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メディアグランプリ

溜め込んだポイントで交換したのは、魔法の靴でした


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:永井里枝(ライティング・ゼミ)

「小説家になるには……か」
ずらっと並んだタイトルを横目で見ながら、呟いた。これだけたくさんの本が出ているということは、世の中には小説家を志す人がそれだけたくさんいるということなのだろう。偶然か、いつもそうなのかはわからないが、その棚の前には私一人しかいなかった。雑誌コーナーや新刊の前には割と人がいるのに、そこだけ他の空間から切り離されたようにひっそりとしているように思えた。

その日はショッピングモールの中にある、大きな書店に来ていた。自分の働く天狼院書店は、残念ながらそれほどたくさんの本を置くスペースがない。本屋なのに本を置く場所がないなんておかしな話だが、その代わりどの本を置くかということに関して、並々ならぬこだわりを持っている。ビジネスや自己啓発に関してはどれをとっても役に立つものばかり厳選しているし、小説だってテーマを持った陳列になっている。働き初めてそろそろ2ヶ月になるが、天狼院を利用するお客様の求める本やオススメしたい本を、私もなんとなく頭の中にイメージできるようになって来た。まだ「永井のオススメ棚です!」なんていう勇気はないが、それでも日々アンテナを張っていなければと、市場調査も兼ねて他の書店にも足を運ぶ頻度が高くなった。

店から前にはみ出すように、新刊の平積みがされており、その後ろには来年のカレンダーや手帳、右奥に行くと雑誌や漫画のコーナーになっていた。小説家を目指す人や創作に関する本は、店内に入ってすぐの棚2つ分を占めていた。
「小説家になりたいなら、ゼミに来たらいいのに……」
と思いつつ、目についた本をパラパラとめくっては閉じ、また別の本を手にとっては流し読みしていた。そういえば確か4ヶ月前も、ここにいたっけ。同じようにこの棚の前で、気になった本を開いては戻し、を繰り返していた。やっぱりあの時から、「小説」というものを心のどこかで意識していたのかもしれない。だから吸い込まれるように、天狼院に通い始めたのだろう。

「さてと、文庫でも見ようかな」
持っていた本を棚に戻し、奥へと足を進めた。作者名ごとに綺麗に並ぶ背表紙を見ると、なんだか少し心が落ち着く気がする。
しかし、背の高い本棚の間に入ったとき、急に足元に違和感を覚えた。熱いのだ。靴を履いているのに、足の裏が熱い。それも火傷しそうなほどに。思わず後ずさりすると、今度は眩暈に襲われた。ダメだ、動けない。一歩でも動こうとすると、天井が回って吐き気がする。私は諦めて、その場にヘナヘナと座り込んでしまった。
一体何が起こったのだろう。すぐ目の前には「『本屋大賞』ぜったい泣けます!」と書かれたPOPが踊っている。ぜったい泣けます、なんて、そんな無責任な。自分の体に起こった異変から目を背けるように、そんなツッコミを入れてみた。だが、次の瞬間、自分が泣いていることに気づいた
やばい、どうして? いやいや、こんな店の中で恥ずかしい。
とりあえずトイレに逃げ込もう、ああ、でも体が動かない。んもう、どうしたっていうんだよ!
と、かろうじて上半身を起こし入り口の方を見ると、先ほどの棚が見えた。誰もいなかったその場所で、立ち読みをしている人がいる。あれはそうだ、さっき私が棚に戻した、小説家になりたい人向けの本だ。ん? どこかで見たことある人のような……
目線が、読んでいた本からゆっくりとこちらに移る。
「あ!」
思わず息を飲んだ。立ち読みをしていたのは、4ヶ月前の私だった。いや、もっと前かもしれない。これまでにも何度も何度も、私はあの棚の前で立ち読みをしていたのだ。そしてその度に「私には無理かな」とか「文章書くの下手だしな」とか理由をつけて、手にとった本を買うこともなく棚に戻していたのだ。いつの私なのかはわからないが、よく見ると、何か言っているように見える。聞こえないよ、もっと大きな声で言ってよ! え?
「なんで、私の本はここにないの?」
私の本? どういうこと?
「私の書いた本、なんで売ってないの?」
いつの間にか、彼女は目の前に立っていた。
「なんで! ねえ、なんで売ってないの? 答えてよ!」
そう言って私の肩をぎゅっと掴み、力いっぱい揺さぶられた。されるがままの私に、彼女は何度も何度もそれを尋ね、最後にこう言った。
「もう、諦めるのは嫌なんだよ……」
顔を上げると、彼女も泣いていた。泣きすぎて右目なんて『お岩さん』みたいに腫れていた。

ごめんね。本当は知ってたよ。
私は本を書きたいって、心の奥では思っていたこと。でも自分には無理なんじゃないかって、向いてないんじゃないかって、だから「できる範囲でやれることを頑張ります」とか言っちゃって、守りに入っていたんだと思う。戦って「できない」っていうことを知るのが怖くて、戦わないことを選んできたんだ。でも、そんなの我慢できないって思う自分がいることも知ってた。だから何度も同じ本を見に、ここに来てたんだよね。

「もう、我慢しなくていいんだよ」
私は彼女を抱きしめてそう言った。大丈夫、近い将来、必ずここに私の本を置く。ここだけじゃない、全国の書店に並べてやろうじゃないか。今の私は、4ヶ月前の私とは違う。なんで置いてないの、と泣き喚くだけの子供ではない。天狼院のゼミで小説家へのルートが示されている今、ここに自分の本が並んでいる光景が、ありありとイメージできるのだ。
「絶対に、私の本を置く」
そう言って立ち上がると、また文庫の棚へ一歩踏み出した。
熱い、とんでもない作家の熱量が、そこには満ち満ちていた。こんなところでは戦えない、と丸腰だった4ヶ月前の私は無意識にこの棚を避けていた。しかし、もう大丈夫だ。天狼院という魔法の靴を手にいれた私は、この灼熱にひるむことなく一歩を踏み出すことができる。
「4ヶ月前に書いた記事の答えは、これだったのか」
また今日から、新しい挑戦が始まる。

参考:今日もまた不幸ポイントを貯めるのに大忙しです

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-12-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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