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メディアグランプリ

退屈な運転免許更新をかけがえのない一日にする方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ユーキビート(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
「そろそろネタ切れが起きる頃です」
 
前回、前々回のライティングゼミの講義で、講師陣から異口同音に語られた言葉である。
ふむふむ、なるほど。僕はなんとなくその意味を理解した気になりながら、どこか人ごとのように聞いていた。自分には関係のないことだろうとタカをくくっていたかもしれない。ネタは豊富にある。まさか切れることはないはずだ。
 
しかしそのあと、僕の作ったコンテンツは2回連続で天狼院メディアグランプリに掲載されなかった。
 
「またチャレンジしてみてください」
 
フィードバックはぐうの音も出ないものだった。素材が独りよがりでリーダビリティが弱い。書いたものをよく読み返したが、確かにその通りだ。パーソナルな内容すぎて共感できないだろうなと思った。
 
これはもしかして、ネタ切れというやつじゃないだろうか。僕がネタだと思っていたものはただの「書きたいこと」であってコンテンツではなかった。スマホのアプリにメモした「書くことリスト」を見返したが、いずれも良いコンテンツにはなりそうにない。
 
すでにネタは切れていたのだ。
 
「書くことはサービスである」
 
第2稿で習った言葉がリフレインする。もっとも基礎的な、書くことはサービスであるという前提。この2回の投稿はそれをクリアしていなかった。なんだか急に記事の投稿が困難に思えてくる。ABCユニットおそるべし。
 
アイディアをメモしては消してを繰り返していると、あっという間に締切である月曜日、つまり今日がやってきた。
 
僕は運転免許センターで苦虫を噛み殺していた。今月のスケジュールを考えると、運転免許を更新するには今日しかなかったのだ。歯がゆい。ただでさえ仕事が忙しいうえに、投稿のネタも決まっていないという状況のなか休みをとって、免許の更新……。うう、歯がゆい。
 
そんなこと知ったこっちゃないとばかりに、殺風景な建物はニヤリと笑って無慈悲な洗礼を浴びせる。
 
まずはタライ回し地獄。34番窓口から1番窓口。続いて5番窓口。そして24番窓口。ベルトコンベヤーに乗せられた商品のように、流れ作業に飲み込まれる。釣り上げられたマグロが缶詰にされて出荷される気分が分かった。ほかにも行列地獄や書類記入地獄を通過しなければミッションはクリアできない。
 
見渡すと、この建物の中はイライラで満ちていた。行列に並ぶ人たちはみんな険しい表情をしているし、職員たちも「終業時間のチャイムだけが神聖なのだ」と全身で表現している。
僕も負けじとイライラしていた。この退屈な時間を仕事に充てていたらどれだけ進捗があっただろう。免許更新というものは、なんて非効率なシステムなんだろう。今日のライティングゼミの記事ネタ、どうしよう。
 
午後1時35分。タライ回し、行列、書類記入と3つの地獄を通過した僕は第6講義室なる部屋へと歩を進めた。最重要ミッションである違反者講習を受けるためだ。参加者は僕を含めて25人。全員が交通安全のことを真剣に考えているようでもあり、全く別なことを考えているようにも見えた。
 
これから2時間の退屈を思うと、僕は叫び出したい衝動に駆られた。なんて面白くない一日なのだろう。人生に1度だけ時間を早送りできるなら、今こそ使ってしまいたい!
 
この2時間を有意義に過ごす方法はないだろうか。いやもちろん、交通安全についての講義はとても大切だから真剣に聞こう。しかし真剣に聞きながらも、退屈を打破しなくては窒息してしまう。このストレスをプラスに転じる方法。何かないかな。
 
ふと、ライティングゼミの前回の講義を思い出した。
 
「書くための素材がなくなってきたら、街で素材を探すようになります」
 
見るもの全てをネタ化しようと試みる、ライターズ思考についてだ。
 
これだ! 今この状況を、なんとかコンテンツにしてみよう。
 
たとえば講師を務めるおじさん。一見気さくで明るい初老の公務員という雰囲気なのだが、よく観察すると非常に強烈なキャラクターだ。まず、滑舌がとてつもなく悪い。まるで何を言っているのか聞き取れないのだ。周波数のあっていないラジオのように「ベゾベゾ ボゾンボゾン」と早口でしゃべり続ける気さくおじさん。強烈だ。
 
「話すのが仕事なのに、何言ってるかわかりませんけど!」
心のなかでツッコミを入れる。
 
かろうじて聞き取れる箇所もある。その内容もまた強烈だ。
 
「皆さんも眠いと思いますけどね、私もすごく眠いです。だって午前も講義してるんですから」
 
「……知らんけど! ていうか、眠いの!?」
 
「自転車の事故の罰則が強化されました。これは重要ですよ。自転車で事故って交通刑務所なんか入ったらね、絶対刑務所のなかでイジられますよ」
 
「そこなの!? 重要ポイントそこ!?」
他にも、自分の身長と体重をクイズにしたり、時期や罰金の数字をやたらと正確に伝えようとするけど全然覚えていなったり、おじさんはやりたい放題だった。しかしこの何かと強烈なおじさんのおかげで、僕は2時間をとても有意義に過ごせた。そして免許センターをあとにする頃、僕は奇妙な高揚感に包まれていた。
 
「今日はいい日だったな」
 
心からそう思えたのだ。これは全て、強烈なおじさんとライターズ思考のおかげだ。
ライターズ思考は、退屈でたまらない運転免許の更新さえ最高のイベントにしてしまう魔法の思考法だ。

 
 
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2018-04-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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