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プロフェッショナル・ゼミ

ベジタリアン、断糖肉食、高脂質食。食事の奥はこんなに深い。《プロフェッショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:天野盛介(プロフェッショナル・ゼミ)

最強の食事。

そう聞いた時、あなたはどんな食事を思い浮かべますか?

僕はずっと、ご飯なんてお腹の中に入れば全部一緒と思って生きてきました。小中高では母親の作ってくれたご飯と学校の給食を食べて育ち、コンビニでお弁当を買うこともあれば部活帰りに友達と買い食いしたり。野球をずっとしていた僕にとって、何よりも大事なのはとにかくお腹いっぱいに食べられること。

大学へ入ってから一人暮らしを始めるようになると、さあ大変。食べるものはすべて自分で用意しなければいけません。限られた生活費の中で、安くたくさん食べるにはどうしたらいいだろう。そんなことを考えてはよくパスタやうどんなどを買ってきて自分で作っていました。

そんな僕が食事について大きく考えるきっかけとなったのはアメリカへ留学した時です。

アメリカといえば、世界のマクドナルドを擁するファストフード大国。ハンバーガーにピザ、タコス。大型スーパーではミネラルウォーターよりもコーラやオレンジジュースの方が安く売られているというから驚きを隠せません。アメリカへ行った当時、スーパーで店頭に並ぶ肉の塊を前に、僕の頭の中に蘇ってきたのはBSEで吉野家の店頭から牛丼が消え去った記憶でした。

アメリカの肉は食べても大丈夫なんだろうか?

ネットで調べてみると、どうやらアメリカでは牛を早く大きく育てるために餌に成長ホルモンを混ぜていることがあるらしい。調べてもよく分からなかったけれど、アメリカの肉を食べるのはなんだか怖い……

そんな印象を抱えていた時に出会ったのがベジタリアンという概念です。僕の留学先だったカリフォルニアは、アメリカでも中西部と比べ先進的な考え方が広まっている地域。温暖な気候で、土地も広大なことから農業も盛んで、どこに行っても新鮮な果物や野菜を手に入れることができるのです。レストランへ行ってもベジタリアン専用メニューが用意されていて、ベジタリアンというのは普通に市民権を得ているんだなということが感じられました。

大学のキャンパス内でもベジタリアンの人が集まるコミュニティーがあったり、肥満が社会問題となっているアメリカでは毎週月曜日に肉を食べることを控える「ミートレスマンデー」というキャンペーンが行われていることを授業の中で知りました。

しかも、僕はずっとベジタリアンというのは単純に好きで野菜しか食べない人のことだと思っていましたが、どうやらそれだけではないようです。肉を食ベることやめることで、より健康な生活が送れるだけでなく、牛や豚の飼料となる穀物を飢餓で苦しむ人たちに分配することができたり、放牧を行うことで破壊される環境を守ったり、はたまた生産の過程で排出される大量の二酸化炭素を削減したり。

自分が健康になれるだけじゃなくて、社会的にも素晴らしい。ベジタリアンを実践している人たちは、ただ食べるだけじゃなくて、食事を通して自分たちの考えを世の中に発信しているのです。

僕はベジタリアンの素晴らしさに魅了されると、すぐに菜食生活を始めました。友達とハンバーガーショップに行っても食べるのはポテトとジュースだけ。大学へは毎日トマトとレタス、チーズで作ったサンドイッチを持って行きました。カリフォルニアで普通の野菜とほとんど変わらない値段でオーガニックの野菜が売られていたり、豆腐から作られた大豆ミートのウインナーが売られているなど菜食を行いやすい環境が整っています。僕はカリフォルニアへやってきてベジタリアンとして新しい自分に生まれ変わったかのような気分で毎日を意気揚々と過ごしました。

しかし、菜食を初めて数ヶ月。僕はだんだんと不調に悩むようになります。ハードな勉強や慣れない外国での生活など不調の原因となることは色々と考えらましたが、食事が1つの大きな原因になっていたのは間違いないと思います。それでもなんとか1学期目を乗り越え、2学期目が始まる頃には、何もしていないのにひどく疲れ切っていて、目の下には濃いクマができていました。

週末に友達と博物館などへ遊びに行っても「楽しくないの?無理やり連れてきちゃったかな、、」などと心配される始末です。「そんなことないよ!」と虚勢を張って無理をして楽しんでいるように振る舞いましたが、それでもランチにはベジタリアンメニューを頼んでいました。

友達に心配されたくない。留学で失敗したとは思われたくない。そういった思いでなんとか頑張っていましたが、最終的に僕は学校のメディカルセンターを受診します。ドクターの話す医療用語がよくわからなかったものの、スマホを片手に話を聞いていると、どうやら僕は鬱か自律神経失調症になっていると言い渡されました。

その頃の僕はただただ無気力で、家に帰るとベッドに横たわり、日本の大学で留学をサポートしてくれた先生にだけ診断結果を伝えました。残りの留学期間はカウンセリングを受けながら過ごし、結句最後まで調子がよくなりませんでしたが、それ以上悪くなることもなかったのは不幸中の幸いです。途中帰国という最悪の事態だけは避けることができたのですから。

もしかしたら日本に帰ってからもこのまま不調が続くのでは? という不安も思い浮かびましたが、その心配は杞憂に終わりました。日本に帰ってから、以前日本にいた頃の食生活に戻り、家族や友人と交流するうちにすっかり元気に戻りました。後から留学時の経験を振り返って見ると、どうやら食事とはただ単に空腹を満たすだけではダメらしい。

気になっていろいろ調べて見ると、にわかな知識で菜食を始めた僕は偏った栄養しか摂ることができず、特に、肉や魚などを一切食べなかったことで摂るべきタンパク質が全然足りていなかったのです。

体重×0.1グラム。これは厚生労働省が推奨する1日のタンパク質摂取量です。つまり体重60kgの人なら60グラムを摂取することが望ましいとされています。ところが多くの日本人は男性も女性も含めて、基本的にタンパク質が十分に足りていません。

食品中に含まれているタンパク質の量はというと、卵1つ6~7g、納豆1パック7~8グラム、肉や魚100gにつき20グラム。1日60グラム摂取するためには卵換算で1日10個も食べなければいけません。肉や魚でも300グラムも必要です。1日くらいならステーキを頬張るのも悪くありませんが、それでも魚の切り身やハンバーグに含まれているタンパク質量が15グラム程度であることを考えればやはりこれを毎日続けることはなかなか難しいのです。

極め付けに、アメリカ滞在時に現地の学生に触発された僕は筋トレを行なっていました。アメリカではどこの大学も付属施設としてとても立派なジムが備え付けられているのが一般的で、男子だけでなく多くの女子もジムに行って運動するのが当たり前のこととして受け入れられているのです。筋トレをしている人の場合、筋トレで傷ついた筋繊維を回復、肥大させるためには1日体重×0.2~0.3グラムの摂取が推奨されています。

普通に生活しているだけで、1日50~60グラムのタンパク質量が必要であるにも関わらず、多くの人はそれを摂ることができていないのです。もちろん必要な栄養は食事で補うことが望ましいですが、僕は足りない部分をプロテインを飲むことで積極的に補うようにしました。

プロテインというと「筋トレしてる人が飲むもの」というイメージがありますが、「プロテイン=筋肉」のイメージは実は正しくありません。プロテインは美容や健康にとってもすごく重要なのです。女性の気になる肌や髪、爪などを構成するのはタンパク質(=プロテイン)ですし、胃や腎臓、肝臓といった臓器の類もタンパク質によって構成されています。これらの身体の器官が日々新陳代謝を行うためには十分な量のタンパク質が必要なのです。このことを知ってから僕は以前にも増して肉や魚、卵を食べるようになり、留学中にベジタリアンをしていた頃とは全く反対の食生活をするようになりました。

しかし、重要なのはタンパク質だけではありません。今から1、2年前には『シリコンバレー式 最強の食事』という本が一種のブームを起こしました。穀物飼料を食べずに牧草だけを食べて育った牛の乳から作ったバターとココナッツから抽出されてできるMCTオイル。この2つをコーヒーに混ぜて飲む「バターコーヒー」を飲むと頭がフル回転して毎日ハイパフォーマンスで生活を送れるというものです。このブームを受けて「最強のバターコーヒー」という名前のバターコーヒー専門店が都内に何店舗か出店していて、つい先日池袋にも新しい店舗ができました。

この食事法のポイントは、しっかりと脂質を摂るということにあります。私たちの脳は水分を除くと60%が脂肪でできている他、身体の中に60兆個ある細胞膜の細胞壁を作っているのも、神経の働きを調整するホルモンの原料となっているのもすべて脂質です。普通、脂質と聞くと「太りそう」とか「ニキビができそう」など忌むべきものと認識されますが、脂質の新たな一面を知った僕は身体によい脂質というのも積極的に摂り始めます。

タンパク質、脂質とそれぞれの重要さを学んだ中で、次に目が向いたのが炭水化物です。炭水化物もエネルギーを生みだすための重要な栄養ですが、私たちは普通に暮らしているだけで意識せずとも必要な量の炭水化物は摂取できています。ご飯、パン、うどん、そば、ラーメン、パスタ、などなどどれも安価で手軽に食べられるのが炭水化物だからです。

それだけでなくチョコレートやケーキにクッキー、おまんじゅう、せんべいといったお菓子。これらも全て炭水化物です。あまりに手軽に摂ることができるため、僕はこれを獲りすぎてしまっていることに気づけませんでした。僕はやはり意識して炭水化物の摂取を控えるようになります。一時期は糖質制限の流行に乗って、炭水化物なども一切口にしないような生活も送りました。

極端ではありますが、こうして1つ1つの食事法を取り入れる中で僕はようやく食事について少し分かった気がします。バランスのとれた食事が大事などと知りながらも、僕は何をどのくらい必要としているのかということは全然分かっていませんでした。

なんかよく分からないけどとりあえずサプリメントを飲んでみる。それがどれだけ馬鹿げていたのか気づいたんです。サプリとは栄養を摂取するためのものですが、人に最も必要な栄養は炭水化物、タンパク質、脂質の3大栄養素に集約されます。その上に、ビタミンやミネラルを含めた5大栄養素があるのです。

なんとなくかっこいいから。そう思ってベジタリアンを始めたくらいの僕はこんな当たり前のことに気づけずにいました。自ら人体実験を繰り返しながら、文字通り身体で学んだわけですが、食事とは必要な栄養を摂取するだけのものでもありません。

何を食べたらいいのか、何を食べてはいけないのか。少しそんなことばかり考え過ぎていたので、今度はもっと楽しんで食事をするということに改めて目を向けていきたいと思っています。今まで身につけた栄養の知識があると、食べることを今までよりももっと楽しむことができそうです。


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