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【女子大生がハマったクスリ紹介します】ほら、一度だけ試してみない?

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記事:ほなみさま(ライティング・ゼミ)

またひとり捕まった。
違法薬物を使っていた本人だけじゃなくて過去に交際していた女性や、奥さん、よくわからない元同僚なんかもとり上げられて、ワイドショーは大盛りあがり。
この流れを今年に入ってから何度みたか……そろそろうんざりしてきた。というか飽きた。
使っちゃダメって小学生のときに習ったじゃん、断り方の練習までさせられたじゃん、もう何してるんだよ。

だけど、そんなこと彼らに言える立場じゃないのかもしれない。
実は私自身、とある“クスリ”に中毒的にハマっている。

「A大学からきました、ほなみです。好きな言葉は『てきとうに』です」

就職活動ではじめて参加したグループワーク、
「名前と『すきな言葉』を、ひとりずつお願いします」
社員さんのこの言葉から始まった。

10人ほどの学生が時計回りに答えていく。
座った位置的に、私の番は最後になった。
それなら他の学生が答えたみたいに“それらしく”言えばいいや! なんてずるい気持ちで聞いていると、
「一石二鳥」「継続は力なり」などの四字熟語やことわざ、恩師にもらった言葉、中には東南アジアに長年住んでいた経験から日本語にはない意味を持つ単語を披露する学生もいた。

ああ、もうお手上げだ。

私はボキャブラリーが少ない。知る限りの“それらしい”ことわざ・慣用句は言いつくされた。
恩師に貰った言葉……「顔と偏差値は反比例?」
いけないいけない。こんなのただの偏見だ。というかそれ中学生に言っちゃう先生、どうなんだよ。
海外経験もあるっちゃあるけど、幼い頃で記憶は無くて、覚えている単語なんて大学受験レベルの英単語。

どんどん私の番が近づいてくる、さっきまでの余裕はない。
言葉なんて思いつかない。心拍数だけが上がっていく。
無理無理無理無理無理……

そんな真っ白になった頭からでたのが「てきとうに」だった。

「てきとうに」は父がくれた言葉だ。
高校の定期テストのために徹夜しているとき、センター試験に向かう朝、大学に入ってからも口癖のように父は「てきとうに」と言う。
その口癖を、わたしは思わず口走ってしまった。

「てきとう」そう聞くと多くの人はだらしない印象を持つ。
実際に、この自己紹介のときは他の学生から、こいつ大丈夫か? という視線を送られ、社員ですら半笑いしていた。
辞書で調べてみても、
「やり方などが、いいかげんであること。また、そのさま。悪い意味で用いられる。」
と出てくる。
感情的だけじゃなくて、辞書的な意味でもよい印象をもたれない「てきとう」
ここまで嫌われる「てきとう」

だけど、「てきとう」はただの悪者ではない。

「ある条件・目的・要求などに、うまくあてはまること。かなっていること。ふさわしいこと。また、そのさま。」
こんなにしっかりとした意味だって持っている。
型にうまくあてはめることができるなんて、それだけで100点満点じゃないか。

私はここまで悪い印象と、良い印象を同時にもつ言葉を他にしらない。
さらにこの2つの印象をたし算してみると、こんな意気込みにならないだろうか?

「いいかげんでいいんだ、ちからを抜いていいんだ、そんなテンションだけど、まあうまくやってみよう」

緊張すればするほど、から回ってしまう。
誰もがそんな経験をしたことがあると思う。
逆に、肩の力がぬけてリラックスしているとき、一番集中できていることはないだろうか。
「てきとうに」はそんな状況を作り出してくれる。

昔は「どうして人が真剣にならなきゃいけない時に、そんな言葉でちゃかしてくるんだ」といつも「てきとうに」と伝えてくる父の自由さにあきれている時期もあった。

だけど今は違う。

「てきとうに」は最善のシチュエーションを生む、一番心のこもった応援であり、言葉の“クスリ”だ。
そう気づいてから重要なときには、必ずこころの中で唱えるようになった。
それだけ「てきとうに」は私にとって大切な言葉だ。

……こんな理由を述べて“最強に人聞きの悪い言葉”を好きだと宣言する、イチかバチかの自己紹介を終えた。

本来、応援するときには「がんばれ」、親が子に教育をするとすれば「てきとうに」じゃなくて「まじめに」と伝えると思う。

これらの言葉は立派であり、正統派、人聞きがよくて、誰から見ても否定的な感情をうまない。
だけど、その“立派さ”のあまり、人をがんじがらめにしないだろうか。

「がんばれ」と言われたら「がんばらなきゃいけない」
「まじめに」と言われたら「みっともないことがないように、真面目にしなきゃいけない」

そうやって自分自身を奮い立たせたとする。
「がんばれ」「まじめに」と言ってくれる人の期待に応えようとする。
責任感が強ければ強いほど、この期待の壁をこえようとする。
だけど、これらの言葉は“立派さ”のあまり、大きな壁となってプレッシャーは増えていく。

そんな気持ちで、万全の状態はうまれるのかな、
人は実力を発揮できるのかな。

だからこそ私は伝えたい。
がんばらなくていいんです、真面目じゃなくてもいいんです。

「てきとうに」いきませんか?

頓服薬
壁が立ちはだかってプレッシャー大きい 様
お薬は「てきとうに」1種類です
[用法]いつでも心の中で唱えてください(声に出して叫ぶことも有効)
[回数]何度でも

 

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2016-07-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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