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大きくなったらお姫様になりたいと願っていた全ての女性陣に告ぐ


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記事:つん(ライティング・ゼミ)

そうだ。絵本の中のお姫様は、みんな幸せになる。
綺麗なドレスに身を包み、ガラスの靴をはいて。豪華で華やかなお城に住み、傍にはステキな王子様が肩を抱いて。ニコニコと溢れる笑顔が、子どものわたしの心に、まぶしく映る。女の子は多かれ少なかれ、みんな一度はお姫様になりたいと願ったことがあるだろう。

「大きくなったらお姫様になる! それか、マッサージやさん!」
小学2年生のわたしが書いた日記の内容を読み返し、飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになる。お姫様かマッサージやさん。ギャップがありすぎる2つの目標に、しかしわたしは本気でなろうとしていたことを思い出した。
お姫様には、本気でなろうと考えていた。わたしはまずお姫様に必要な要素を紙に書き出すところから始めた。当時流行りのセーラームーンのドレス。フルーツの形が色とりどりに乗ったガラスのくつ。立派なお城とステキな王子様。これにはなかなかお金がかかることを、子どもながらに感じていた。
「お姫様になるのに、ドレスがいるの。でも買えないの。どうしたらいい?」
わたしは泣きべそ顔で、父に相談したそうだ。ニコニコしながら、父はこう教えてくれた。
「ほら。絵本を見てごらん。みんなお姫様は、最初貧乏な生活をしていた。それがお掃除をしたり、お料理や洗濯をして、人を助けたから幸せになったんだね。つんちゃんも、お手伝いしなきゃ」
今では考えられない素直さで、わたしは父の言うことを鵜呑みにした。どうやってお手伝いしよう。そこで始めたのが、マッサージやさんである。首から「マッサージします」と書いた紙をひもでぶら下げて、家族や親戚に声をかけてまわる。1回100円。時間制限なし。わたしはお姫様になるべく家族の足を踏み肩を揉み、そのたびにもらった100円を、貯金箱にチャリン、チャリンと貯めていった。87回それを繰り返し、8,700円のドレスを買いに行った日。母に連れられておもちゃ屋さんに行ったあの日の光景を、わたしは忘れない。欲しかったピンク色のドレス。お金を握りしめて、レジのお姉さんに渡し、恐る恐る話しかける。
「あの……ピンクのドレスください」
受け取ったドレスがまぶしくて、わたしは好きな男の子に出会ったかのように、なんだかモジモジした。家に帰って着替えるのが待ちきれず、わたしは帰りの車の中でドレスを着た。母は、そんなわたしを見て、ガハハと笑っている。
助手席の小さなお姫様は、家に着く前に眠ってしまった。しかしわたしはこのお姫様体験で感じたのだ。夢を叶えるためには、お金がいるのだと。

そんな少女はお姫様でも、マッサージ師でもなく、会社員になっていた。メーカーに勤め日々を忙しく走り回る、営業マンである。25歳の年に、会社の人事から本社へ来るようにと呼ばれた。悪いことをして呼び出された……かと思いきや、どうやら違うらしい。入社1年目の社員に、会社で前向きに働けるよう講義をしてほしいという。聞いただけで足がすくむ思いだったが、こんなわたしのありのままの姿をさらすことで救われる社員もいるかもしれない。緊張から3時間程度しか眠れない最悪の体調で、大阪へむかう。わたしは営業としての1日の過ごし方、悩みや失敗談、そして素晴らしい出会いやそのとき感じたことを、飾り気なしに本音で話した。冷や汗をかきながら、無事に終わってほっとしたところに、1人の女性社員の手が挙がる。質問があります、と彼女は言った。内容はこうだ。
「あなたは女性営業として活躍されていますが、わたしはそうまでして働きたくありません。結婚したら子どもといたいし……それは、ダメなことでしょうか」
心にびびっと電流が流れるようだった。そうか、そういう風に聞こえていたのか。わたしは知らぬ間に、女性を二分していたようである。朝から晩までがむしゃらに仕事をする人と、家庭や趣味の時間も大切にしながら仕事をする人。そして何気なく、しかし確信を持って、わたしは前者を優位に、なんとなくエライと強調して話していたのだ。彼女の素直な質問は、わたしの差別心のど真ん中をついて迫った。人生において何を大切にするか。それは人それぞれ違っていて当たり前だ。それは男性だから、女性だからと区別される必要はない。それなのにわたしは自分の勝手な価値観で、「女だからって怠けてはいけない」「仕事しないで早く帰るのは女性の武器」そんな風に考えていたのではないか。自分の小さな、けれどもたしかな価値観。時にそれが誰かを傷つけ、励ましていることを、わたしは体感した。お姫様になりたかったわたしが、いつしか人の夢に口出ししている。これには自分が1番驚いていた。

今年の夏に、ベトナムへ行った。孤児院で働く人々と交流する、スタディツアーに参加するためだ。特に理由はなかったのだけれど、一昨年訪れたカンボジアの子どもたちの姿が忘れられず、迷わず申し込んでしまった。339人の孤児と、ケアスタッフ50名。子どもたちの泣き、怒り、笑いあう声が豊かに響く、そんなケアセンターだった。
子供たちがお昼寝になる時間。そこに来ていたベトナム人のボランティアスタッフのフンちゃんと話をした。彼女は24歳で、会社のスタッフとこの施設に手伝いにきていた。普段は雑誌のフォトグラファーをしていてと話すその手に、なるほどNIKONの一眼カメラが握られている。家族や学校や仕事の話をひとしきりしたあとで、フンちゃんが突然つぶやいた。
「ボーイフレンドほしいなあ……」
やけに神妙である。
「でも一生結婚はしたくないなあ……」
驚いて、わたしはぽかんとした。まじまじとフンちゃんを見つめる。なんだってこんな可愛い24歳がそんなことを言うのか。恐る恐るだが、持ち前の図々しさで深く突っ込んでいく。
「だってわたしは会社でもっと偉くなりたいし。こうやって世界中旅したいし。結婚したら、自由じゃなくなるし」
フンちゃんは一生懸命な女性だった。毎日を必死に生きて、働いて、そして悩んでいる。どうにかして、「ちょうどいい満足」が「全部」ほしいと伝えてくる。わたしは真剣なの! と。小さい頃、お姫様になりたかったわたし自身を思い出す。そうだ。わたしは真剣だった。ほしいものに貪欲で、もっともっとワクワクして、そして誰よりも、お姫様になれると信じて疑わなかった。だから、わたしは行動できた。マッサージやさんをしてお金を貯め、本当にドレスを手に入れたのだ。
フンちゃんの話は、同じくして女性のわたしを、なぜか深く勇気づけた。わたしは、偉くなるために働いてないし、旅はしたいけど結婚するならしばらくは諦めると思う。国も、ことばも、考え方も全然違う。でも、信じられないほどフンちゃんとのことばはわたしの中に入ってきた。ベトナムにも、心友はいるんだと感じた。わたしはその後30分ほどフンちゃんの話を聞き、お互いのFacebookとメールアドレスを交換し、別れた。
「I hope see you soon」
そう言いながら笑って去っていくフンちゃんを見送った。フンちゃんと、いつかまた世界のどこかで会いたい。なんだか、会える気がしてならない。

「大きくなったら、何になりたいですか?」
ベトナムの孤児院で、子どもたちに聞いてみた。
「お母さん!」
小さな女の子が笑う。
両親のいない子どもたちの夢は、わたしの想像を超えて、平凡で、素直で、強く願う夢だ。何もできないわたしはせめて、遠い異国の地でみずからの夢を追いたい。この子たちに、負けないように。

大きくなったらお姫様になりたいと願っていた全ての女性陣に告ぐ。
かっこ悪いときもある。なんでこんなふうに働いてるのだと悔しくて泣きそうなときがある。でも、すべての女の子の夢は美しいと思う。その姿がドレスじゃなくても。大工さん、栄養士さん、警察官、お母さん。そしてスーツで戦う飲んだくれの営業マンであっても。
いつか必ず、ドレスを手に入れよう。そして、お姫様になろう。

 

 

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-09-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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