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鹿児島県のCMを見て、「黒」に魅了される理由がようやくわかったかもしれない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:長谷川 賀子(ライティング・ゼミ)

「きゃー、この服かわいい!」

パステルカラーのお店の中から、高めの声が聞こえてくる。フリルのスカート、リボンのコート、先のまるいぺたんこの靴。かわいいお店の中で、茶色の巻き髪の女の子たちが話している。

可愛いなあ。

そう思いながら、ふと見渡してみると、世の中には可愛いものが溢れている。お菓子も、洋服も、雑貨も、アイドルだって、ふわふわっと綿菓子みたいで、子猫みたいな癒しのかたまりで。それからその魅力は世界共通なようで、「kawaii」が外国にも広まっている。

だから、世の中に可愛いものが溢れているのは当然なわけで、わたしも可愛いものは大好きだ。大好きなのだけれど・・・・・・、

最近、「黒」に、やたらと目がない。

「いかにも女子大生」というような無難な洋服を買いながら、気が付くと、大人のお店の黒一色のワンピースを遠慮がちに見つめている。
黒のハイヒールを試着してみると、なんだかちょっぴりどきどきする。
手に届かなくて、まだ似合わない黒に、憧れる。

けど、思い返してみれば、小さい頃から黒いものが好きだったのかもしれない。
家の前に止まっていた烏の黒が、綺麗だなーと何となく見つめていたし、
さらさらの黒髪のお姉さんも好きだったし、
練習していたピアノの黒も好きだった。

色だけじゃなくて、陰った天気の日の方が、感慨深くなるし、
どこか暗い色が潜んでいるような、そんな色をうまく出している人は魅力的。
ハッピーエンドのラブソングより、切なさが溶け込んでいる方が心地よかった。

でも、私だけじゃなくって、知らず知らずのうちに、世の中の人は、可愛いに癒されながら、「黒」に憧れているんじゃないか? 「暗さ」のあるものに魅了されているのではないだろうか。

工芸品の漆器の黒。墨の黒。それらは、ずーっと昔から大切にされ、「文化」という尊いものになっている。
建物とか服とか雑貨とかも、黒をうまく使っていると何となく高級そうに見えるし、素敵な黒のものは、高級なことも多い。
でも黒は、手の届かないものとしてだけではなくて、みんなが手を伸ばしたいというもの、あるいは好き嫌いなく馴染むものにもなりうる。
家電のほとんどは黒を使っているし、スーツは黒が基本だし、お葬式とかのフォーマルな場でも黒が使われる。

黒は、どんなときにも、どんな場所でも、「黒」であり続けながら、その場にあった「黒」になっていく。

それは目に見える色だけでなく、感覚的に黒いもの(暗さのあるもの)にも共通している。
好きな人の悲しみほど理解してあげたいのに、完全に理解できる簡単なものにはならなくって。
少女漫画の主人公には、どこか闇があることが多くって。
のろけ話とか、ハッピーエンドの恋愛ドラマには批判も来るけど、失恋話やどこか切ないストーリーには、みんな引き込まれていく。
そして映画の主人公には好き嫌いが分かれて話題になるけど、悪役は、好きか、あるいは話に上がらない(=ストーリーに溶け込んでいる)のどちらかになることが多い。さらには、悪役が主人公を押しのけて人気のこともあるし、大人ほどそれが好きだったりする。ヤッターマンのドロンジョ様はそれ単体で人気だし、ディズニーの悪役たちだって、数年前から悪役でシリーズができていて、悪役が主役で映画を書き換えていたりもしていた。

「黒」って、ほんとにすごいと思う。

だけど、どうして、「黒」はずっと「黒」なのに、どんな色にも染まらないのに、こんなに変化するんだろう。どうして魅了されるんだろう。

そもそも私が、黒を気になりだしたのは、中学生くらいの時に読んだ小説がきっかけだった。シャネルの人生を描いたものだった。

その中に、こんな一場面があった。
シャネルが黒人のウエイターを見たとき、黒こそ一番美しい色だと気が付いた瞬間だ。
そして、真珠のネックレスを垂らしただけのシンプルな黒のドレスというファッションを作り上げたこと。そのことが描かれた場面だった。

彼女が黒を美しいと思った理由は、その文章以外わからない。あのシャネルが感じた感覚的なものを理解なんてできないし、そんなことはおこがましい。
それに、中学生の私は、シャネルという一人の人物に感動することに精一杯だった。彼女の生き方、考え方に魅了されたから、彼女のいう黒に憧れた。だから黒に憧れて、黒い服が似合うようになりたいなって、何となく思っていた。

だけど、今、大学生になって、やっぱり自分なりに「黒」に憧れる理由が欲しくなった。彼女が言ったからではなくて、私が「黒」を美しいと思う理由が、欲しかった。

だから、こうして、黒いものをあげて、考えている。

共通するもの、そこにあるもの・・・・・・。

ぼんやりと、感覚的にわかりながらも、言葉にできない。

そんな風に頭の中をぐるぐるさせながら、休憩でもするかとYouTubeを見始めた。そんな時、あるCMが流れた。鹿児島県が作成した大島紬のPR動画だった。

糸を染め上げていくところから、織りあげて着物が完成するまでの工程を紹介した美しい動画だった。

途中、あるナレーションにはっとした。糸を染め上げるところだった。
「職人たちが最も美しい「黒」を目指して繰り返す」

職人たちが、田んぼの中に入って、糸を染めていく場面だった。
木の染料で染めた糸に、何回も、何回も泥を揉みこんで、やっと、大島紬の黒が出来上がるそうだ。

そしてそのあと、ていねいに丁寧に、織りあげて黒の着物が出来上がる、
いや、もっと初めの、糸をつくるところから、染める準備をするところから、手間をかけて丁寧に、丁寧に、つくっていく。

そうして、奄美大島の伝統工芸、大島紬が生まれる。
世界の他には存在しない、たった一つの黒の着物が生まれる。

そうか。

わたしは、このCMが、大島紬が、答えを教えてくれたような気がした。

「黒」って、手間をかけないとできないんだ。
美しい黒って、人を魅了する黒って、とても複雑で、色々なものが絶妙な加減で合わさってできるんだ。
まるで、大島紬が織り上がるみたいに。

黒って、明るくないし、色鉛筆でも最後まで長いまま。
絵の具を混ぜたら、ぐちゃぐちゃに混ぜたら、黒くなって。あーあ、汚い色になっちゃったって思われちゃう。

だけど、本当は、違うんだ。

何となく混ぜられた黒は、本当の黒じゃない。
本当の黒は、丁寧に、丁寧に、いろいろな色を混ぜなきゃ出来上がらない。
他の色を混ぜ合わせて作るとき、思い通りにいかないにしろ、ちょっと配分が違ってもまあいい色になるし、まさかのもっといい色になるときもある。
だけど、黒は、そうはいかない。
明るい色も、暗い色も、必要な色すべてを選んで、一寸の違いもない配分で混ぜなきゃいけない。
それでないと、本当の黒にはならない。

そしてもっと難しいのが、その丁寧な手間、絶妙な加減が難しいこと。それが目には見えないこと。

大島紬のあの黒の美しさの理由に気が付けたのは、その背景をみることができたから。

大島紬だけじゃない。
全ての本物の黒に共通している。

切ないラブソングは、一歩間違えたらうざったい弱音の歌になってしまうし、どこかミステリアスな魅力的な人物も、暗さの加減とそれを出すタイミングを間違えたら、ただのメンヘラだ。映画の悪役は、その性格、登場させるタイミングが複雑、かつ、主人公の立場を引き立たせないといけない。嬉しさ、楽しさ、ポジティブな感情は、ひとりひとりのバックグラウンドやその時の感情の違いがあっても分かり合えるけれど、悲しさはそうはいかない。感情が複雑にそして緻密に練り上げられているからこそ理解するのが難しいし、理解したいと思える。

シャネルの黒は、彼女の生きた背景があって、そこで培われた視点があったからこそ生まれたのだ。あの時わたしが感じた彼女の魅力そのものが、彼女の愛した黒に溶け込んでいる。
漆器の黒も、墨の黒も、職人さんや書道家、芸術家たちの努力と精神が受け継がれたからこそ、現在まで生き続けている美しい黒が出来上がる。

私生活の中に生きている黒も、何かしらの意味があるのだと思う。
機械をつくる際のデザイン決めに心理学関係の人も関わるとどこかで聞いた。ちょうどその時は機械の形状の話だったけれど、もしかしたら多くの人が気に入ってどの生活にも馴染む黒が、計算されているのかもしれない。

そういえば、ちょっと前に見つけて大好きになった天狼院書店のカラーも黒だった。素敵な本を美しい黒のカバーで飾ってくれる。艶やかにたたずむ黒の看板、京都天狼院の入り口をくぐれば、そこには何とも言えない面白い世界が広がっている。天狼院の黒が美しいのも、その黒そのものをつくった方の想いはもちろんだけれど、天狼院にかかわるすべての方の経験と想いとが複雑に積み重なってできている「天狼院書店」があるからだと思った。

それから、「黒」がどんな場所でも黒であり続けることができて、なのに、どんな場面にも馴染む理由は、このような黒が丁寧に、複雑に作り上げられる背景があるからだと思う。

丁寧に作り上げることは、丁寧に織られた布がほつれないように、きっと崩れることはない。
複雑にいろいろな色が混ざってできているからこそ、「黒」が置かれている場面に合わせて、溶け込んだ色の一つをちょっとだけ強調させることができる。丁寧に作られた芯の通った黒は、同じ黒のまま、その雰囲気を変えることができるのだ。

ああ、黒って、やっぱり、美しい・・・・・・。

と、こんな風に、「黒」に想いを馳せながら、あの時、シャネルの伝記小説を読んで、黒に憧れてよかったと思った。何気なく見ていたパソコンの画面に大島紬を見て、私が黒をいいなと思う理由が、自分なりに見つけられて嬉しかった。

私は可愛いものも、好きだけど、やっぱり遠慮がちに見ていた黒のワンピースが似合うようになりたいし、黒のように芯が通って、表情豊かで、心遣いのできる大人になりたい。

それから、いつか、天狼院の黒にふさわしい、そんな文章を、私も書けるようになりたいな。

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-02-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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