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メディアグランプリ

私、公務員辞めます。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:小川みち(ライティング・ゼミライトコース)

 
 
「本当に辞めるの?」
「はい、辞めます」
「なんで? なんで?」
公務員の私が、「転職する」と口にすると、お笑い芸人のツッコミのように、全員が全員から同じ言葉が返ってくる。
「なんで?」
と聞かれても、一言では答えられない。
聞かれた相手に応じて、その都度、セミオーダーメイドのスーツを作るように、いくつかの理由を選んで、組み合わせて、説明する。
 
辞めたい理由は、パズルのピースのようにたくさんあって、たまたま、今、全部のピースがそろってしまったんだと思う。そのどれか一つが欠けても「公務員を辞める」という結論には至らなかっただろう。もちろん、唯一の職歴が公務員なのだから、めちゃめちゃ不安だ。
だけど、幸か不幸か、やりたいことを見つけたタイミングと、辞めたいタイミングと、最後のチャンスが、ぴったりと重なった。
最後のチャンス、30歳。
 
30歳の誕生日。宝くじを買うような気持ちで、プロポーズされることを期待していたけれど、結局彼からのプロポーズはなかった。
お正月に
「来年の今頃は、一緒に住めてたら良いね」
と話していたから、きっと私の30歳の誕生日、しかも、付き合い始めて3年目の記念日という条件がそろった今年の5月5日は、ビンゴでいうところの”リーチ”だと思っていた。
そして、プロポーズされたら、職場に結婚を理由に異動の希望を出し、早ければ今年の10月にでも異動させてもらおうか、遅くても来年の4月には異動できるだろうと計算高く考えていた。それなのに、予定していたポロポーズの日付が入力されなかったために、私の中の計算高い計算式が、成り立たなくなってしまったのである。
 
そして、予定どおりにならなかった計算式が、私の「挑戦スイッチ」をONにした。
「どうせ、思い通りにいかないんだったら、やりたいときに、やりたいことをやった方がいい」
と思った。友達の一人は、
「めちゃめちゃ仕事辞めたいと思ってるけど、今の仕事辞めてまでやりたいことないんだよね」
と言っていた。
だけど、私には、やりたいことがある。
 
趣味で3年以上続けているヨガの資格を取ってヨガを教えてみたい。
幼いころから大好きな本にまつわる仕事をしてみたい。
もう一度、国際交流事業に携わりたい。
 
こんなにやりたいことがそろっているのに、今、仕事を辞めて挑戦しなければ、絶対に後悔する。「挑戦スイッチ」がONになった私は、神のお告げを聞いたかのようにそう信じてしまった。
 
もちろん、辞める理由は「挑戦スイッチ」ONになっただけではない。
 
7年間働いて、もう今の仕事に「お腹いっぱい」の状態なのだ。
 
私は東京に比べて規模が小さい福岡で採用されて、さらに小さい宮崎で勤務し、そして東京に来た。
東京に来る前は、何となく、ただ漠然と、東京だと難しいこととか、新しいこととかたくさんあるのだと思っていた。
だけど、どんな組織でも業種でも、大きな組織だと仕事が細分化されてしまう。福岡や宮崎では1~10の全部の仕事をやっていたのに、東京ではその中の1と2だけをひたすら繰り返す毎日。私はこの組織でやる仕事のほとんどをすでに経験してしまったのだと気付いた。
一度、フルコースを前菜からデザートまで食べ尽くしてしまったのに、次は前菜だけを何皿も食べさせられるとどんな高級なフランス料理でも味わう気持ちなんて湧いてこないだろう。
今の職場のフルコースを一度、堪能してしまった私は、もうお腹いっぱいになってしまったのだ。
「どんなにお腹いっぱいでも、高級フランス料理なら、毎日前菜でも構わない」
という人もいるかもしれない。それに、きっと、ほとんどの大人からすれば、仕事とはそういうものだよと言われてしまうかもしれない。
でも、私は、一度フルコースを食べたら、前菜だけを食べる毎日なんて我慢できない人間なのだ。
フランス料理を食べ終わったら、イタリアンも食べてみたいし、中華も食べてみたい。イタリアンや中華のお店を探す途中で、一食や二食、食べ損ねても構わない。竜門天の中華じゃなくても、餃子の王将でいい。
 
食べたことのない物を初めて食べるときには、少し勇気がいるのと同じように、もしくはその何倍も、公務員としてしか働いたことがない私が仕事を辞めるのには勇気がいる。
 
だけど、スロットマシーンの目が出そろうタイミングがなかなかないように、公務員を「辞める」というパズルのピースが全てそろうタイミングもなかなかないと思う。なかなか出ない目が出そろい、せっかく「辞める」という画が、私の中に完成した今が私の「辞める」ときなのだと思う。
そして、その画は、モナリザの微笑みのように、魅力的な画だ。私は、戸惑いながらも、その画を手に入れようとしている。
 
 
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2018-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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