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手抜き料理は、実は万病予防に効くらしい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:あわづりつこ(ライティング・ゼミ)

「ただいまー」

「おかえりー」

と答えるとともに、私はパソコンを閉じて台所に立つ。

冷やしてあったグラスを冷凍庫から出し、缶ビールをプシュッと開ける。
「おつかれさま」と言いながらグラスにビールを注ぎ、ついでに自分もひとくち。

「ただいまー」の声から手を洗って着替え終わるまで、およそ5分から10分。まず冷えたビール。そしてすべてのおかずを「あったかい」または「冷たい」ままテーブルに出し、ご飯をよそい、お茶を入れる。

「熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに」出さなければ。

これが新婚当時の私の必達課題だった。特に温かい品が冷めることに、ひどく怯えていた。このために、厳密なカエルコールを強要したことも少なからずあった。予定より「ただいま」が10分遅く、メインのお肉が冷めてしまった時に、帰りが遅いことを激しく責め立てたこともあった。

「食事の前にそんなに怒られたら、ご飯がまずくなる」と言われると、「帰るって言った時間に帰ってくれば、怒ることもないから、私が悪いんじゃない」と不機嫌なまま反論を返す。テーブルの空気はよどみ、テレビのお笑い番組の乾いた笑い声が場を取り繕う。

もともとは「あったかいものをあったかいうちに美味しく食べて欲しい」と思ってのことだったはずに、料理ができあがる時間に合わせて帰ってこい、とは本末転倒だ。目的と手段が入れ替わってしまっている。だけど全部をすべて計算して作って待っているのだから、帰ってくる方だってそれを察して予定通りに帰ってきてくれたってバチは当たらないはずだ。私だって、怒りたくて怒ってるわけじゃない。ただ美味しいものを食べて欲しいだけ。待たせたくないだけ。それだけなのに……。

夕食のテーブルに着く時には、すべてが完成して食卓のうえに完璧な状態で並んでいるべし。

これを達成するのに必死だった。
そうでなければならないと、固く思い込んでいた。

月日は流れ、2016年11月21日、午後7時。

「ただいまー」

「おかえりー」

と答えるとともに、私はパソコンを閉じて台所に立つ。

冷やしてあったグラスを冷凍庫から出し、缶ビールをプシュッと開ける。
「おつかれさま」と言いながらグラスにビールを注ぎ、ついでに自分もひとくち。

ここまでは昔も今も変わらない。
だが、その先は新しいスタイルになった。

ビールのグラスを片手にキッチンに戻って、一品目の煮浸しを小鉢に盛り、テーブルに出してまたキッチンへ。次の一品の煮物の火加減を見てから、豚肉の下味をつけ、フライパンを火にかけ、油をしいて……。

対面式にしとけばこんなに行ったり来たりしなくてよかったのに、と昔の選択をちょっとだけ後悔する。昔は全部まとめて食卓に運んでいたのだからしょうがないけど。

二品目の煮物をテーブルに置く時には、さっき出した煮浸しはとっくにからっぽだ。もっと味わって食べてよ、と軽口を叩くと、だってこんなんひとくちやろ。次はまだか〜と急かされる。その声を背に、空の小鉢とともにキッチンに戻る。フライパンが温まったところで、今日料理番組で仕入れたばかりの新作、豚肉の変わり炒めをを手早く仕上げ、「休憩〜」と、自分もテーブルに腰を据える。冷めた煮浸しと冷めかけの煮物、できたての炒め物を前に「いただきます」もそこそこに新作に箸を伸ばす。

美味い。やっぱりできたてはいい。
「熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに」だ。

頃合いを見て「そろそろ、ご飯にしましょうか?」と最後のしめのご飯とお味噌汁で我が家の夕食は終わる。

はっきりいつからかは思い出せないが、気づいたら割烹方式になっていた。まずはビールとつまみの小鉢、続けてもう一品、それを自分もつまみながらメインとお味噌汁にかかる、というスタイルだ。本当の割烹と違うのは、食べる側には料理の選択権はない。選択権は「作る」側にある。

これに切り替えてから、すごく楽になった。精神的にも物理的にも。すべての品の出来上がりを揃えるためにお鍋をたくさん使わなくても済むようになったし、目を離したすきに、別の鍋を煮過ぎてしまうこともなくなった。帰宅時間にすべての料理をぴったり揃えそこなって待たせることも、主人の帰ってくる時間がずれて、門限を破った生徒を叱る校長先生みたいに怒ることもなくなった。料理が冷めるのを気にしてピリピリもしなくなったし、そもそも何時に帰ってきても良くなったので、カエルコールそのものから解放され主人も喜んでいる。

食べる人に合わせるのではなく、作る人に合わせる。

これだけで、お互いのストレスは大いに減り、あったかいものを食べてもらえ、食事中の会話も増えた。いいことづくめじゃないか。
一方で、これでいいのだろうか? と思ってもいた。食べる人に合わせるのではなく、作る人に合わせるなんて、主客逆転じゃないか。そもそも、すべてをぴったり同じ時間に仕上げるのが億劫だから、サービングの方式を変えるなんて、わがままじゃないか。品数的には同じだとしても、ある種の手抜きではないか……?

美味しいと言ってもらえて、自分も楽になって、食卓の会話も増えて、いいことづくしのはずなのに、わだかまりは残っていた。本当なら、全部いっぺんに出した方がいいはずなのに、それをあきらめたのを包み隠すための妥協策では、という罪悪感。

この鬱々とした罪悪感を吹き飛ばしてくれるものを、ようやく見つけた。見つけた、というよりも向こうからやってきた、という方が適切かもしれない。薄暗く、いつ終わるともしれない長い長いトンネルを抜けたら、菜の花畑が広がっていた、ぐらいに気分が晴れた思いだ。

血糖値スパイク、という言葉をご存知だろうか? 食事を食べたすぐ後の短時間にだけ血糖値が急上昇し、やがてまた正常値に戻るという現象だ。突然死・がん・認知症など、深刻な病気招くリスクと言われ、ここ最近テレビやネットを賑わしている健康系バズワードだ。

これを防ぐための食事法がテレビで紹介されていた。

食べる順番は「野菜」、「肉・魚」、「ご飯・パン」。

鍵は、ご飯をできるだけ後に食べること。
なんでも、食物繊維を多く含む野菜などを最初に食べると、食物繊維が腸の壁をコーティングし、後から糖が入ってきた時に、その吸収をゆっくりにしてくれる作用があるらしい。 また肉や魚などのたんぱく質や脂質を含むものは、胃から腸へ運ばれる時にタンパク質や脂質に反応して「インクレチン」というホルモンを放出し、その働きで胃腸の動きが遅くなり、そこにご飯やパンなど糖質を含むものを食べれば、消化吸収に時間がかかるため、血糖値の上昇を緩やかにしてくれるのだとか。

だからまず「野菜」それから「肉・魚」、最後が「ご飯・パン」。

まさに、うちのご飯の順序だ。
知らないうちに、血糖値スパイクを引き起こしにくい食事法を実践していたとは!

結果論とはいえ、小躍りしたくなるほど嬉しくなった。
確かに、最後にご飯を食べるので、おかずで満腹になり、結果的に「ごはんいらない」となったり、ごはんの量が少なくなることもしょっちゅうある。

手抜きでは?と自分で自分を責めていたが、よく考えると、割烹方式にしてからは料理そのものの手順自体はむしろ丁寧になっていたし、罪悪感を持つ必要などどこにもなく、なんとなくいけない気がするというただの思い込みだったのだ。

美味しいと言ってもらえて、自分も物理的にも精神的にも楽で、食卓の会話も増えて、さらに、健康面でも良いことまでわかった。

今度こそ、三方よしの夕食だ。もう、やましいとかわだかまりを持つのは止そう。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-11-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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