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空港にて ~まさかの往復トラブル、そして


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:菊地 智子(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「システムトラブルが発生しており、出発できるか現時点で不明です」
 
羽田空港、乗り継ぎの為の出発ロビーで受けた説明だ。
 
2016年3月22日。
全日空は午前8時20分頃に発生したシステムトラブルの為、全国の空港で搭乗手続きができない事態に陥っていた。
 
その日、私と小5の次女は秋田から沖縄に向かっていた。
主人と長女を置いての身軽な2人旅。
春休みの母娘旅行だ。
 
お天気も良く秋田からは予定通り出発。
羽田到着後20分ほどで乗継。少し急ぎ足で沖縄行きの出発ロビーに向かう。
そこでようやく、とんでもないトラブルが起こっていることが分かった。
 
だんだん事態が飲み込めてくると、飛ばないかもしれない、と覚悟を決めざるを得なかった。
 
システムトラブル、ということは秋田にも戻れないってことだ。
どうせなら秋田を出発する前だったら良かったなぁ。
東京で泊まらなくちゃならないのか、宿どうしよう。
 
と、考えが巡る。
 
娘に、 飛ばないの? 飛ばなかったらどうなるの? と聞かれても、がっかりさせたくない気持ちもあってはっきりしたことは言えない。まだわからないよ、飛ぶかもしれないし、と誤魔化した。
 
どのくらい待てばいいのかわからない時間を過ごすのは結構辛い。
 
幸いだったのがタブレットを持ってきたことだった。娘はタブレットに入ったアプリをいじって、そのどのくらい待てばいいかわからない時間をつぶしていた。
 
タブレットにはがっちりしたケースを装着してありかさばるし、結構重い。どうしよう、と迷ったものの結局持ってきた。持ってきてよかったな、と思った。
 
そうして、もうすぐ出発時間を2時間オーバーするかどうかという頃にアナウンスが流れる。
なんとそれは、私たちの乗る便が出発するというアナウンスだった!!!
 
ほっとした。さすがは全日空だ、トラブルからの復旧早いなあ! と感心しつつ沖縄に飛び立った。
 
後から知ったのだが2時間程度の遅れで出発出来たのは運が良かったらしい。
欠航146便、遅延391便に上る大きな影響のトラブルだったのだそうだ。
 
そうして無事に到着した沖縄の旅行を、私たちはゆっくり楽しみ帰りの日を迎えた。
 
帰りの那覇空港へは余裕をもって着いたこともあり、お土産売り場を十分に堪能しつつ出発を待つ。飛行機は少しだけ遅れていたが大した遅れでもなかった。
 
あとは帰るだけ。飛行機に乗り込み座席に着こうとしたその時だ。
 
あの、お母さん、バックをトイレに置いてきたかも知れない。
 
娘が言う。
目が眩んで頭が真っ白になった。
 
ついさっき、搭乗を待つ列に並んでいるときにトイレに行きたい、と言われたのだ。
今行かせるか、搭乗してから機内のトイレを使うか迷ったが、行ってきていいよと1人で行かせてしまった。
 
マズイことにその置いてきた娘のバックにはタブレットが入っていた。
無くされると困るから、と旅行の間は必ず私が持っていた。もう大丈夫かなと、空港では娘のバックに入れてあったのだ。
 
娘が友達に買ったお土産も、ほとんど全部をバッグに入れてあった。
 
 
 
星の砂が入ったガラス瓶やガラスのストラップ
割れやすいものが多かったので、スーツケースには入れずに娘のバックに入れてあったのだ。
 
出発の時間が迫っている。
全員搭乗済みだ。
そもそも少し遅れていて、もう少しの猶予もなかった。
 
CAさんに事情を説明すると、
 
どうしますか降りますか?
 
と聞かれ、返答に困った。
降りたところでその先どうしたらいいのか全く思い浮かばない。
どうしよう、と焦りだけがどんどん強くなっていくその時
 
お客様! これではないですか?
とういう声が聞こえた。
 
地上スタッフさんが探してくれたらしい! 目の前がぱっと明るくなり、振り向く!
が、差し出されたバックは娘の物ではなかった。
 
そして、再度降りるかどうか聞かれたが、乗るしかない。
 
あとは帰るだけ、のはずが、どこにぶつけたら良いのかわからない気持ちで満タンとなって那覇から飛び立つことになってしまった。
 
機内では後悔する気持ちと、娘の失敗を責める気待ちがあふれてきて止まらない。
 
トイレについて行けばよかった
やっぱりタブレットは自分で持つべきだった
あれ程言ったのにどうして体からバックを離しちゃうのだろう
 
羽田で足止めを食った時には、持ってきて良かったと思っていたタブレットだったのに、持って来なければ良かったとすら思った。
 
旅の終わりにこんな事になるなんて。
 
羽田までが長く感じた。お土産を根こそぎなくした娘の顔も暗い。
 
羽田に到着すると私たちへのアナウンスが流れた。
全日空のカウンターに来て欲しいと言っている。
諸々手続きが必要なようだ。急いで向かった。
 
そこで告げられたのは
それらしきバックが届いているので詳しくバックの特徴や中身を確認したいという事。
 
出発間際の別のバックの件もある。まだ喜べない、と慎重になった。
 
でも、特徴と中身を確認すると、その届けられたバックは間違いなく娘の物だった。
届いたことに驚いた。そして安堵で体の力がぬけてゆく。涙もにじんだ。
お礼をしたかったが届けてくれたのが誰かはわからなかった。
 
あとは帰宅後に那覇空港へ連絡するよう言われ、秋田に向かった。
 
さっきまでの暗い気持ちから、暖かい明るい気持ちでいっぱいになって。
 
このバックについてはまだ少し続きがある。
帰宅後、那覇空港に連絡を取り着払いの宅配便で送ってもらう事にしてあったのに、少ししてから全日空から連絡が入った。なんだろう、と不安になる。
その連絡は
 
秋田空港まで取りに来られるのなら、全日空が届けてもいい
 
との申し入れだった。
家から秋田空港は遠くない。もちろん快諾した。そしてまた目が潤む。
思いがけない形で最後まで思い出深い旅行となった。
届けてくれた方と、暖かい計らいをしてくれた全日空には感謝しかない!

 
 
***

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2018-04-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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