メディアグランプリ

同性を好きになってしまう感覚に戸惑ってしまった2週間


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:飯沼かおり(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「やった♡」
朝起きて携帯を見ると、フェイスブックの通知が表示されていた。
「あの人」からのメッセージがあったという通知だった。
「WEBに掲載します!」と、ライティングの提出課題が合格したメッセージだった。
 
「あの人」というのは、私が文章のライティング・ゼミを受講している天狼院書店のスタッフの、ある女性のことである。
 
一週間に一度、文章を提出する。週の中頃に、担当の方からの添削の結果がフェイスブックのコメント欄を通じて返ってくるシステムになっている。どの方に添削してもらっても、自信のない文章を読んで頂いたので、ちょっと体温が上がる様なドキドキする感覚は毎回ある。でも、正直「あの人」に添削してもらった時は、体温の高さがさらに1度、2度上昇する様なドキドキ感がある。頭にも血がのぼり顔が赤くなることもある。また、ふとフェイスブック上で「あの人」の動画が流れてきたり、はたまた書店の大スクリーンに映ったりすると、ドキッとしつつも、まじまじと観てしまう。書店で会ったこともあるが、ドキドキしてしまって、直視することなんてできなかった。さらに、会話をするなんて、目を見て話をするなんて、絶対に無理だろうな。心臓が飛び出しそうになるに違いない。
 
これって憧れなのか、もしくは恋だったりするのだろうか? などと、自分に問うてしまったが為に、このことについてしばらくの間色々と考えてしまった。
 
最近は、LGBTという総称になっている「性的少数者」をテーマにしたドラマをよく目にする様になってきている。先日は「中年男性同士の恋愛」をテーマとした純愛ドラマが、ツイッターの世界トレンドとなった様に、世界的にも大きく風向きが変わって来ている。
ドラマ鑑賞が趣味である私も、そのドラマに関しては、最初はただ笑って見ていたが、終了後完全に「ロス」になってしまうほど、内容にどっぷり入り込んでしまった。人を愛する気持ちや、相手の幸せの為に身を引く気持ち、思いやる気持ちに感情移入してしまい、むしろ性別は関係なく恋愛は素敵なことだと感じることができる素敵なストーリーだった。
ただ、一つだけ気になったのは、主人公の男性の恋愛対象はもともと女性だったはずだが、いつの間にか「そちら側」に変わっていった様子を見ていて、「恋愛対象の性別は途中で変わっていくものなのか……」という驚きも正直あった。
 
そんな影響もあり、今までずっと、男性が恋愛対象であった私はどうなんだろうか? と思ってしまった。
 
「あの人」に魅かれたのは、いつからだろう。一番最初は書かれた文章を読んで、その内容や、文章の表現力ににグイグイ引き込まれ、一体どんな方なんだろう? と気になっていた。文章の内容からするとおそらく20代半ばくらいであろうか? 私の一回り以上も若い。その様な若さで、既に自分のことを客観視できていて、自分の軸をちゃんと持っている。世の中に求められることも良くわかっていてすごいなぁ。と思っていた。さらに、いくつも文章を読んでいく内に、自分の中でのイメージがとてつもなく膨らんでいき、ファンタジーになってしまい、「本当に実在する人物なのだろうか?」というところまでいっていまった。
ものすごく会ってみたいけど、実在しないだろう。などと自分を落ち着かせてやり過ごしていた為、一度実際に会ったときは、直視することもできなかった。
 
もやもやする日々の中、小学校6年生の時のある時期の出来事を思い出した。
私はバレー部に入っていた。特に強くもなく、勝てる! という意識を誰も持っていない、だらけたチームだった。もちろん私もそんな意識だった。しかし、他の小学校の強豪チームとの練習試合をきっかけに、私の意識はガラリと変わった。それは、そのチームのキャプテンの留奈ちゃんの存在によってである。留奈ちゃんは、常に声を出し、手を叩き、チームをまとめ、自身のサーブ、レシーブ、アタック、すべてがかっこよく、高レベルであった。小学生でありながら、身長は160センチ近くあり、ショートカットが良く似合い、少し高めの声、かわいい顔。留奈ちゃんの魅力に、私の心は一気に持っていかれてしまった。
 
それから私は留奈ちゃんに恋心に似た気持ちを抱いた。留奈ちゃんと同じレベルで話せる様になりたくて、バレーボールの練習も、朝練、夕練までやる様になった。
男の子には全く興味を示さず、どうやったら留奈ちゃんを独占できるのかと思いながら追っかけをしていた。時には練習が終わるのを待って、差し入れしたり、サインをもらったり、握手してもらったりした。
そんなことを30年ほどぶりに思い出していたら、気づいた。
 
ああ。自分を投影させていたんだと。
当時の自分にできないこと、できていないことを留奈ちゃんに投影させて、できない自分をごまかしていたんだ。留奈ちゃんの近くにいれば、何だか自分も理想の自分になれた様な気がしていた。でも、現実はそういうものじゃないし、叶わない現実の虚しさに子供ながらに気づいていたのかもしれない。でも、どこかで認めたくなかった様にも思う。そうして留奈ちゃんへのその熱は数カ月で冷めていった。
 
男性同士の純愛ドラマにハマりすぎた影響で、方向性を見失ってしまいそうになったが、
今回の「あの人」への気持ちはその時の感情に似ている。
「投影」だ。20代半ばの自分はあまりにもコンプレックスだらけだった。自分にないものばかりに目を向け、それによってできない自分を否定し、自分との約束をことごとく裏切っていた。
「あの人」は、当時の私と同年代でありながら、はるかに多くのことを考え、実践し、人に影響を与え、支持を得ている。
 
「そんなはずはない」
同年代の時の自分にはとうていできなかったことをきっちりこなせて、しかも、ちゃんと地に足がついている。そんな人がいるなんて。
 
そんな自分を卑下する様な気持ちから、「川代紗生さん」に恋心に似た憧れを持ち、敬い、ファンタジーの存在にしてしまっていたのだ。留奈ちゃんの時の様に。
 
しかし、今の自分には満足している。そんな風に卑下して自分を扱う必要もない。自分は自分でいいのだ。すごいと思う人は、ただ、すごいと思うだけでいいのだ。
この2週間はそんなことに気づかせてくれた不思議な期間だった。

 
 
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2018-06-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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