メディアグランプリ

自分が正しくて相手は間違っているという考えは正しいのだろうか


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記事:櫻井由美子(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
「どうしてこうなっちゃうかなー」
 
そう思うことがよくある。
 
たとえばわが家では、夕飯の後使い終わった食器を洗って食器棚にしまう作業は基本的にはわたしが担当している。たまにわたしが家をあけたり、体調を崩したり、あるいはあまりに眠くて食器を片づけずに眠ってしまったときなどは、お願いすると夫がかわりに洗ってしまっておいてくれる。翌朝、あぁ食器片づけておいてくれたんだ、ありがとうと思いながら朝食で使う食器を取り出そうと食器棚を開ける。そんなときだ。
 
同じ種類の、同じサイズのお皿が4枚ある。そのうちの1枚をしまおうというとき、なぜその同じ種類同じサイズの残り3枚のお皿の上に重ねずに、別の種類のお皿の上に置いてしまうのか。どう考えてもこのお皿はここじゃないだろう。こっちだろう。どうしてこうなっちゃうかなーもう。
 
同じようなことはそれまでにも何度もあった。そのたびにわたしはお皿を元の位置に戻し、「このお皿は同じものがここに3枚あるんだからその上に重ねるでしょ、どう考えても」と夫に小言を言い、そしてまた同じことが繰り返された。
 
夫はそもそもその1枚と同じ種類のお皿が食器棚の中に3枚あるということを覚えていなかったり、そのお皿の存在は覚えていても場所を把握していなかったりした。でもわたしからしたら、そんなの食器棚を開けて見てみればすぐにわかることだと思った。どうしてこんなに何度も同じことを言わせるんだろう。どうして何度言っても間違えるんだろう。どうしてどうして。
 
わたしからしたら「もっとちゃんとやってよ」だし、夫からしたら「せっかくやったのに文句ばっかり言われる」。ここはひとつ、しっかり話を聴いてみなければ。
 
そういうわけで食器のしまい方について夫と話をした。
 
そうしたら夫は、食器棚の中におさまってさえいれば、どこに何が置いてあっても別に気にならないのだということがわかった。元の位置に戻すというこだわりはないし、それでも困らない、なにが問題なの? と。
 
わたしはというと、お皿はだいたいこのあたり、マグカップはこのあたり、グラスはこのあたりとだいたいの位置を決めてその決めた位置に戻したいし、その上で同じ種類のお皿があったらまとめて重ねて収納したい。次に使うときに使いやすいように並べたいし、いつも同じ場所に同じものがあって欲しい。そうでないといちいち何がどこにあるかを探すのがストレスだし、見た目にもその方が美しいと思う。
 
意識してはいなかったけれど、わたしはずっと、夫の食器のしまい方は間違いだと思っていた。わたしのやり方の方が正しいのにこのひとはどうしていつも間違えるんだろう。何度言ったら正解を覚えるんだろう。どうしてちゃんとやってくれないんだろう。そんな風に決めつけていた。だけれど夫の話を聴いて、そうじゃないんだと思った。わたしがどんな風に食器をしまって欲しいと思っているのかとか、なぜそうして欲しいと思うのかとか、そういえばそういうことは今まで話してこなかったなぁと気がついた。
 
あぁ、これはわたしのオーダーミスなんだ。そう思った。
 
たとえばたくさんの種類のフレーバーがあるアイスクリーム屋さんに入って、チョコレートのアイスが食べたいなと思う。店員さんに「これください」と指をさして自分で選ぶかわりに、「チョコレートの入った店員さんおすすめのものをください」とだけ注文する。
 
そうしたら店員さんからチョコミントのアイスクリームを渡される。わたしはチョコレート味は大好きだけれどチョコミントのアイスクリームは好きじゃない。チョコレートの入ったアイスクリームなら、シンプルなチョコレート味かバニラベースのチョコチップが良かった。
 
そんな状況でもしわたしが店員さんに「チョコミントは違うでしょう!」と言ったとしたら。それはきっと筋違いだろうと思う。チョコミントが好きじゃないなら、チョコレートの入ったものが良いけれどチョコミント以外のものにして欲しいと伝えなければ店員さんには伝わるはずがないし、それを伝えずにチョコミントのアイスが出てきたのなら、それはわたしの注文の仕方の問題だろう。
 
さすがのわたしも、相手がアイスクリーム屋さんの店員さんだったら、わたしがチョコミントを好きじゃないことくらい知っておいてよなんてそんな傲慢なことは思わない。でも相手が夫だとつい思ってしまう。「食器の後片付けお願いね」程度の曖昧なオーダーでも、わたしが望んでいるいつもどおりの食器棚の状態に戻しておいてくれるものだと期待してしまう。チョコレートのアイスクリームって言ったらシンプルなチョコレート味かチョコチップ味かどっちかでしょう? チョコミントはないわー、と自分の好みが正解だと決めつけて相手にもそれを押しつけてしまう。
 
ちゃんとやるとかやらないとか、このやり方は間違っているとか間違っていないとか、そういうことじゃないな。それぞれに好きなアイスクリームがあって、それが欲しいそれをちょうだいと伝える。それくらい単純な話なのかもしれない。
 
売り切れで自分の好きな味のアイスクリームが手に入らないこともあるように、オーダーしても自分が望む状態に食器がしまわれないこともあるかもしれない。それはそれでいつもとはちがう新しい味に挑戦してみるチャンスと思えば、「今回はこう来たかー! 斬新!」って、今まで以上に夫との暮らしを楽しめるような気がする。
 
 
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2018-03-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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