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近くて遠い場所


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【9月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:芦野 すみれ(ライティング・ゼミ平日コース)
 

わたしは、どうして東京に出てきたのだろう。
なぜいま、東京で暮らすのを選び続けているのだろう。
 

「住む場所で年収が決まる」と耳にしたことがあるが、東京は最低賃金も全国一高い。
仕事もたくさんある。
3年半付き合っている恋人は東京の大学院に通っており、就職活動の時に地元に帰るか迷った末、わたしは東京に残ることをえらんだ。
そういうと、恋人が理由で東京にいるときこえるかもしれない。
 

現に、わたしはその恋人と今も付き合っており、いつかは一緒に暮らして、結婚式も挙げて、
子どもがほしいと思っている。
だけど、それはいつかの夢のはなし。
今すぐとはいかないのである。
誰が決めたわけでもなく、先延ばししようという空気が2人の間に流れている。
 

わたしは、生まれてから7回引っ越してきた。
広い一軒家、せまい社宅、国際寮、女子寮、駅近のマンション。
いろいろな家で暮らしてきた。
家の快適度もそれぞれだが、土地のもつ力に大きく影響を受けてきた。
広島は、すごく熱狂しやすい人が集まっていた。
一度火がつくと徹底的に前のめりになるそのパワーに圧倒された。
一方、となりの岡山は、一見ほっこり系に見える人たちが多かったが、内なる闘志をひめており黙々と力をつけていた。
 

岡山と広島のハーフとして育ったわたしだが、東京に出たいとおもったのは、ただ一つ。
書店がたくさんあるからだった。
トークイベントで作家さんに会いたかった。
なかなか地方には作家さんは来ないから、心底うらやましかった。
 

上京して5年、たくさんの書店に行った。
気になるトークイベントにも足を運んだ。
 

でも、まだまだ、行きたい書店がたくさんある。会いたい人がいる。
ただ、いろいろな書店に行って気づいたことがある。
「ほっこり系」の書店で、開店して数年のところに行くと、どことなくのんびり構えているような気がするのだ。ほんとうは、内なる闘志を秘めているとおもう。
でも、「ほっこり系」の書店は、白鳥のようにみえてしまう。
優雅に泳いでいるようでみえて、水面下では必死に足をもがいている白鳥。
 

いっぽう、学校の図書室やクラスのように親近感がわく書店もある。
それは書店の雰囲気というよりも、書店がどこにあるかという立地が影響している。
自分の慣れ親しんだ土地やおしゃれすぎない街にある書店なら、行くハードルも下がり、何度も通いやすい。
 

そのほかにも、探しやすい書店や落ち着いて過ごせる書店、イベントが多い書店、
背伸びできる書店、行くとわくわくする書店など自分の中でカテゴライズしているが、
天狼院書店はずばり「野心がめばえる書店」である。
 

正直、天狼院書店のハードルは高かった。
このライティング・ゼミに参加するまでに、上京して5年の間で3回天狼院書店へ足を運んだ。
1回目に行ったのは、平日の午後だった。店の奥で、パソコンをカタカタしている男性がいて、すこしこわかった19歳のわたし。
2回目は就職活動の説明会後に立ち寄った。
お店の人とお客さんが楽しく話していて、わたしがパフェを食べていると
「就活中?がんばってね」
とお客さんが声をかけてくれた。
本屋で知らない人に声をかけられたのは初めてで、何気に感動した21歳。
3回目は三浦社長の時間術の講義をききに行った。
受けている人はみんな時間が足りない、もっと上手に時間を使いたいと言っていた。
わたしだけが、転職前で有給休暇を消化中だったので、
時間がありあまっているとこたえた。
22歳のわたしは、三浦社長のことばを聞きながら、自分の将来のことに思いをめぐらせた。
 

それからわたしは、新しい職場に入り、全然楽しくなくても、やらなければいけないことをやった。理不尽なことにも我慢して信用されるよう努めた。
そうしてやっといま、職場でできることが増えてきて、徐々にやりたかったことがみえてきた。
それは「書くこと」である。
自分の中で「書きたい」という想いがわいてきたとき、Facebookで天狼院書店のライティング・ゼミの募集をみつけた。それは何度も目にしていたものだった。
これまで3回天狼院書店に行った時も、ライティング・ゼミのチラシは目にしていた。
でも、そのときではなかった。
今、やっとスタートにたった。
これからは数えきれないほど天狼院書店にいくだろう。
数えきれないほどアウトプットをするだろう。
わたしの尊敬する作家さんは「すべてのことがインプット。つまらない飲み会も何年かたったときに、振り返ってみるとネタになる」と言っていた。
 

わたしはまだ、東京で、本と出逢い、人と出逢い、つながっていきたい。
いずれ東京を離れても、自分を迎えてくれる場所がひとつでも残っているように。
近くて遠い東京、憧れや背伸びがいつしか「懐かしい街」となるように。
はじまりの街、池袋の天狼院書店に感謝を込めて。

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2018-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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