メディアグランプリ

ツンデレが好きな人には


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:中澤一志(ライティング・ゼミ 日曜コース)

 
 
「ちょっと待って」

とあるレストランで料理が運ばれてきたとき、店員さんは私の前に料理を置きながら、そう言ったように聞こえた。

「ちょっと待つ?」

私は少し不思議に思いながらも、店員さんの言葉を繰り返した。そして、待った。

すると、隣に座っていた中年の男性がいきなり大爆笑し始めた。そして、なにやらこちらに話しかけてくる。「違う、違う、そうじゃないよ」と説明してくれるかのように。

料理を運んできた若い女の店員さんを見ても、同様に何やらウケている様子だ。同じ言葉を何度か繰り返した後、おもむろに私の箸を手に取り、運んできた料理に手を伸ばした。熱い鉄板の上にのっている肉を裏返し始めたのである。「忙しいのに、今回だけ特別よ」という感じで。

私は納得した。そして、最後に「謝謝(ありがとう)」とお礼を言った。

そう、これは中国のレストランで起きた出来事である。私の拙い中国語力のために起きたエピソードだ。肉をひっくり返すように言っているのに、私は待つように言われていると聞き間違え、隣の男性まで巻き込んでのちょっとした騒動になってしまった。意外かもしれないが、このように中国の人たちは、みんな結構世話好き、話好きである。それをよく感じるようになったのは、片言の中国語を私が話すようになってからで、似たようなエピソードは他にもある。例えば、タクシーに乗る時、私が中国語で話しかければ、雑談が始まり、私の中国語は大したレベルでもないのに発音が良いと褒めてくれたり、時には、その土地の名物を教えてくれたりする。私が聞き取れないことを伝えると、わざわざスマホの翻訳アプリを使って訳してくれたことまで何度かあった。

こんなちょっとした、心が通い合ったような瞬間が私は好きだ。こんな経験はしたくない、普通にネイティブのように話がしたいと言われるかもしれないが、実際に出くわしてみると、人情に触れたような気がして気持ちいいし、心にずっと残ってしまう。

確かに人と人の間には壁がある。それが外国人との間となれば、なおさらだ。文化や習慣が違うわけだし、そもそも言葉が違う。そして、イメージの影響もある。日々目にするテレビのニュースやネットの記事は、基本的にはバッドニュースである。そうでなければ、ニュースにならないから当然と言えば当然なのだが、これで大きな壁が出来上がってしまっているように思う。そしてこの壁を取り壊すのが難しい。別に壁を取り壊さなくても生きていけるわけだし、十分楽しいわけだから。

でも、私はこの外国の人との精神的な壁が取り壊されるような瞬間、まさに心が通じ合ったような瞬間が好きなのだ。そして、その壁は大きいほど、気持ちいがいい。まさにギャップ萌えの瞬間である。この相手の間に立ちはだかる壁を取り壊すハンマーとなるのが、現地でその国の言葉で話すこと。それは、たんに挨拶だけでもいい。それだけでぐっと距離が縮まり、大きくそびえていた壁に穴が開く瞬間がある。冷たい人たちで話しかけても無視されるのではないかと思い込んでいたのにも関わらず、みんなおせっかいなくらい親切だと感じる瞬間。このギャップ萌えがたまらない。次の快感を味わいたく、またいろんな人に話しかけたくなる。そのために、もっと勉強したくなる。

これが私が中国語の勉強を続けられている理由だ。

中国語を勉強しようと思ったそもそものきっかけは、仕事で出張する機会があったからなのだが、実は日本語がわかる中国人のスタッフが現地にいるし、仕事の取引先の相手も大抵は英語を話せるので、むしろ英語の勉強をもっとしなければならないような状況だった。それでもいつかどこかで役に立つかもしれないという思いと、新しいことを始めることで気分転換になるかもしれないという思いで、なんとなく始めてみたのだった。けれども、結局のところ、このように仕事とは関係のないところでの何気ない会話で心が通じあう瞬間のとりこになってしまった。話しかけたときに感じるギャップ萌えが快感になってしまったのである。

皆さんの中には、語学の勉強が嫌でしょうがないという人も多いと思う。そんな人たちには、このギャップ萌えの瞬間を味わい、それを楽しみにすることが私のおすすめである。一度この経験をすると、きっと次はこんなことを話してみたいという気になる。それで新しい単語を覚えたり、文法を勉強することが苦でなくなるかもしれない。いかがだろうか?

但し、それはツンデレが好きな人に限りますが。

 
 
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2017-09-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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