボタンを押したのだ。ジーンズについているタグを見ても、間違いなく29インチと印字されている。
 
おかしい。試しに持っている29インチのジーンズを履いてみたが、どれもぴったりというよりむしろ、最近運動していた分だけ腰回りがゆったりしている。ジーンズ生地は履いているうちに少し伸びるので、履き古したパンツが少し緩んでいる可能性があるとはいえ、今回購入したジーンズは、どれほど頑張って留めようとしてもフロントボタンとボタンホールの間に数センチの距離がある。
 
まるで、織姫と彦星のようである。年に一度、雨が降っていない七夕の日にしか会えず、儚い距離をあけていつも見つめ合っている。ボタンとボタンホール。なぜ結び合ってくれないのか。
 
さらに、ジッパー式(ジップフライ)ではないことがさらに事態を悪化させた。皆さんの中にも、ジッパーをあげることでなんとか服に身を包んだことがある方がいらっしゃるのではないだろうか。ジッパーを徐々にあげることで間を詰めて、最後になんとかボタンをボタンホールに押し込むあの方法である。しかし、オシャレさにこだわったそのジーンズは5つのボタンが縦に並んだボタンフライ式で、その最終兵器が使えなかった。
 
困った。非常に困った。想像するだけでも顔から火が出そうだが、40近くにもなる男がひとり、ジーンズのフロントボタンを留めるのに必死で、鏡の前で右往左往していた。
 
一旦落ち着こうと購入したサイトの前に戻ってきた。ひょっとすると、30インチのパンツがまだ売れ残っているかもしれない。運が良ければ、交換してもらえるかもしれない。だが、世の中は無情だ。なぜか、30インチのサイズだけが売り切れているのである。返品して新しいものを探すか、それとも29インチのこのパンツに見合うだけのトレーニングをするか。選択肢はその2つしかなかった。
 
だが、ジーンズの魅力には勝てなかった。
あと数センチを埋めるために、私は茨の道を選ぶことにした。
 
そうと決まれば早かった。気持ちが変わらないうちに、裾上げしてしまうことに決めた。「ママのリフォーム」のお店に持って行くと、なんと翌日までには仕上げてくれるという。残念ながら私の体型を翌日までにスリム化することはできないが、それでもその店員さんのハキハキした受け答えに、自分の体型もテキパキとスリム化してくれそうな気がしてきた。
 
そしてその時、私は悟ったのだ。30歳も半ばを過ぎた頃から体型維持の難しさに何度も挫折していたにもかかわらず、たった一着のジーンズがすべてを解決してくれようとしていることに。どれほどエクセサイズの目標を立てて実行しても、結局目の前のビールに負けつづけたこの数年間はなんだったのだろうか。
 
だから、「ダイエット」にチャレンジしたことがあるすべての方に声を大にして言いたい。まずは、欲しい服を買うことが先決だ、と。後回しにすると、絶対に達成できない。自分がスリムになってから着たいサイズの服を買うのと、先に服を買って自分を服に合わせてスリム化するのでは、費用対効果や時間対効果が絶対的に変わるであろうということを。
 
こうして私の、「29インチの腰パンを履けるようになるためのプロジェクト」が、今始まろうとしている。
 
 
 
 
***

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2021-04-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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