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もう、あんた分かりやすくお尻触りなさいよ!謎の男とのバス中15分の攻防戦


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記事:弥恵さま(ライティング・ゼミ)

私は今、どうしたものかと考えあぐねいている。

なぜなら、私は今まさに痴漢に遭っている。
と、考えられるから。

生まれてこの方、痴漢になんか遭ったことはない。
福岡の場合は、特に地下鉄に痴漢が多いと言われていて、10代の頃は制服を着て乗車していた友人が、痴漢に遭った話をよく聞いた。しかし、私は痴漢になど一度も遭ったことがない。自他ともに認める、鶏ガラみたいにヒョロヒョロ体型の私は、そんな色気が無い。皆無。
だって、出るとこが出てないんだもの。ぱっと見ただけで貧乳なのは分かる。
だから痴漢がどんなものなのか、それは想像の世界でしかなかった。どんな触り方をしてくるのかなんて、想像すらしたこともなかったのに。

いや、単純にお尻を触られているとかなら、こんな文章を書いている場合ではなくて。
そんなことされていたら、私は迷わずこの男性の足を踏ん付けているし、文句の一つでも言い放っている。「この人痴漢です!」と彼の手を掴み叫んでいるかもしれない。

しかし、私は今どうしていいか分からず、こうやって必死でスマホに文章を入力しているのだ。隣に座っているこの男性がやっていることが、果たして痴漢に相当するのかどうか考えあぐねいているのだ。

痴漢といえば、良く聞くのがお尻を触られたという話だ。さすがに、満員電車の中で、正面から胸を触られたなどは聞いたことがない。後ろから、誰が触っているか分からないところから、お尻を触ってくるのが主流のような気がする。主流? いや、こんなものに流派があっては困る。手口か。

しかし最近は、少し体が触れてしまっただけで、痴漢と騒がれ警察に連れていかれるかもしれないと怯える男性の話も聞く。知人の中年男性は、電車に乗る時、必ず両手でつり革を掴むらしい。恐らく彼は、自分が中年で、お腹が出ていて、頭の毛が薄くなっているから、痴漢呼ばわりされたら、圧倒的に自分が不利になることを理解しているのだ。両手をあげていないと謂れのない罪を着せられるかもしれないと不安なのだそうだ。痴漢って、圧倒的に男性が悪いものだと思っていたが、こうして痴漢扱いされることを不安に思っている男性もいるのだ。

そんな話を聞いていたものだから、私は尚更、この横に座る男性の行為が、痴漢に相当するかどうか悩んでしまっている。
もしかすると彼はそんなつもりはないかもしれないし、私が「この人痴漢です!」と叫んでしまったが故に、彼の人生の歯車が狂ってしまうかもしれない。などと、変なところで偽善者ぶってみるのだが、その実、私はただ声をあげることにビビッているだけ。

彼が何をしてるって、窓際に座る私の隣に、先ほどの停留所から座って来て、ただ本を広げているだけだ。はた目から見れば、それだけのことだ。もちろん、本を広げているのだから、両手で本を持っている訳だ。そう両手はふさがっている。
しかし、私がなぜこんなに神経質になっているのかというと、この男性が、彼の肘を私の骨盤というかウエストの上に置いてきているからだ。あたかも、ひじ掛けに肘を置く様に、彼の肘を私の骨盤に置いてきているのだ。そして、無駄に足をおっぴろげている男性の太ももが、私の太ももにべたーっとへばりついているのだ。
先ほども言ったように、鶏ガラみたいな私の体は、二人掛けのシートの三分の一に収まる。彼のその気持ち悪い体温から逃れたい私は、一生懸命窓側に体を寄せ、彼の足と触れないようにしているのに、この有様だ。

あぁ、この状況が伝わっているだろうか。もしあなたが、誰かと一緒にいるのなら試して欲しい。その人と隣り合わせに座って、自分の骨盤の上に、その方の肘を置いてみてもらって欲しい。

結構気持ち悪いのだ、この感覚。
こんなところに肘を置かれることなどないから、ぎょっとするのだ。しかも、肘って結構がっつり体に食い込んでくる。こそばゆいような、痛いような、よくわからない感覚と共に、やはり最後に来るのは拒絶反応。
それに、電車やバスに乗っていても、大抵男性は女性の体に触れないように気を遣ってくれる。昨日の朝、隣に座ってきた中年男性は、申し訳なさそうに私の横に座り、一生懸命右の肘掛で体を支えながら、上半身を通路側に出していた。それぐらい気を遣うのに、わざわざ私の太ももに足をへばりつけてくるって!

いや、やっぱりこれおかしいよね? と思い、私は先ほどから自分の肘で彼の肘を押しやっている。それでもだ、彼はめげずに再び私の骨盤に肘を置いてくるのだ。しばらくこの攻防戦を繰り広げているのだが、彼は全く動じない。恐る恐る、隣の男の顔を確認するが、どこのメーカーが分からない汚れたキャップを深くかぶり、メガネをかけ、この暑い中マスクをしている。いかにも、怪しいじゃないか。

やっぱ、これ痴漢だよね? そうだよね? 

そう自分に言い聞かせて、次の行動に出ようとする。しかし、私がここで「やめてください」と声を上げたところで、彼はどう出るんだろうか?

Take 1:開き直り逆上
「あの、肘置くのやめてほしいんですけど……」
「え? あぁすみません、気付きませんでした、読書に夢中で。ていうか、痴漢だなんてひどいな。あなた自意識過剰ですか、その面で。僕はただ本を読んでいただけですよ。というかあなた、その体型で? その色気のない鶏ガラ体型で? 誰もあなたなんかに欲情しませんよ。」

……。なんだこれ。
告白すらしていないのに、振られてしまったような、このやり場のない気持ち。私に気持ちがあるならまだしも、更々そんな気持ちないのに「俺これ以上お前と会えないわ」と言わた時みたいなこの気持ち。いや、毎回誘ってきてたのアンタやしって突っ込みたくなった時みたいな、このやるせなさ。
私が今、高速フリック入力をしながら骨盤と太ももの不快感を我慢しているのに、この言われよう。いやいや、これじゃダメだ。次。

Take 2:認めて逃亡
「ちょっと、やめてください!」
彼は咄嗟に立ち上がり、バスの前方へ駆け出した。驚いた乗客たちは、彼に道を開けるも、好奇の目で彼と私を交互に見る。運転手がすかさず「危ないですからー、バスが停車してから移動くださーい」とあの独特のトーンで車内アナウンスをするも、彼はそのまま運転席の横まで駆け寄る。次の停留所まで待てない彼は、ICカードを何度もパタパタとタッチしている。そしてやっと扉が開くと、一目散に人ごみの中へ消えていった。車内に取り残された私は、一人乗客の好奇の目に晒された。

いやいやいやいや。
これはなんか、私が完全に損をしている気がする。もう、ひき逃げにあった気分だ。私は、車に轢かれる直前、車のナンバーは確認したのに、意識が朦朧とし、そのまま昏睡状態に陥ったような気分だ。それに、警察に「彼が私の骨盤に肘を置いてきたんです」と言ったところで、「それは、お姉さんの考え過ぎでは? お尻ならまだしも、ねえ?」とか言われたら、もうどうしようもない……。
やっぱり、こうなれば、もうあれしかない。はい次。

Take 3:周りに助けを求める
「この人痴漢です!」
私は、彼の腕を掴み、勇気を振り絞って声を上げた。
「この人痴漢です! 助けてください! さっきから私の骨盤に肘を置いてくるんです!」

カーット!!

ちょっとー!
やっぱり理由が理由すぎて、どうにも周りに信用してもらえない気がする! 私がただヒステリーを起こしているだけに見られる気がする!

もう、あんた分かりやすくお尻触りなさいよ!

あぁ、もう無理! 我慢できない! 文章も書けない! もう、バス降りる!!!

こうして私は、無駄な15分の攻防の末、無事あの不快感から逃れてきたのだが、一つだけ皆さんに言っておきたい。
皆さんがこんな目に遭ったら、私みたいに妄想せずに……

逃げて!!
***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-08-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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