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オタクって、なんであんなに貧乏くさく見えるんですかね?(貧乏だとは言ってない)


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記事:染宮愛子さま(ライティング・ゼミ)

「オタクって、なんであんなに貧乏くさく見えるんですかね?」
「ほう、また随分と差別意識にまみれた質問をしてくるね、君は」
「だって、そう思いません? オタクっていうとまず思い浮かぶのがセンスの悪いチェックのシャツ姿で、スリでも手を出したくないヨレヨレのリュックサックに変なポスターつっこんでるみたいなイメージあるじゃないですか、あれってまさに『ザ・貧乏』だと思うんですよ」
「そのステレオタイプを信じている君の頭が心配になるんだが……まあいい。それで、君は彼らが貧乏だと思っているんだね?」
「少なくとも、お金持ちじゃないなーと思ってます」
「せいぜい2話か3話しか入っていないのに1枚7,000円近くするアニメDVDを毎月何本も買いあさっていても?」
「それしか楽しみないんでしょうし」
「興味ない人からしたらゴミでしかない、キャラクターがプリントされただけでひとつ数千円するグッズを集めていても?」
「しゅ、趣味は人それぞれですし」
「夏と冬で開催されているコミックマーケットで28ページ500円のパンフレットみたいな本を数十冊単位で買いあさっていても?」
「なんでそんなに詳しいんですか!」
「スマホのゲームで目当てのキャラを引き当てるために毎月何万円も課金していても?」
「……あーもう、わかりましたよ! 謝りますよ! 彼らは貧乏じゃないんでしょ、わかりましたって!」
「うん。少なくとも彼らは『貧乏』とは限らないね。むしろ、彼らにしか支えられない市場が成り立っている以上、それなりにお金がある可能性の方が高い。ただ」
「……ただ、何ですか」
「君は最初に『オタクは貧乏くさく見える』と言ったね? 確かに、彼らが『貧乏くさく』見える面はある。さすがに君の偏見ほど尖った服装をしているオタクは秋葉原の一角にのみ生息する絶滅危惧種となったが、そうでないオタクたちも、どこか貧乏くさいオーラを発していることは事実だ」
「何でなんでしょうね? 洋服にかけるお金を全部つぎ込んじゃってるから、とか?」
「それも一理あるだろうな。だが、腐女子と呼ばれるオタクの女性には服装に気を使っている人たちも多い。コスプレイヤーなどは普段から美に磨きをかけているし、コミケにはオシャレな女性も増えてきた。しかし、彼女たちでさえ、どこかに拭い去れぬ貧乏オーラが漂っていることはある」
「うーん……なんでだろう? 私には分からない世界ですけど、休日を費やせる趣味があって、お金もあって、ストレス解消もできる人たちなんですよね」
「そこだよ。答えは今、君が言った言葉に隠れている」
「え? ストレス解消ができるから?」
「その前」
「休日を費やせる趣味があって、お金もある」
「その前」
「……私には分からない世界?」
「ビンゴ!」
「どういうことですか? 私たちが彼ら彼女らの世界がわからないのが原因?」
「逆だよ。彼ら彼女らは『自分たちの世界は分かってもらえない』という前提の下で生きているんだ。何をしても分かってもらえない、好きなものは常に否定される、自分たちは虐げられる人間だ……そんな被害妄想が、彼らの心の奥深くに根付いてしまっているのさ」
「言われてみれば……私の知り合いにもオタクっぽい子いますけど、なんか斜に構えてましたね。『一般人にはわかんないだろうけど』『どうせオタクだってバカにするんでしょ』って決めてかかってるような」
「実際、ほんの20年、30年前のオタクは犯罪者予備軍のような扱いをされていたからね。マンガやアニメ、ゲームが今ほどの知名度も市場もなかった……はっきり言えば世間に認められていなかった時代はあった。その当時を生きていたオタクたちには、世間は敵にしか見えなかっただろう」
「でも、今は違いますよね。マンガ原作のドラマとか映画とかいっぱいありますし、マンガ読んでてもゲームやってても普通ですし、マンガからリーダー論を語るみたいな、便乗しまくりビジネス書も出てますし」
「価値は移り変わるものだ。製造業で頭打ちになった人々がソフトやコンテンツに目を向けるようになり、マンガやキャラクターといった二次元コンテンツが積極的に市場に出てくるようになった。『萌え●●』がいい例だね。オタクたちが抱いていた疎外感、『好きなものがバカにされる』という苛立ち、自分の好みに対する罪悪感は今の時代には合わなくなってきている。しかし、オタク世界を覆う被害者意識はそう簡単に拭い去れるものではない」
「つまり、本当に被害者だった時代に作られた被害者意識が今も尾を引いている?」
「そういうことだ」
「……でも、それが貧乏くささと何の関係があるんですか?」
「被害者意識に染まった人間にお金は集まってこないんだよ」
「?」
「叶姉妹を思い出してごらん。もし彼女たちが自虐キャラだったら、今のようなゴージャスな生活をしていたと思うかい?」
「思わないですね。そもそも、叶姉妹に自虐は似合わないです」
「なぜ?」
「だって彼女たち、何で稼いでるかさっぱりわかんないんですもん。確かにおっぱい大きいし、スタイルはいいと思いますけど、絶世の美女ってわけじゃないし……あれで自分に自信がないとか言い出したら張り倒したくなりますよ」
「そう! そこなんだよ。被害者意識が強いオタクたちは自信がない。言い換えれば、好きなものを好きと『オタク仲間以外に』言うことができないんだ」
「確かに、同じONE PIECE好きでも、イケメンでモテまくりの人は積極的に『俺、ONE PIECE好きなんだよね』って言うのに、オタクは『じ、実はONE PIECEが好きで……』って口ごもってます」
「ONE PIECEのような超有名マンガでも、深夜アニメでも同じだよ。自分に自信のある人は『自分が好きなもの』を何のためらいもなく誰にでも語るが、自信がない人は申し訳なさそうに言うか、変にひねくれて『どうせわからないだろうけど』と偉そうに言うかだ。そして、前者と後者を比べると、後者の方が貧乏くさく見える」
「つまり、お金を持ってる持ってないとか、使いどころとか、好きなもののジャンルの問題じゃなくて、気の持ちようの問題?」
「そう。マンガだろうが靴だろうが宝石だろうが料理だろうが関係ない。『自分の好きなものを好きだと、誰にでも言い切れるかどうか』が貧乏オーラが出るか出ないかの分かれ目なんだ」
「そっか……じゃあ今度の合コンでは嬉々として好きなものを語る人を狙いますね」
「良い判断だと思うよ。ところで、どんな合コンだい?」
「和製ホラーオタクたちの、百物語を語る合コンです。毎回、終わると一人増えてるって話題なんですよ」
「……それはまた、随分と夏にふさわしい合コンだな」

 

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2016-07-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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