カブトムシの世話をする息子を見て思い出した遠い夏の記憶
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記事:Yoshi(ライティング・ゼミ)
暑い日が続いていますね。
先日、我が家につがいのカブトムシがやってきました。
同僚が譲ってくれるということで、小学生の二人の息子が喜ぶだろうと思って持って帰ると僕の予想以上に喜んでくれて、毎日触ったり、餌をあげたりしている。
2匹のカブトムシがひっついているのを見て、息子たちは喧嘩しているとか、いじめているとか騒いで、心配して引き離そうとしたりしている。
それを見ている僕は、幼虫が産まれたらどうしよう!? なんて全然違う心配をしています。
昔は平気で、というかむしろ喜んで幼虫も触っていたんだけど、今は全然触りたくなくないなぁなんて。
たくさん産まれることを想像したら、ちょっと気持ち悪くなってきました。
そんなふうに二人の息子が喜々として世話をしたり、取り合いをして喧嘩をしたりしているのを見ていて、ふと父のことを思い出した。
僕の父は、だいぶ前に家を出て一人で暮らしている。
いろいろあって職も失い、今は一人でぼんやりとした日々を過ごしている。
僕が結婚して住まいを構え、孫が生まれてから
「孫を見に来てよ!」と誘っても、「気をつかうから」
なんて言ってほとんど来ない。
「気なんてつかえる人じゃないのに」と思いながら
父なりに気はつかっているのだろう。
僕は物心ついた頃から、父のことをずっと「かわいそうな人」だと思っていました。
母と結婚して同居した母の両親とうまくいかず、度々いざこざがある、そんな家庭でした。
そんなわけで、父は家にほとんど寄り付かない生活をしていました。
父が家にいると、またトラブルがあるんじゃないかと僕はいつも落ち着かない思いをしていました。
この家族をなんとかできるのは、ここで生まれた僕しかいない!
僕の役割のはずだけど、何もできることはない!
なんて、思う日々。
頭だけませてる無力な子ども。
そういえば、そんな幼かった小学校の頃、カブトムシをたくさん飼っていたことを思い出した。
飼っていたカブトムシが卵を産んで。幼虫を育てて、蛹になって羽化する。
その成長過程すべてを楽しんでいました。
そうそう、夏休みの自由研究にしたこともありましたね。
遠い、夏休み。
朝早く起きて弟と二人、父に連れていってもらって、近くの雑木林へカブトムシを取りに行きました。
これが、行くところ、行くところ、面白いくらいにいるのです。見つけて嬉しくて、捕まえて小躍りして。
カゴに入れて持ち帰って、今の息子たちと同じように楽しく世話を焼いていました。
田舎だったし、カブトムシってこんな簡単に取れるんだなあと何の疑いも持っていませんでした。
後から、知ったことだが、行ってすぐ見つけられていたのは、父が仕込みをしていたからだそうだ。樹液の代わりとなるミツを用意して、前日の夜に木に塗って、トラップを仕掛けていたそうだ。
そうだ!
父にはこういうところもあったんだ!!
とふと、思い出した。
幼い頃から、ほとんど一緒に家にいなかった父。
今も、父の方から連絡が来ることは滅多にない。
なにか自分の用事があるときだけ。
孫の誕生日も、入園式にも、入学式にも、ほんとに無頓着。
たまに心配になって僕の方から連絡をする。
「元気?」と聞くと、「おう、連絡しようかと思ってた。電話してくれてありがとう」なんて。
いつも、そんなことを言っている。
そんな父なのだが
それでも幼い頃、父なりに息子である僕たちのことを大事してくれていた!
そういえば、幼い僕は父が大好きだった!
幼い僕は父をかっこいいと思っていた!
それを思い出した暑い夏の日。
父はかわいそうな人生を送っている! とずっと思っていた。
でも、それは僕が勝手に思い込んでいただけなのかもしれない
そう思ったら、父はあれでも自分で選択した人生を自由に生きている。
そう思えてきた。
自分で選んで一人で生きるという選択をしている。
僕は家族を救えないという思い込みに囚われていただけなのかもしれない。
自由じゃなかったのは、僕のほうなのかもしれない。
なんだか自分の中で1つ区切りをつけられそうだ。
ずっと父を心配しつつ、放ったらかしにしている自分を責める日々に
ようやく終止符を打てそうだ。
僕もまだまだ幼い息子たちと、もっと同じ時間を共有しよう。
***
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