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メディアグランプリ

早起きは12文の損、ではなく怪我の功名となった朝


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ゆうじパパ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「うそぉ、まじかよ! 勘弁してやマクド」
早朝のマクドナルドのドライブスルー前で、僕はぼう然としていた。
なぜなら、自転車で十数分すっ飛ばしてきたというのに、店内機器メンテナンスのため一時閉店させていただきます、との張り紙がされていたから。
しかも、AM5時で期限が切れてしまうクーポンを使う術がなくなってしまったのだから。
 
そんなぼう然とした日の朝4時。
僕は珍しく早起きをしていた。
特に早起きをしなければならない用事があったわけではないが、勝手に3時過ぎには目が覚めていた。
3時過ぎに目が覚めたにもかかわらず、頭もすっきりしていたので2度寝することもなくそのまま起きることにした。
 
普段から家事や2歳になる息子の育児に追われ、
「時間がない! もっと時間があればいいのに」
なんて呟いてたりするのだが、いざ時間ができるとダラダラ過ごしてしまって後で後悔する残念なループにはまってしまうことがとにかく多い。
悲しいかな、この朝も僕は時間をうまく使いこなせていなかった。
そんなダラダラにはスマホいじりがつきもの。
ちょうど、AUスマートパスを見ていた時、前日が三太郎の日だったことに気が付いた。
三太郎の日は、高い携帯料金を支払う見返りに何かほんの少しの無料還元が行われる日。
前日はマクドナルドのナゲットが無料でもらえる日だった。
 
「うわ、やってしもた……」
そう残念がった僕は、使用期限が過ぎてますメッセージが出てくると思いつつも、惰性でスマホ画面のクーポンをタッチしていた。
「あれ? クーポン使える?」
なぜか三太郎の日が過ぎているのにクーポンが使用可能となっていることに驚いた僕は、使用期限を確認してみた。
すると、翌日AM4:59分まで利用可と出ているではないか。
 
 
「ダラダラ無駄に時間を過ごすくらいなら、このクーポン使いに行こう!」
なんだか無性にうれしかったし得した気分になった僕はそう思い、自分のスマホと妻のスマホを持ち、マクドナルドに向かうことにした。
ちなみに、妻もAUユーザーで普段からお互いのスマホを渡して代わりに無料の商品をどちらかがもらいに行ったりしている。
スマホの覗き見! との敏感になりやすい問題は我が家では発生しないので、その点はあしからず。
逆に、早朝に無料クーポン引き換えの為スマホ持ってくよ、と起こす方が我が家では問題になる。
 
そんな我が家ルールはさておき、ささっと身支度を済ませ4時半には家を出発した。
9月下旬の4時台の外は暗い。
そして夏の猛暑とはうって変わり、朝晩はずいぶん気温が低くなってきた。
気温の低さはちょうどいい涼しさだ。
「いやぁ、早起きして外に出るのは気持ちがいいな」
そんなことをちらっと思いながら自転車で十数分かっ飛ばして、マクドナルドに到着した。
 
そこで目にしたのは、現在店内清掃中の為ドライブスルーのみ営業しています、との張り紙。
「うそぉ」
と心の中で嘆きつつも、
「自転車だけどやってないならドライブスルーで注文するしかないな」
と僕はドライブスルーへと足を踏み入れた。
そこで目にしたのが、ドライブスルーすらやってませんの張り紙!!
 
無料クーポンの期限は残り十数分。もう無理だ。
タダで手に入れられるはずだったナゲット2箱は幻となってしまった。
早朝浮かれてマクドナルドに来た僕は、虚しさをかみしめるしかなかった。
とりあえず、数分は。
 
その後、ため息をついて家路に付こうとした時、ふとマクドナルドに来た時の感覚を思い出した。
早起きして外に出るのは気持ちいいな、という感覚を。
「あ、この感覚すごく好きかもしれない」
そう思った僕は家に帰るだけなので時間に余裕もあることだし、もっと周囲にアンテナを張って自転車でブラブラ十数分走ることにした。
 
すると、タダの移動は素敵な時間に様変わりした。
 
どうでもよさそうなことが、早朝の心地よさの中で素敵なものに感じられる。
何がそんなに素敵なんだろう、と思うと、それは非日常感。
普段自分が見ていない世界にふれることで、何気ないことに感じるちょっとした感動。
 
まだ暗い中活動する爽快感。
しっかり聞こえる虫の音や環境音。
そろそろ仕事を終えるであろう新聞配達のバイク。
早くも仕事に出ている車。
ちらほら見かける散歩の人。
早朝にコンビニに立ち寄る人。
暗さの中に映える街頭の明かり。
暗さから明るさへと変貌を遂げていく空。
 
それぞれが、自分の想像の範疇を超えて心地よい刺激を与えてくれる。
田舎へ旅行に行ったときに感じるような非日常感の心地よさが、早朝の外出にはあった。
時間に余裕があるからこそ感じられる、心地よさが。
 
僕はマクドナルドのナゲットをもらい損ね、400円分、つまり12文分(三文=約100円)の金銭的な損をした。
が、時間は無駄にしたどころか大きなリターンを僕にくれた。
旅行に行かずとも、非日常の心地よさを感じられる。
身近なところにも、非日常感はたくさん存在している。
なんて素敵なことだろう。
まさかナゲットをもらい損ねてこんな爽やかな気持ちになるなんて、思いもしなかった。
 
これからやってくる10月。
早朝の気温が少し肌寒いくらいの心地い時期だ。
皆さんも、お金をかけずに早朝のちょっとした非日常旅行、してみませんか?
人それぞれ違う、素敵な心地よさが待ってますよ。
 
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2018-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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