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メディアグランプリ

今まで信じてきたことがデタラメだったらおもしろい、と思いません?


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記事:伊藤かよこ (ライティング・ゼミ 日曜コース)

 
 
「うーん」
六十代のその男性は腕ぐみをしながら首を横にふった。
会場全体を見わたすと、しぶい顔をしているのはその男性だけではなかった。
ムッとした表情の人が数名。重い空気がただよう。
 
その日、私は「腰痛」をテーマにある市民団体で講演をしていた。
会場の空気がかわったのは、私が、急性腰痛、つまりぎっくり腰の対処法について話していた時だった。
「ぎっくり腰になった時は、安静にせず、できる範囲でいつもどおりの生活をおくりましょう」
講演の参加者のみなさんがしぶい顔をするのも無理はない。
なぜなら、「ぎっくり腰には安静」それが今の世の中の常識だ。
「痛いんだから動いてはダメに決まっている」
だれもがそう思っているし、医師や治療者などの専門家でさえそう信じている。
 
ところが、最近の研究によって、「ぎっくり腰」は、安静にすればするほど痛みが長びき、再発する可能性が高くなることがわかってきたのだ。
「安静にしなければいけない」から「安静にしてはいけない」へ。
真逆の方向への180度の転換。
 
日本の腰痛患者さんはだいたい2800万人といわれている。そして、この腰痛にかかわる年間の医療費は820億円以上。しかも、これは健康保険がきく病院などでの医療費で、整体や鍼灸などのいわゆる治療院にかかるお金もふくめると1000億円をゆうにこえるだろう。腰痛への医療費は、国の財政、国民の生活を圧迫している。
 
それは日本以外の先進国でも同じだ。特に、国民の医療費が原則無料で、国が医療費をまかなうシステムの国では、国の財政にかかわる大問題だ。そのため、少しでも早く安く腰痛を治すための研究が数多くなされている。
 
研究結果がすべてただしいわけではない。科学的な研究にもとづく結果を“エビデンス”というが、この“エビデンス”にも信用できるものからそうでもないものまで信頼度のレベルというものがある。「ぎっくり腰は安静にすると長びくし、再発率も高い」という研究結果は、その中でも信頼度の高い研究なのだ。
 
そうはいっても……。
今まで信じてきたことと正反対の意見は、常に疑われる。
多くの人にとっては、エビデンス? 信頼度のレベル? そんなよくわからない話より、まわりの医師や治療者、まわりのみんなが言っていることの方が正しいに決まっているのだ。
 
それに、エビデンスをつかって、ていねいに説明しようとすればするほど、相手は反発する。なぜなら、人は今まで自分が信じてきたことを否定されると、自分の世界観をおびやかされるように感じる。その不安から解放されるために、新しい情報やそれを伝える人のことまでも「あやしい」と認識するのだ。
 
この市民講座での参加者の反応がまさにそうだった。講師を名乗るこの人はいったいなにものなのだ? 疑いの目は、私の話の内容だけではなく、私の存在そのものに向けられる。
 
こんな時私は、ガリレオガリレイのことを少しだけ考える。
そう、天動説が常識だった時代に、「それでも地球は回っている」と地動説をとなえたガリレオだ。ガリレオはこのことで裁判にかけられ、無期刑になった。正しいことを言っただけなのに、さぞや無念だったことだろう。
 
地動説のように本当のことはいつか必ず多くの人に知れわたる。時間はかかるかもしれない。それでも私は伝え続けようと思う。なぜなら私もかつて、腰痛に苦しんだ一人だからだ。
 
二十代の半ば、私はひどいぎっくり腰から入院をすることになった。腰痛が悪化したのは、「安静にしなかったからだ」と思い込んだ私は、腰への負担を考えて、やっと手に入れた憧れの仕事をやめた。
痛みがあるうちはとにかく安静にして、しっかり治そう。
そして、痛みがなくなったら働こう。
しかし、どんな治療をしても私の腰痛は治らなかったのだ。
 
結局、私は痛みをかかえながら、あたらしい仕事についた。そして、私の腰痛はいつの間にか治った。もし、あの時、腰痛があっても動いた方がいい、ということを知っていれば、私はもっと早くに腰痛から解放されただろう。
 
今も多くの人が知らないがために、無駄に安静にし、無駄に長引かせ、無駄に悩み、無駄にお金と時間を使っている。
知識は人を救う。知識を伝えることで、過去の私のような人を一人でもへらすことができればと考えている。
 
それに私は、ガリレオとちがって一人じゃない。
全体からみればまだまだ少数だが、「腰痛」に関する最新の知識を伝えようとしている医師や治療者は増えづづけているのだ。
 
じわじわと少しづつ広がりつづける情報が、一気に急激に知れわたる「臨界点」のことをティッピングポイントという。
「ぎっくり腰になったらなるべく安静にしない」この情報に関するティッピングポイントは、必ずくるだろう。
今まで信じてきた常識がひっくりかえる瞬間。
私はこの目でみたいのだ。その瞬間を。
 
 
***

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2017-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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