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僕らは自分と大切な人を守るために護身術くらいは身につけておくべき時代を生きている


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:牛丸ショーヌ(ライティング・ゼミ)

「ヘイ、ヘイ、ヘイ! フリー! フリー!」
海外旅行で気を付けなければならないのは路上での売り子の呼びかけ。
時は2007年2月、僕と妻は新婚旅行先であるイタリアのミラノに来ていた。
ゴシック建築で有名なドゥオーモ(大聖堂)を見学したあと、2時間ばかりの自由時間が与えられたため、街並みを散策していたときのことだ。
日本人は裕福であると思われているため、観光地では絶好のカモとされているらしい。
ツアーの添乗員からイタリアに降り立つ前に再三、注意を促された。
まだ海外旅行慣れしてなかったのと、日本ではありえないほど強引に声をかけてきて、物品を売り込んでくる売り子に最初こそ驚いたが、無視を決め込むことで避けることができた。
そのとき、なぜ立ち止まったのか後に妻と反省したが、やはり「フリー」という言葉に本能的に反応してしまい、「無料」ならばという貧乏根性が働いたからだった。
「無料だってよ」
「え、そうなの?」妻から言われ立ち止まってしまった。
黒い肌をした身長180センチは裕に越えている体躯のよい男が、すぐさま色とりどりのミサンガを取り出し、僕の左手首に結び付け始めた。
「ワット、アーユーフロム?」
結び付けている時間は数分だったが、コミュニケーションを図ろうと乏しい英語力で話しかけてみた。
「フロム、マリ」
アフリカ大陸のマリからイタリアに来たという。
移民というものだろうか。
僕は「ワオー」だったか、「オー」だったか、英語特有の感嘆の言葉を発し、確実に親近感を覚えた。
僕の手首に結び終えたら、次は妻の手首に。
それが終わったときだった。
「ヘイ、マネー! マネー!」
いきなり、その男が僕らに手のひらを差し出し、お金を要求したのだ。
え? え? 状況を飲み込むのに時間を要した。
純朴な僕らは「無料ではなかったの?」と思いつつも、ショルダーバックからお金を確認する。運の悪いことに、イタリアに到着してからまだ何も購入していない。
ということは、硬貨がない。
そんなに人目が少ないところではなかったと記憶している。
それなのに堂々と要求してくるところに驚きながら、仕方なく10ユーロ札を差し出す。
すると、「モア、モア」だったが、足りないとのジェスチャー。
周りを見ると、体躯のよい黒人が二人ほど近くにいて、なにやら声をかけている。
もしかしたら、「早くしろ」とでも言っていたのか。
恐怖は感じなかったが、緊迫感が伝わってきた。
僕は仕方なく、しぶしぶもう一枚の10ユーロ札を渡す。
すると、男はすぐさま走り去ってしまった。

楽しい新婚旅行の初日に僕はいきなり、ブルーになってしまった。
反省すべき点はいくつもある。
無視すると決めていたのになぜ、「フリー」という言葉に反応し立ち止まったのか?
なぜ「ヘルプ!」と叫ばなかったのか?
なぜ、妻と走って逃げなかったのか?

そして、最大の後悔は「なぜ、戦わなかったのか?」だった。
あのとき、戦うという選択肢は僕の中では存在しなかった。
相手が自分より身体が大きかったから。
黒人だったから。
刺されるかもしれないと怯えていたから。
海外で事件に巻き込まれると面倒だから。
言い訳はいくらでも並べられる。

僕がそのとき、なぜ「戦う」ことを選ばなかったのか?
答えは明確だった。
自分が弱いからだ。
精神論の話ではなく、戦う術を知らなかったからだった。

僕の4歳上の兄は、同じく新婚旅行でフランスに行ったのだが、タクシーで移動中にわざと遠回りをされて、ホテルの玄関から随分離れたところで停車され、通常以上の料金を請求されたという。
この類の話は海外旅行先でタクシーに乗った際に注意すべきこととしてよく聞く。
しかし、兄はここからが通常とは違った。
英語が話せない兄は「高い!」と激高し、兄嫁にタクシーの身分証をメモするよう指示した。
運転手は「ノン!」と叫んで、メモしている兄嫁の手を振り払う。
すると、兄は外に出るやいなや、運転者を外に引っ張り出し、羽交い絞めをして、兄嫁にホテルの係員を呼び行くように促したという。
兄は大学までラグビーをしていたこともあり、体格は骨格が大きい外国人たちと遜色ない。
外国でこのような振る舞いができる日本人は少ないであろう。

僕と兄の何が違ったのか?
それは格闘しても負けない身体と術であると考えた。

この経験もあって、僕はどうしたら強くなれるかを考えた。
自分の肉体を強く、そして戦う術を身につけるために何をすればよいか。
そして、2011年から「クラヴ・マガ」という戦闘護身術を習い始めることに決めた。

「クラヴ・マガ」は、イスラエルで考案された軍隊格闘術が発祥で今では「世界一の護身術」といわれており、CIA、FBI、SWATなどの警察、諜報機関が導入している。

週に1回1時間。
ただ、この1時間で体重が2キロ落ちることもあるほど激しかった。
トレーナーに元海上自衛官がいて、軍隊の過酷な訓練をやらされているようだった。
常に2人1組で動き、実践を意識した訓練。
相手の攻撃を防御またはかわして、こちらの攻撃を打ち込む。
危険を回避するための攻撃。
最小限の攻撃で相手を戦意喪失にする。
相手に必要以上の攻撃を加えない。
この理念が僕の目指すものと一致した。

基本的には自分の危険さえ回避されればよい。
何も英雄を気取りたいわけではない。
例えば誰かが集団で暴力を受けていたとする。
自分が強いからといって、仲裁に入り、集団を蹴散らす行為などは一切しない。
映画やドラマの主人公のように、わざわざ危険の中に飛び込む必要はない。
同伴者がいる場合を除いて、原則は自分の身の安全を確保することを第一義と考える。
これが護身術の鉄則。

あれから世界で、そして日本でさまざまな事件が発生した。
大阪心斎橋で通行人が通り魔に刺された痛ましい事件。
親族の結婚式出席のために訪れたグアムで現地人から刺殺された事件。

特にこの2つは数ある事件の中でも僕の記憶に残っている。
同じ状況に陥ったとき、自分はきちんと対処できるだろうか?
クラヴ・マガではナイフ(刃物)を持っている相手に対しての護身も教わった。
無意識に頭の中でシュミレーションしてしまうのだ。

このような場面にいつ自分が立たされるか分からないと考えてしまう。
それは何万分の一の確率だろうか、いやそれ以上の確率かもしれない。

しかし、その「とき」が万が一きてしまったらどうするか?
あぁ、もう少し運動して体力をつけておけば……
対処法を身につけておけば……

後悔だけが残ってしまう結果にならないだろうか。
常軌を逸する事件に巻き込まれたことを「仕方ない」「運が悪かった」と納得してしまうのだろうか。もちろん、誰も自分を咎めるものはいない。

でも僕は、その万が一のときに、とっさに動けるように準備を怠らないでおこうと思う。
イスラム国(IS)が「すべての日本人が標的だ」と警告してきた。
つい最近でも外国で女子大生が行方不明の事件が起きている。
外国に行かなければ、万事安全と決めつけるわけにはいかない。

僕らは自分と大切な人を守るために、護身術くらいは身につけておくべきだと思う。
そういう時代を生きているということを認識しなければならない。
さあ、明日からあなたもまずは、腕立てから始めてみようではありませんか。
1日10回。
1年で3650回。
この積み重ねが、確実にあなたを強くするだろう。
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-01-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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