メディアグランプリ

現実世界の「本屋での出会い」は、少女漫画なんかじゃない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:キクモトユキコ(ライティング・ゼミ 日曜コース)

 

「あっ……!」
手と手が重なり、思わず自分の手を引っ込める。

本屋のお気に入りの作家の棚の前。お目当の本を取ろうと手を伸ばしたところで、他の誰かの手が同じ本を取ろうとする。一瞬重なった手を引き、もう一方の手の主を伺うと、そこには誠実そうな青年が同じ仕草でこちらを伺っていた。見つめ合い、そして二人に訪れる沈黙……。

“本屋での出会い”
そう言われて思い浮かべるのは、少女漫画にありそうなこんなワンシーンだ。いやいや、そんなの少女漫画の中の話だけで本屋での出会いなんてそうそう起きるものではないでしょ? と思うかもしれない。

けれど、私はその”本屋での出会い”を体験してしまったのだ。
そしてそれは、冒頭のようなロマンチックな少女漫画のようなものでは全くなかった。

「みなさんどういったご関係ですか?」
京都の繁華街、木屋町にあるワインバーのカウンターで女子3人、蜂蜜酒を飲んでいた。話の取っ掛かりにしようとしたのか、マスターが私たちにそう尋ねる。単なる友人とするには年齢層が幅広かったからかもしれない。私たち3人は目を合わせて苦笑した。
「本屋さんで知り合ったんです」
「本屋さんで?」
本屋で出会っただけでワインバーで蜂蜜酒を飲みながら歓談する仲になれるのだろうか。そんな疑問がマスターの顔にありありと浮かんでいた。思った通りの反応だったので私たち3人は更に苦笑する。説明するのが難しいんですけどね、と前置きをして3人の出会いを説明した。

祇園近くに今年オープンしたばかりの本屋さんがあること。そこにはカフェスペースもあり、そのスペースでよく本屋主催のイベントが開かれていること。そのイベントの一つに、男子禁制、女性のみで夜な夜な女性が女性を撮り合う(しかもセクシーに!)イベントが月一で開かれていて、私たちはそこで出会ったということ。

かいつまんで要点を話したけれど、それでもマスターは消化不良のようだった。突っ込みどころが多かったのかもしれない。最後には無理やり納得させて、マスターの帰り道にあるけれど存在に気付かなかったらしいその本屋を3人で強くオススメしておいた。

かの有名な少年誌、週刊少年ジャンプにはこんなコンセプトがある。
「友情」、「努力」、「勝利」
この少年誌に掲載される作品は最低でも一つ以上、この要素を盛り込むことが要求されているらしい。確かにパッと思いつく有名作品には漏れなくこの要素が含まれている。そしてジャンプに限らず、世の少年漫画はほとんどこの要素が含まれているのではと私は思う。

この不思議な本屋に通ううちに、”本屋での出会い”というものは少女漫画ではなくむしろ少年漫画なのではないか? と思うようになっていった。

先に挙げた、男子禁制の写真撮影会だけではなく、この本屋ではテーマに沿った自分の好きな本を熱く語り合う読書会や、本屋に集まってからみんなでカメラを手に散歩をして、最後に参加者同士で「今日の1枚」を発表し合うフォトイベント、TOEICE対策のゼミや私がこうして文章を書いているライティングゼミなど多種多様なイベントが日夜開かれている。

それぞれのイベントで出会った人たちとはイベントの回数を経ていつしか「友情」が芽生えていく。そう、その本屋関係なくワインバーで一緒に飲んだりするほどに。同じような目的でイベントに参加しているので趣味嗜好が近い人が多く、とても話しやすいのだ。その内にこの人とあの人が繋がって、それがさらにこっちで繋がって、なんていう連鎖も増えてくるのだ。少年漫画の主人公が冒険を進めていくうちに仲間が増えていくように。

そしてそれぞれのイベントに参加するにあたり、参加者は様々な「努力」をすることになる。フォト系のイベントに参加する人は写真に関して上達したいと思うから参加するし、ライティングゼミは週一回の課題提出があり、ネタ切れに苦しみながらもなんとかひねり出して文章を書く。TOEIC対策にしたって、勉強そのものが「努力」だと思う。

大人の世界では学生時代の部活のような試合での勝利や、特殊能力をぶつけ合うようなバトルなんかはなかなかない。それでも自分で定めた目標にたどり着くことが「勝利」ではないだろうか。写真の技術が上達する、TOEICで良い点数を取る、ライターとして仕事をもらえるようなプロになる、等々。

少女漫画のような”本屋での出会い”によって知り合った二人がロマンチックに結ばれてめでたくハッピーエンド。
少年漫画のように”本屋での出会い”で知り合った仲間と「友情」を育み、切磋琢磨・「努力」し合い、目標を達成するという「勝利」を得る。

人生を楽しむなら少年漫画式”本屋での出会い”の方が魅力的ではないだろうか。その少年漫画の舞台は天狼院書店という、人に説明するのがちょっと難しい不思議な本屋さんで、私はそこで少年漫画的醍醐味を日々味わっているのだ。

あれ? ……ちょっと待て。
『現実世界の「本屋での出会い」は、少女漫画なんかじゃない』なんてタイトルをつけて、こうして散々「少年漫画のような”本屋での出会い”」について語ってきたけれど、ちょっと待って、と自分にストップをかけたくなってしまった。「少女漫画のような”本屋での出会い”」も私が体験していないだけで、実際にこの本屋では起こりうるのではないだろうか?

だってここは多種多様なイベントが日夜開かれている。趣味嗜好の近い人たちが集まるから話しやすい。そこで出会って結ばれた二人がいるのなら、それは結婚式のスピーチで「二人はとある本屋さんで少女漫画のような出会いをしました」と馴れ初めを紹介されても良いのではないだろうか。

もしかしたら全国の本屋の中で一番「少女漫画のような”書店での出会い”」ができる可能性のある場所なのかもしれない。少年漫画も少女漫画も対応可なんて、最強の本屋ではないか。

そんな結論に辿り着くと、少年漫画のような”本屋での出会い”を経験してしまった私は俄然、死ぬまでに一度でいいから少女漫画のような”本屋での出会い”を体験してみたいなあ、と欲深く思ってしまうのである。

 

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2017-06-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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