メディアグランプリ

オタクであることがマルチタスク習得のカギ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【6月開講申込みページ/東京・福岡・京都・全国通信】人生を変える!「天狼院ライティング・ゼミ」《平日コース》〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
【東京・福岡・京都・全国通信対応】《平日コース》

記事:中村響(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
この物語はフィクションです。
 
「やってられるかぁっ!!」
その日、私は机に積まれた文書の束を文字通りぶん投げた。
こんなにたくさんの仕事を同時並行で出来るかと叫んだ。
そこには作業がキャパを越えても誰かに助けを求めることさえしない、
怠惰で身勝手な私がそこにいた。
そんな私を変えたのは、自分の好きなことを、時間を決めて同時に行うことだった。
「好きを一度に、時間を決めて」これが合言葉だ。
アニメを見、ライトノベルを読み、ニコニコ動画を見、ゲームをする。
それも一度に、時間を決めて。
オタクであることがマルチタスク習得のカギなのだ。
私はこの年に大学3年生になった。
所属している英語部と生徒会では役職が付き、
今年からゼミにも所属した。
しかし、バイトは減らせない。
今までとは比にならない作業量の多さに私はパンクした。
数日間、音信不通になり、全てを投げ出した。
そんな時、私は英語部の先輩から食事に誘われた。
2年生まで能力もやる気もあるように見えた私が、
このようなトラブルを起こしたことが信じられなかったらしい。
そこで私はマルチタスクがあまりにも上手くいかず、つぶれてしまったことを
先輩に相談した。
すると先輩は大変だったなと慰めるとともにおかしなことを聞いてきた。
「そういえばさ、今期は何のアニメ見てる?」
仕事が多すぎて、時間がないと言う問題で相談しているのではなかったのかと
憤る私に先輩は続けた。
「お前は好きなものを有効活用できていない。
好きなものさえ、生産性が低いのに面倒な仕事を高い生産性で回せるわけがないだろ」と。
どういうことかと詳しく聞くと実は先輩も高校時代に同じことで悩んだらしい。
先輩はいわゆる「何でも出来る人」で、中学時代から成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗の3拍子揃っている。
しかし、中身はオタクでありアニメやラノベがとにかく好きで、オタクを自認する私でもその知識量には圧倒されるほどだった。
 
学業成績を維持し、部活や人間関係にも手を抜かずに好きなことをするために
先輩はとんでもない方法を編み出した。
それが「時間を決めて、全てを同時に行う事」で自分のキャパを広げるという方法である。
具体的には趣味の時間は毎日1時間半と決める。
その間にテレビは見たいアニメを連続して再生しておく。
この趣味の時間で3本は消化できる。
パソコンはニコニコ動画の見たいものを流す。
手にはライトノベルかマンガを持って流し読みする。
これを一度にすれば大丈夫だという。
まずそれを聞いて私は唖然としてしまった。
必要に迫られたからとはいえ、いくら何でも無茶苦茶だと思う。
先輩はこう解説してくれた。
「そもそも、ラノベやアニメの楽しさは物語そのものもそうだが、
他人との話で盛り上がることにある。
そして会話で盛り上がれるのは大体、ストーリーが大きく動くときか
登場人物に特徴的なセリフがあるとき。
そこさえきちんと頭に入っていれば、会話に困ることはない。
また人に話す前提だから記憶にも残りやすい」
要するにアニメ、マンガ、ラノベのストーリー運びには大体パターンがあるから、
流せる部分は流して美味しいとこだけ集中すればよいということらしい。
例えば1時間半の中であるときはアニメの佳境に集中し、アニメが流せる時に
ラノベを30ページ程流し読みし、場面が切り替わったらまたアニメに戻るという具合だ。
上達してストーリーの流れが読めるようになれば、短い時間で2冊3冊とラノベを処理できるようになる。
先輩は最後にこう言った。
「まあ、ドンドン上達?するから楽しいんだよな。
もともと好きなことだからキャパ上げるにはこの方法がピッタリなんだよ」と。
ひとしきりレクチャーを受けて、私は呆然としていた
今迄はアニメを「面白かった」で終わらせていたし、
より多くの作品を深く楽しむために
ストーリーに気を配るなんて考えもしなかった。
何よりも「楽しむ」ことは「時間が掛ること」と同義であると思い込んでいた。
そして、この姿勢こそがその人の「生産性」を高める良い機会だということに初めて気が付いた。
 
仕事で全てを一度に回そうとするとつらいばかりだが、この方法でなら苦にすることもない。
この食事の後、私は時間を決めてアニメを見ながら、ライトノベルを読むようになった。
迷惑を掛けた人たちに謝り、部活動の仕事を再開した。
幸いこの習慣が付いて以来、マルチタスクの肝を身に付けることが出来、
卒業まで仕事でパンクすることはなかった。
この方法は特にインドア派の趣味と相性が良いので、仕事で行き詰まりを感じている方はまず趣味をこのような形で充実させてみてはいかがだろうか。
1つ1つの趣味へのより深い理解が得られること請け合いである。
一人のオタクとして、成果が出ることを保証する。
この原稿もニコニコ動画を見ながら書いている。
「好きを一度に、時間を決めて」を忘れずに。
楽しんでいきましょう。
 
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

http://tenro-in.com/zemi/writingsemi/36546

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2017-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事