メディアグランプリ

世の女性たちよ、「女らしさ」を手に入れたければ髪を捨てよ


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記事:蒔田真弓(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
「白血病です。今すぐ入院して治療します」
やっぱりそうなのか、という諦めと、何かの間違いじゃない? という混乱。
そして一呼吸置いて襲ってくる、断崖絶壁から突き落とされる寸前のような絶望感。
 
7年前、私はどこにでもいる、普通の「女子大生」だった。学業に部活、バイトに遊びも恋愛も……と充実していたある日の夏。通学中に自転車で転んでしまい、全身から出血して動けなくなってしまった。意識朦朧の中病院に担ぎ込まれた時に言われたのが、あの言葉だった。
 
それまでの私にとって、白血病という病気は小説や映画の中の言葉だった。
若い女の子のヒロインが、無菌室に閉じ込められ、やがて副作用で髪が抜けていって衰弱して死んでしまう……。そんな儚いストーリーは何度か聞いていた。しかしいざなってみると、血と痣だらけの汚い体で至るところに点滴を刺されて、高熱と副作用にうなされる様子は、全然映画のヒロインみたいに綺麗じゃない。儚さもない。しかも映画のストーリーみたいに私の心の支えになってくれる王子様もいない。最初から私の知っている筋書きと違い過ぎる。これからいったいどうなるの?
 
「髪の毛、抜けちゃうんですか?」
「抗がん剤の治療をして10日ほどで抜け始めます。でも治療が終わればすぐ生えてくるから心配しなくて大丈夫ですよ」
 
冗談じゃない、髪の毛が無くなるなんて。一体今がいつだか分かってんの?
そう、タイミングが悪いことに、私は半年後に控えた成人式の為に、髪を伸ばしていたのだ。今髪の毛がなくなったら、成人式に間に合わない。そもそも私、成人式出られるんだっけ?
 
一気に現実に引き戻され、ワーワー泣いた。学校は? 部活は? 来週のバイトは? 髪の毛なくなるなんて、死ぬより嫌だ! 女子じゃなくなっちゃう! 泣いて泣いて、いつの間にか眠ってしまっていた。
 
意識朦朧の状態から回復して数日後、その時がやってきた。目が覚めると目に飛び込んでくる、ベッドの周りに落ちた大量の髪の毛。触ると束になってごっそり抜ける。シャンプーをすれば排水溝のあたりはもはやホラー映画の一場面のように真っ黒だ。泣きながら抜けた髪をかき集めてごみ箱に捨てた。数日後、あっさり諦めて丸刈りにしてしまった。成人式は泣く泣くウィッグをセットしてもらって参列した。
 
髪が無くなると、いかにこれまで女らしさを髪に頼ってきたかを痛感させられる。子どもの頃は、母親が結ってくれた髪に可愛らしい髪飾りをつけるのが毎日のおしゃれ。もう少し成長すると、艶のあるやわらかいサラサラヘアになる為にありとあらゆるヘアケア商品を試したり、縮毛矯正をかけてみたり。大学生になれば、明るく染めた髪色にパーマ。エクステをつけたこともあった。「髪は女の命」という言葉がずしん、と響く。シャンプーのCMが私をいちいち憂鬱にさせる。誰だよ、そんなこと言い始めたの。
 
次第に「この髪でも、女子以上に女子らしくなってやって見返してやりたい」という思いが芽生え始めていた。髪が無いくらいで女じゃない認定されて、たまるものか。
 
思い立ったはものの、現実は意外と厳しかった。幼少から続けていた水泳仕込みの広い肩幅と、残念ながらボリュームの無い胸とお尻のせいで、すっぴんでは男の子も同然だ。ちゃんとメイクしたはずなのに、ウィッグを外して街を歩いた時、見知らぬおばさんに男の子に間違えられた時は3日くらい凹んだ。
 
それからは試行錯誤の日々が続いた。雑誌を読み漁り、フェミニンさが際立つメイクを研究した。ファッションも変えた。ベリーショートに、あえてボリュームのあるスカートやヒールを合わせてみた。髪を揺らせない代わりに、インパクトのあるピアスをつけた。日本舞踊やスピーチを習い、女性らしい立ち居振る舞いを学んだ。必死になってやっていたのが、いつの間にか楽しくなっていた。そして、「最近変わったね」と言われる機会が増えてきた。髪はベリーショートのまま、伸ばすことはなくなった。
 
確かに、長く揺れる髪は女性の特権でもあり、また女性の美しさの代名詞でもある。しかし、女性を女性たらしめるものは髪だけではないと私はこの人生の一大事件で学んだ。もちろん、まだまだ勉強途中でゴールには到底到達できていないが、女性であることを楽しむ気持ちと自信が、真の女性になる為の手段だと私は信じている。
 
そしてこの経験で自信を得た、いや、調子に乗った私は去年、ある暴挙に出た。憧れだったミスコン「ミス・ユニバース・ジャパン」の県予選にエントリーしたのだ。数年前から続けてきた信念が、どこまで世間に通用するのか挑戦したかったからだ。もちろん、応募動機には私の意識を180度変えることになったあの事件と、私の熱い信念を添えて。結果は県で3位。日本大会への出場は叶わなかったが、私の思いに対して反響もあり嬉しかった。もう、髪が無くたって私は怖くない。今年は日本大会出場を狙うべく、数ヶ月後の大会に向けて自分を磨き続ける日々である。
 
 
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2017-09-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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