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メディアグランプリ

美魔女の時代は終わり、白髪女子の時代が来る


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:林絵梨佳(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
 
私は白髪が多い。子どもの時から白髪がある。
二十代の頃から白髪染めにお世話になっている。
白髪を染めないと一気に老け込んで見えるので大体月に一度ぐらいは染める。
昔は白髪には黒ゴマがいいとかアーモンドがいいとか言われては色々試したりもした。しかし母も若い頃から白髪が多かったのでこりゃ遺伝だなと今はもう半ば諦めている。
 
「いつまでも若々しく美しい」と言う謳い文句でサプリメントや化粧品を宣伝しているのをよく見かける。テレビ画面の中でその効能を嬉々として語る女優さんは異常にツヤツヤしている。
そりゃあ誰だって若く美しくありたい。「お若いですね」と褒められたら嬉しい。見た目が若々しくいられることは健康であることとニアリーイコールなので、元気であるに越したことはない。
 
しかし昨今その風潮が激しすぎる気がしてちょっと気持ち悪い。スマホを見ていると流れてくる様々な謎の広告。「奇跡の40代!!」という派手な見出しと一緒に、どうみても20代のモデルさんの顔写真が使われていたり、写真を加工しすぎて体のありえない部分に影ができちゃってるダイエットの広告もある。
 
街ゆく人々は実年齢より見た目年齢の方が遥かに若く見えることが当たり前になってきている。そのため今までの50代のイメージは60代のイメージに繰り上がり、40代は50代に、30代は40代に……。見る側のイメージがアップデートされてしまい「若く見られるためのハードル」がどんどん上がってきてしまっているのだ。
 
見る人によっては白髪に不潔感を感じる場合もあるらしい。
「白髪を染めてない女の人は無理。染めるのはエチケットだと思う」という男友達の言葉が忘れられない。その時彼は本当に無理そうに顔をしかめていたのだ。そんなこんなで私は何となく白髪を染め続けている。
 
ある時実家に帰ったら母が「白髪を染めるのをやめた」と宣言した。数ヶ月ぶりに会う母は宣言通り黒6:白4ぐらいの髪色になっていた。それまでは目立たない地毛に近い深い茶色だった。
もともと母は昔から「全部白髪になったらシンディ・ローパーみたいなピンクにしたい!」と豪語していたロックンロールな人なので特に驚かなかったが、何故今そうしたのか、聞いていないけど教えてくれた。
 
それはまだ樹木希林さんが亡くなる1、2年前だったと思う。母は何かのテレビ番組で樹木希林さんのインタビューを見ていたらしい。髪留めに付いていた飾りを、邪魔だからといって全部はぎ取り、銀の土台だけにした髪留めを気に入ってつけている、という話だったそうだ。母はそのことにすっかり感動していた。その髪飾りをアカデミー賞授賞式とか、ものすごく大事な場面でも付けているということに感動していた。私も追悼番組などで彼女がその髪留めを、染めていない髪に留めている場面を何度か見た。年相応の顔付きの彼女は本当に美しいと思った。
母は「私もそういう風になるんだ!」と目を輝かせていた。
白髪を染めなくなった母は前より可愛くなったと思う。何かの呪いから解かれたようだった。
 
先日最終回を迎えたばかりの朝ドラ「半分、青い」に全部が緑い、恵子さんという小西真奈美演じるキャラクターがいる。
緑をこよなく愛し、緑色の製品を緑色の事務所で開発している彼女は、身につける洋服もその髪の毛も鮮やかな緑色。初めはあまりにも小西真奈美の清楚系イメージをぶち壊した緑髪に引いたけど、見れば見るほど可愛い。声も可愛いのでアニメっぽくなってしまいがちだがアラフォーの主婦という設定で意外とシビアな目線で主人公を勇気付けてくれる。暗くなりがちだったストーリー後半のいい息抜きになっていた。
実は母がピンクに染めたいというなら私は緑だな、とこっそり思っていたのでこの恵子さんが現れた時、やられた! と思ったのである。
 
自分の好きな色の髪の毛が羨ましい。白髪染めというと大体地毛に近い暗い色になってしまう。恵子さんのように鮮やかな色にしようと思ったら黒髪の場合は一度ブリーチして色を入れていかなければならない。しかも並みのブリーチではない。めちゃくちゃ傷みそうだしリタッチも大変そう。お金もかかってしまう。だから現実ではあの髪色は恵子さんの設定であるアラフォーではまだまだ難しい。しかし、全部白髪になれば簡単に実現できるのだ。
 
母が「シンディ・ローパーみたいにしたい」発言をしたのは私が中学生の時。母がCDを貸してくれて、その時初めてその歌声に衝撃を受けたのでよく覚えている。当時、母はまだ40代だった。しかしその時既に母は増え続ける白髪を楽しみに変えていた。
気づけば私もその時の母の年齢に近い。このことを思い出して増えていく白髪が憂鬱ではなくなった。
 
誰かに若くて美しいと思われたくて髪を染めるより、自分の好きな髪色にして毎日楽に楽しく生きる。そういう歳の重ね方をする「白髪女子」がこれから増えてくれるなら、未来は結構楽しみ。

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2018-10-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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