天狼院に深く関わったら、相対性理論を考えることができた。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:牛丸ショーヌ(ライティング・ゼミ)
年の瀬を控えて、今年一年を振り返ってみたとき、いろいろな意味で自分にとって充実した一年になったと心から感じている。
その中で、僕は19年間日記を毎日書いているのだが、パラっと見返してみても、「え! まだあれから半年しか経っていないのか」と最近、不思議に思うことがある。
そう、それは僕が天狼院に通い始めてからの月日のことだ。
大人になるにつれて、子供のころと比較して、誰もが時間の経過を「速い」と感じるようになるものであろう。
それなのに、「まだ」それだけしか経っていないのか? とは、時間の経過を「遅い」と感じている現象である。
時間の経過を「速い」と感じるのが通常なのに、なぜ僕は今年一年の時間の経過を「遅い」と感じているのか、この不思議について考えてみることにした。
「年が明けて、もう一カ月よ」
「今年も、もう半分が経ったんだね」
「今年も、早いもので、あと二週間で終わりだね」
いずれかのセリフを僕らが日常生活の中で節目節目に意識してか、しないでか誰かに発している言葉だ。
「気がつけば、もう20代も終わりだなぁ」
「いい? 30代なんてあっという間なのよ」
「40代になると、すぐに50がくるぞぉ」
うん、やはりよく耳にする使い古されたセリフだ。
この認識は間違っていない。
一般的には時間の経過を「速い」と感じるものという認識に間違いはない。
大人になると1分が60秒ではないのではないか?
子供のときと比べて、身体は大きくなる。もちろん体重も増える。
体積が増えたこと、これが何かしら「時間の認識」に影響を与えているのではないか?
僕は本気でこのような疑問を抱いていた時期があった。
それくらい僕は、常日頃、時間の流れが速すぎると感じていた。
そんなとき、この僕が抱いた「不思議な感覚」を解明するための、象徴的な出来事がつい最近あった。
2016年10月10日の祝日。
その日、福岡天狼院で新たな劇団が立ち上がった。
何でも、11月に演劇の公演をやるとかで、その決起会と兼ねて役者のオーディションが開催されるというのだ。
僕が天狼院で通っていた小説家養成ゼミの先輩にあたる方が脚本をされるということで、特に何か目的意識を持つわけではなく、興味本位で参加した。
そして、色々ないきさつがあった結果、僕は10月14日の金曜日に演者として参加することを決意した。
出演する日にちは千秋楽の11月12日。本番まで一カ月を切っていた。
僕にはそれと並行してやらなければならないことがった。
演劇の翌日、つまり11月13日に「福岡マラソン」というフルマラソンに出場するための練習があったのだ。
しかも、本格的な練習を開始したのは10月9日、つまり決起会の前日から。
一年前にも出場した経験から、数カ月前からの練習で足を痛めることを危惧し、今年は本番の残りの一カ月前から集中して走り込もうと決めていたのだ。
決めてからの約一カ月は、今思い返してもあまり覚えていない。
ほぼ毎日、天狼院の営業時間が終わる22時からの練習。
ときには19時から。
そして土日祝日は、朝と夜の練習ということもあった。
加えて、マラソンのほうは自宅近隣の公園でのランニングを継続。
0時前に帰宅して夕食をとり、30分だけ走るということもあった。
土日は1~2時間の長時間走らなければならない。
自分が演じる役のセリフが少しかと思ったが、やってみれば2シーンで10分少しはある。
自宅で妻に手伝ってもらい、セリフ合わせを行う。
ランニングしながら、セリフをぶつぶつ呟くこともあった。
演劇のほうは本番当日の直前練習まで、すんなりとセリフが出てこなかったが、本番ではなんとか満足いくパフォーマンスができたと自分では思った。
そして、翌日のマラソンでは練習不足が否めなかったが、昨年より50分タイムを縮めて、怪我もなくゴールすることができた。
僕にとっては、光速のように過ぎていった一カ月であり、演劇の公演とマラソンを走ったことは自分の中で「強固な記憶」として印象に残った出来事となった。
そして、趣深いことが起こり始めたのは次の週からだった。
演劇に出演した役者、スタッフの方々がSNSから発しているコメントを読んでいると「あっという間の一カ月で、記憶がないほど忙しかった」と「演劇があったのは、もう随分と昔のような気がする」という2種類の時間感覚を抱いていることが分かったのだ。
それも一人だけじゃなく、数名の方々が同じように発していた。
僕自身はどうだったか?
もちろん、僕も一週間が経過したころには同じように感じるようになった。
演劇の公演から2週間後に開催された打ち上げの場でも、「まだ、あれから2週間なのか」という感じ方をしているのを数名から直接聞くことができた。
僕はこの「時間の感じ方」を非常に面白いと思った。
学生時代に読んだアルベルト・アインシュタインの「相対性理論」を想い出したのだ。
当時も、そして今もその理論の10%すら理解していない自信があるが、「絶対的」だと考えられていた時間や空間は「相対的」だという理論には当時は衝撃を受けた。
考えてみれば、確かにそのとおりだ。
楽しいときや何かに集中しているときの時間は、あっという間に過ぎ去り、辛くて苦しかったり、肉体的な痛さを伴う時間は、まるで永久に続くのではないかというくらい長く感じる。
時間は主観的に変化していることが分かる。
ただ、問題は解決されていない。
僕が知りたいのは「なぜ、本番までの一カ月は光速で過ぎ去ったかのように感じたのに、本番をむかえた後の時間の経過はゆるやかになったか?」だ。
これは、相対性理論では説明がつかない。
僕はこの「不思議」を解明するためにさらにいろいろと調べてみた。
すると、哲学者ポール・ジャネが提唱するジャネの法則というものがあることが分かった。
これは、「時間の心理的長さは年齢に反比例する」という説だ。
子供のときの1年に比べると、大人の1年は3分の1の長さに感じるというものだ。
人によって感じ方は違うにしろ、納得できる部分は大いにある。
そして、さらに調べてみると、僕の「不思議」を解明する回答をズバリみつけた。
「記憶に残る経験が多いほど時間の経過は長く感じる」というものだ。
子供にとってこの世界は未経験のことが多い。
初めて見るもの、聞くもの、そして学ぶもの。
「初めて」を経験したときの記憶は、今でも覚えていることが多いのではないだろうか?
そうして、数多くの経験を経て、子供は大人へと成長していく。
そして、大人になってからはどうか?
もちろん、社会人になったばかりのときは未経験のことも多いだろう。
それでも大人は、学んできた「経験」を生かして大概のことを無難に処理していくのだ。
歳を重ねるとは、新しく「経験」することが少なくなっていくことのような気がする。
人生で起こる出来事に新鮮さを感じなくなり、感動することがなくなってくる。
今年の11月に経験した「演劇」と「フルマラソン」という2つの出来事は、僕の中で強烈に「記憶に残る出来事」だったのだ。
だから、その後の時間の経過を「長く」感じているのだろう。
演劇に関わった皆が感じた「時間の経過」もそうだったに違いない。
また、天狼院に通い始めてから「まだ半年」と感じることについても同様。
今までに、このライティング・ゼミを含めて3つのゼミを受講し、単発のイベントにも参加したため、週に2、3回天狼院を訪れることも珍しくない。
小説、ライティングゼミの課題を書くこと。
僕にとっては1つ1つが初めての「経験」であり、自分では意識はしていないが、新鮮な「記憶」として記憶に刻まれているのは確かだ。
だからこそ、今年は人生の中でも稀にみる充実した一年であり、時間の経過が「長い」と感じる一年になったのだ。
天狼院に深く関わることにより、相対性理論を改めて考えるきっかけになるとは、非常に趣深い。演劇が終わって約一カ月と一週間……ってさっそく、あれからまだそれくらいしか経ってないのか? と思うのであった。
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