メディアグランプリ

距離感がつかめなくなった人のことを、オバさんと言うんだ。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山崎陽子(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
なんでこの人こんなに寄ってくるんだろう?
もうすぐで博多駅につく。地下鉄の車内。
私はドアのそばに立っていた。
 
ジワリジワリとオバさんが間合いを詰めてくる。
 
今日は、水曜日。しかも今は、お昼の14時20分をすぎたところ。
車内は混んでいない。見回すと私の後ろ以外は、ガランとしている。
地下鉄走行中で、博多駅に到着するまでまだ1分はかかるが、降りる気マンマンのオバちゃんは、私がドアのそばに立ってるのをお構いなしに少しずつドアに寄ってくる。
 
首筋にあたるオバちゃんの吐息。そして熱気。車内のエアコンが、オバちゃんの熱気越しにあたりモワッとする。こういう場合、なんと言ったらいいんだろう?
「近いです」
そうすっぱり言ったら良いのだろうか? でも、失礼かなぁ……。
 
悶々と思い悩んでいたところで、「博多〜。博多〜」とアナウンスが入った。
そのアナウンスを聞いて、最後の間合いを詰められ、私の腕と、オバちゃんの腕がピッタリくっついた。
季節は夏。汗ばんだオバちゃんの体温を直に感じる。もう勘弁して欲しい。
プシューッっという音と共に、ドアが開き、ようやく解放された。
 
よほど急いでいたのかと思ったが、そうでもないらしい。
私を追い抜いていくかと思いきや、普通に歩いている。疑問がわく。あの距離感は何だったんだろう?
 
そしてまた、オバちゃんはエスカレーターでぴったりとすぐ後ろにくっついて乗ってきた。
オバちゃんの持つカバンが、私のお尻を絶妙な距離感でサワサワとなでる。
新手のチカンか? もしくは何かのイタズラか?
 
基本的にNO! を言えない私。言ったら悪いかなぁ……。 とか、この人なんでこんなことするのかしら? と、変に理由を考えるクセがあるため、おそらく絶対に、自分が悪くないはずの場面でも、自分がなんか悪いのかも。と言葉を発するのをためらうことがある。
波風立つくらいなら、我慢する方を選ぶ。そう言うと、平和主義のいい人のような気がするが、ただ単に、きっぱり言うことに臆病なのだ。
 
先日。京都へ仲の良い友人と3人で旅に出た。
誰の行いが悪いのか、京都につくと、土砂降りの大雨だった。
駅前のタクシープールには、タクシーはすっからかんの大行列。
 
鈴虫寺に行くことにしていた私たちは、大雨の中、電車とバスを乗り継ぎ移動することを諦め、タクシーを待つことにし、行列の最後に並んだ。
 
ここでもそれは起きた。
 
久々に会う女3人の旅。ワイワイと他愛もない話をしながら行列に2列で並ぶ。
私たちのすぐ後ろに、前髪の一部が紫色の推定年齢60代後半のオバちゃんが並んだ。
この大雨にイラだっているのか、前を覗いたり、自分の前に並んでいる人の人数を数えたり、落ち着きがない。
しばらくすると、私の後ろにいた亜希ちゃんが、私にヒソヒソと耳打ちをしてきた。
 
「このオバちゃんの距離感が近すぎる」
 
タクシーが1台くるごとに、数歩ずつ前に進んでいくのだが、前のお客が動いてなくても、ジワリジワリと前に進んでくる結果、亜希ちゃんとピッタリ密着していたのだった。
「暑いのにー。余計蒸し暑い〜」と訴える亜希ちゃん。
なかなか列は進まない。が、オバちゃんは止まらない。気がつけば、すっかり4人グループのように、私たちは、密集していた。
行列を整理する方に、「お次は〜 4人?」と確認されるような距離感だ。
 
ようやくオバちゃん密着事件から解放された私たちは、鈴虫寺に向かうタクシーの中で、その理由を考えてみた。
私以外の2人も、電車やバスの行列で、オバちゃんに間合いを詰められた経験があった。
 
そこで議題は、
なぜオバちゃんという人種は、電車やバスで、ドアが開いてないのに前に進むのか。
 
いろいろ考えてみた結果。私たちが出した答えは、
前に立ってる人のことを見てない “空気読めない説”
オバちゃんとは我先に進む “ワガママな生き物説”
ドアが開いてる短い時間の間に降りれるか “体力不安説”
 
ササっと動けるのなら、別に間合いを詰める必要もない。でも、年齢と共に、無意識で自分の体力がどのくらいなのかわかっているのね。
その無意識が、間合いをつめさせるのね! きっと! と私たちは、体力って大事よねー。と結論をつけた。
距離感だいじ! 人との距離感がつかめない=空気読めない。気をつけなきゃねー。と
アラフォー3人でわいわいと話していた。
 
旅から戻り、日々の仕事に戻る。
今度の3人の旅行。どこに行こうかなー? とか、ぼんやり考えたり、今日の晩ご飯何にしようかな。と考えつつ、帰りのバスが来るのを待つ。
 
電光掲示板に、乗る予定のバスが1停前の表示。「もうすぐバスが来る」ぼんやりとその表示を見ながら
列に並んでいたその時。
突然、目の前の女子高生が振り返った。いぶかしげに私を見る。
そこでハッと気がつく。
私の持っていたカバンが、彼女をサワサワとなでていた。無意識で距離感を詰めていた!
完全に無意識だった! なんてことだ!
地下鉄のオバさん。京都のオバさん。いや、もうすべてのおばさま先輩方。
悪気はなかったこと。しっかり認識しました。自分のことを棚にあげディスってすみません。
しっかりとこの度、仲間入りしました! これからどうぞよろしくお願いいたします!
 
 
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2017-07-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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