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秘密があばかれることで、世界がもっと優しくなればいい


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記事:斎藤ユカイ(ライティング・ゼミ)

やばい、好きな人がばれた。

「あんたの好きな人がばれようがばれまいが、どーでもいいわ!」というご意見は、
ごもっとも。
好きな人がばれたところでどうってことはないでしょ、という人もいるかもしれない。

しかし、私にとっては、非常に重大な問題だった。

お相手は同じ会社の、後輩のKくん。
他人には、特に会社の同僚には、誰にも明かすつもりなどなかった私の好きな人。

それがばれてしまったのだ! しかも会社の人間に。
全ては、お調子者のA先輩のせいだ。

経緯としてはこう。

その日仕事で遅くまで残っていたA先輩と、A先輩の直属の上司のTさん、
Tさんの直属の部下Sくん、そして私は、会社に最後まで残っていたよしみで、
一緒に夜ご飯を食べに行くことになった。

A先輩は会社の同僚で、業務上あまり関わりはないが、なぜか普段から
仲良くしてもらっている。
時々一緒にご飯を食べに行ったり、遊びにもよく誘ってくれる人だ。

そしてTさん。彼も同じく業務上ほとんど関わりはないが、尊敬している上司の一人だ。
もう一人はSくん。Sくんも業務上ほとんど関わりはないが、ときどきからむ後輩である。

私たちは上記のとおり仕事で密接に関わりがあるわけではなかったが、
「一緒にご飯を食べに行こう」と誘われても、違和感がないぐらいには仲が良かった。

でも。

プライベートの話はほとんどしたことがない。
というのも自分自身がプライベートな話を会社の同僚にあまり話したくないので、
していない。
あくまでも仕事の人間関係は仕事として割り切りたかった。

A先輩が悪い。
冒頭に戻るが、不意に「斎藤はKくんのことが好きなの?」なんて言いだしたのだ。
4人でご飯を食べて、お酒を飲んで、いい感じになってきた頃に。

私は思わず動揺してしまい、慌てて
「なんでそんなこと言うんですか! やめましょう、この話は」
というYESともNOとも取れない発言をしてしまった。
そしてその発言のせいで、更に問い詰められることに……

「え、マジなの!? 冗談だったのに。NOと言わないということは…… 」

「いやいや、違いますって! 本当に、違います!」

ああ、面倒なことになってしまった。
まず私の頭によぎったのは、「本人にばらされる、冷やかされる」ということだった。

小さい頃の、苦い記憶が蘇る。

小学生の時、私は自分の好きな人を「絶対に秘密だよ」と前置きして伝えた友達に、
「ユカイちゃんは○○くんのことが好きなんだって!」
と本人の前で言われたことがあった。

私は信用して話した友達に、しかも不意に本人にばらされたことがひどくショックだった。

結局、その好きだった子とはなんだか気まずくなり、疎遠になってしまった。
あの時、恥ずかしそうに俯いて、何も言わなかったその子の姿が、鮮明に記憶に残っている。

結局彼は私の事が好きだったのか? それともなんとも思っていなかったのか?

いや、そんなことはどうでもいい。
問題は今また、同じようなシチュエーションで、自分の繊細な部分が傷つけられようと
しているということだ!

とにかく違う話題に逸らそうと思い、その時はうまく話をごまかしたが、
店を出て、みんなでのろのろと帰路を歩いていると、またその話題が引っ張り出された。

「で、本当のところ、どうなの?」って。
お調子者のAさんも、紳士で真面目なはずのTさんも、
お調子者2号のSくんも、それぞれがじっと私を見ている。 

ああもう、逃げたい、なんでそんなに聞きたがるのかな、と思っていた私だったが、

その時Tさんが、優しく
「俺らは他の人に言いふらすことなんかしないよ。馬鹿したりもしない。信用してよ」
と言った。他の2人も、そうだよ、と言わんばかりに頷いている。

Tさん――私の信頼する上司の言葉に私の心はふらっと揺らいだ。

そうだ、この人たちは言いふらすことなんかしないはずだ。
Tさんはもちろん、お調子者のA先輩やSくんだって。信頼できる優しい人たちじゃないか。
みな分別のある大人なのだから。小学生の、あの時とは違うのだから。

そして私は、嫌々ながらではあったけど、自分のそのままの本心を語ることにした。

「Kくんのことは確かに好きなんですが。
でも、Kくんとどうにかなりたい訳じゃないんですよ。
Kくんは結婚願望強いし、私も結婚願望が強いので。
でも、私はKくんとは結婚したいと思えないので、
もし仮に付き合うことになったとしても、お互いデメリットしかないんです」

こんな、私の恋愛観の話なんか誰得なんだ、という思いを抑えつつ、
むにゃむにゃと話す私に対して、同僚達は
「なんでそう思うの」とか、「いつから好きだったの」とか、
「斎藤はどうしたいの」とか、質問を浴びせてくる。

私は、
「私は、どうもしたくないんです。
Kくんは私の事を十分慕ってくれているし、
私は今の関係で満足しているので。
告白することで今の関係を壊したくないです」

そう淡々と語りつつ、
そういえば自分のこの淡ーい恋心に対して、
今までしっかり向き合ったことはなかったなと、ふと思った。

「そういうことなんですよ。
だからKくんにこの気持ちを伝えることはないです」

真夜中、3人の同僚は静かに私を見つめていた。
ふとTさんに目をやると、少し涙ぐんでいたので私はぎょっとした。

Tさんは、
「ちょっと、久しぶりに純粋なものに触れたから、なんか感動して目が潤んじゃった。
そうなんだ。他の人に言ったりなんかしないよ。斎藤、無理やり話させてごめんね。
でも話したら、すっきりしたでしょ」と言った。

そう言われてみると、確かに話す前より気持ちが晴れやかで、すっきりしていた。

「何か相談があればいつでも言ってよ。力になれることがあれば、協力するからさ」
とTさんは笑った。

Tさんの真っ直ぐな優しさが、
心にじんとくる。

一方、A先輩とSくんは、
「とはいえ、本当は誰かに後押ししてもらった方がいいんじゃないの~~」
と言っていたが。話聞いてたのか、あんたら!

しかしこんな私の下らない恋バナを、小1時間、真夜中の道端で立ち止まって、
途中で茶々を入れることなく聞いてくれて、
しかもTさんに至っては「力になるよ」と言ってくれた。
この3人は、なんてスキモノ……いや、なんて温かいんだろう。愛されてるな、私。

結果として、私の恋バナは今のところ恐らく本人に伝わることはなく、
他の人にも伝わっていないようだ。

そしてただご飯を食べるためだけに集まった私たちの仲は、
「私の秘密の恋バナ」を共有することによって、以前よりも深まった。
(私にとって、それは爆弾だけれど……)

しかし、本当に有り難かったことは、
肯定するわけではなく、否定するわけでもなく、
ただ親身になって話を聞いてくれたことだ。

秘密は強行的に暴かれてしまったけど、
その先にもっと優しい世界があることを知った。

私たちは日々秘密を抱え、本音を隠しながら毎日を過ごしている。

例えば、「先輩に対してこう思っていたけど、あえて言わなかった」、
「友達にこういわれて嫌だったけど、何も言い返せなかった」など。

そして本音を晒すということは、生身の自分を晒すということで、
それはとても勇気がいることだけれども。

でも、その勇気を振り絞って、
素直に気持ちを伝え合うことができれば、

私たちはその「言葉」の、根本にある想いに気づくことができるはすだ。

そして、その「想い」を受け止め合えるような人間関係が構築できれば。

世界は今よりももっと美しく、もっと優しくなるだろう。

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-08-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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