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従妹の命日によせて


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記事:安光伸江(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
今日、2月25日は、従妹の命日である。
 
従妹、というからには私より年下。3年あまりの闘病の後に、3年前の今日亡くなった。
 
それより1年半だか2年半だか前の8月25日は、大学時代の旧友が心筋梗塞で急逝した日でもある。
 
なので、毎月25日は、従妹と旧友の月命日。彼らを偲んでお茶をすることに決めている。毎月しみじみお茶をしているので、何年前なのかだんだんわからなくなってきた。
 
従妹も旧友も、いい人だった。
 
旧友は豪放磊落、ということばがぴったり来る人で、その性格の明るさに救われたことも何度もあった。
 
従妹はたぶん親戚中でもいちばんいい子の部類に入ったのではないかと思う。
結婚してからも食事は薄味、健康には気をつけていた、という話なのに。
 
なにやら調子が悪いということで病院に行ったら、がんがみつかった。
しかも、手術ができない状態だという。
抗がん剤の治療をしたらしいが、主治医のみたてどおり3年で亡くなったとのことだ。
 
いい人ばかりが早く死んでいく
私がかわりに死んであげればよかったのに
 
うつ病患者の私は、すぐ「死にたい」という言葉が浮かぶ。
死にたい死にたいといっている私が生きて、生きたがっていた従妹が死ぬなんて。
理不尽だ。
 
そんなことを思っていたら、今度は私が乳がんになった。かなり進行していた。自覚症状があったのだからよっぽどだ。
父が亡くなって親戚がちょくちょく我が家に出入りするようになり、たまたま来ていた従姉に相談したら、翌日すぐに病院に連れて行かれた。先生は険しい顔で診察し、その日の検査だけでも乳がんと言われ、さらに生検の結果で確定した。全摘手術と術後補助療法で完治の可能性も5割くらいはあるらしい。
 
その後は慌ただしかった。ほぼ寝たきりの母の介護をしていたので、母を別の病院に預けて私の入院と手術を乗り切った。
手術の保証人には叔父(従妹の父上)がなってくれた。手術が無事に終わった時には、涙を流して喜んでくれた。本当にありがたかった。
 
従妹の分も生きなくてはいけない。
 
そう思った。抗がん剤などの治療も従妹が見守ってくれたからがんばれた。
そろそろ術後1年半になるが、来週の検査でもおそらく再発・転移はないんじゃないかと思う。
 
従妹が病気になった時に私は会いに行かなかった。行かせてもらえなかった。
おそらく、私が代わりに死ぬ! と騒ぐといけないからと思って父が止めたのだろう。
今となっては会っておけばよかったかなと思うけれども
 
私の記憶の中の従妹は、高校時代のかわいい姿のままだ。
うちの高校の後輩にあたるので、私の妹かと先生方に聞かれたそうだ。
性格もよく、野球部のマネージャーをしていたとかで、その頃は野球部もけっこう強かったらしい。従妹が支えていたからかもしれない。
 
ほんとにいい子だった。
もっと会ってもっと話しておけばよかった。
 
従妹が亡くなった日、買い出しから帰ってくる途中、家に近づいたとき
 
「さようなら」
 
という声が聞こえた気がした。その場面は今もはっきり思い出せる。
 
その後しばらくしてから従妹が亡くなったという電話があった。
亡くなったのは早朝だったそうだが、あちこち挨拶に回っていたのかもしれない。
私のところにも挨拶に来てくれたのかもしれない。
 
そういえば、何年か前に旧友が亡くなった日は、ツクツクボウシが網戸に張り付いていた。その年はじめてツクツクボウシが鳴き始めた日だった。
 
ぴん
 
と網戸を指ではじくとツクツクボウシは飛び去ったが、あのツクツクボウシは旧友が挨拶に来てくれたのかもしれないなぁと今でも思っている。
 
人が亡くなっても、魂はあるような気がする。
私のところにも挨拶に来てくれてありがとう、と思ったりもする。
 
従妹が亡くなったあと、私の父が急逝し、先月は母をがんで亡くした。
お線香をあげて、両親と話をすることも多くなった。
生きているうちにもっと話しておけばよかったな、と思うけれども、特に父は急だったので、生前もっと仲良くしておけばよかったな、と思うけれども
 
亡くなってからも、見守ってくれているんじゃないかと思うんだ。
 
従妹も旧友もそして両親も
 
みんな、空の上から見てくれているんじゃないかと思うんだ。
 
これを書いているだけでも涙が出てくるけれども
 
従妹にしろ、母にしろ、がんの苦しみから解放されて、今は幸せでいるんだといいな
 
旧友にしろ、父にしろ、あっという間に亡くなるなんて青天の霹靂だっただろうけど、思い残すことも多かったかもしれないけど、天国で幸せでいるといいな
 
そんなことを思う、毎月25日。
 
ずっと覚えているからね、折に触れて思い出すからね!
天国で、幸せでいてね!
 
従妹も、旧友も、両親も。
 
私はみんなの分もがんばって生きるからね!
いつか、そっちの世界に行ったら、仲良くしようね!
 
 
***

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2018-03-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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