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手書きのメッセージはデジタル社会でも色褪せない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:えんどうみき(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
世の中のデジタル化が進んだ昨今。
 
スマホを使えば、友人との待ち合わせもできるし、目的地まで案内してくれます。他にも自分が忘れかけていたタスクをちょうどいいタイミングで思い出させてくれます。
 
パソコンを使えば、長めの文章も手の負担が少なく書けるし、図や表も綺麗に描けます。最近は、パソコンを使ってリモートワークをする人も増えました。場所と時間に制約を受けずに柔軟に働くのがひとつの働き方としてピックアップされるようにもなりました。
 
生活する上で、スマホとパソコンはなくてはならない存在です。日常を振り返るとデジタル化の恩恵を受けているな、と感じます。この文章もまさにパソコンでカタカタとパソコンの文字盤を打って書いています。
 
ここ1年、私が働く会社でもリモートワークが推奨されるようになりました。
 
「出社率は30%以下に抑えること」
 
緊急事態宣言が発令されると、そう会社から言われたため、よっぽどのことがない限り会社に行くことはなくなりました。リモートワークになり通勤のストレスがないこと、自分ひとりで完結する作業の場合、集中しやすいことからリモートでの働き方を堪能していました。
 
強いて不便を言うならば、同じ部署内のメンバーとコミュニケーションが取りにくくなったことくらいでした。自分が家で仕事をする日は、他のメンバーが出社。逆に自分が出社した日は、他のメンバーは家で仕事。顔を合わせる機会は少なく、コミュニケーションはチャットや電話がメインとなっており、表情が見えないコミュニケーションに寂しさや物足りなさを感じていました。
 
そんなメンバーと会えない日々が続いていたある朝のこと。寂しさや物足りなさを吹き飛ばし、優しい気持ちになる出来事がありました。
 
それは、自分のデスクの上に置いてあった1枚の紙を見た時です。手に取るとそこには、太くて丸い字が紙いっぱいに書かれていました。
 
「今日はひとりで出社かと思います。何かあればいつでも電話をくださいね」
 
それは、同じ部署の男性上司からの手書きのメッセージでした。自分のお父さん世代の方。普段は寡黙で近寄りがたい方からのメッセージです。
 
確かに部署内ひとりで出社のときは緊張します。別部署の人から声をかけられた時の対応はもちろん自分。出社している以上は、「部署の顔」として1日を乗り切る必要があります。もちろんチャットや電話で他のメンバーに頼ればいいものの、何回ひとりで出社する経験をしてもドキドキはするものです。
 
そんなときにデスクに置かれた手書きのメッセージ。痺れました。そして、ちょっと癖ある太くて丸い字から、上司の不器用さも垣間見れて嬉しく思いました。その日、その手書きのメッセージを励みに仕事ができたのは言うまでもありません。助けられました。
 
 
ちなみに、私がはじめて手書きのメッセージをもらったのは小学3年生の時でした。それは、大親友のサヤカちゃんからの「ごめんね」と書かれたお手紙でした。サヤカちゃんとは、いつも一緒。小学校ではクラスが違っても休み時間は一緒。学校以外でもスイミングスクールや習字といった習い事が同じだったため、たくさんの時間を一緒に過ごしていました。
 
しかしある時、サヤカちゃんが私の長い髪の毛を引っ張ってくることが増えました。本人はおそらくお遊び半分だったと思います、しかし、私は嫌だったのです。自分の口から「やめて」と言えば良かったものの、言うのが怖くて結局言えませんでした。最後には習い事を辞め、関係性に距離ができてしまいました。
 
「また仲よくしたいけどな……」
 
あれだけ仲良かったのに、お互いに気をつかう日々。仲直りをしたいけれども、きっかけが見つからない。そんなときにもらったのが、「ごめんね」の手書きメッセージでした。
 
読むと、「かなしくさせてごめんね。また仲よくしたいです」と用紙いっぱいに言葉が書かれていました。
 
そして、よく見ると、何度も書き直した筆跡が薄く残っていました。消しゴムで消したけれど、消え切らなかったのでしょう。
「ごめんね」「つたえるのが、おそくなってごめんね」
 
書き直しているの、バレてるよ。
力を入れて書いたのかな?
消したはずのメッセージが見えちゃっているよ。
 
そんなことを思いながら読んでいると、笑っている自分に気がつきました。メッセージを読みながら、相手に対して「許し」の気持ちが自然とわいていました。
 
むしろ、自分の気持ちを言葉で伝えずに、距離を作ったことを後悔しました。自分も「ごめんね」をすぐにでも伝えたくなりました。そして自分もまた、鉛筆を使ってサヤカちゃんへのメッセージを書いては、「ちょっと違うかな?」と書いては消し、ベストな言葉を探しながら書きました。書き切ったころには、自分の気持ちが整理されていました。
 
仲直りのきっかけは、手書きのメッセージでした。手書きのメッセージを送り合うことによって、関係性が修復されたのです。助けられました。
 
冒頭でも伝えたように、デジタルにはデジタルの良さがあります。実際、日常の中で恩恵を受けることが多々あります。デジタルはデジタルで大事。しかし、手書きのメッセージにはデジタルには表現できない奥深さがあります。
 
言葉を受け取ったときに感じる、字体から伝わる人柄。
文字の大きさから伝わる気持ちの大きさ。
何度も書き直したあとから見える迷い、優しさ。
 
相手へ言葉を綴りながら感じる、自分の思い。
相手に対する大事にしたい気持ち。届けと思う願い。
 
子どものころからずっと。デジタル化が進んだ今でもずっと。
手書きだから届く思いは間違いなくあると私は確信しています。
 
そうだ、今日は母の日。
手書きのメッセージを母に贈ろう。
 
 
 
 
***

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2021-05-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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