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メディアグランプリ

小説を読むのは、パソコンにソフトをインストールするのと同じ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:漱太郎(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
私は長い間、小説は娯楽だと思っていました。
だから、小説は一切読まず、ここ十数年の間、ビジネス書だけを読んできました。
小説は、ストーリーを楽しむものなのだから、時間に余裕があるときに趣味で読むものなので、小説を読むことが時間の無駄だと考えていたのです。
 
だって、ストーリーを楽しむだけなら小説じゃなくて映画で十分じゃないですか。
 
わざわざ小さな活字を読みながら、
なぜ、小説の中の情景をイメージしなくちゃいけないのでしょうか?
なぜ、小説の登場人物のひとりひとりの感情の喜怒哀楽を登場人物になったように味わわなければいけないのでしょうか?
なぜ、登場人物の死をまるで肉親の死を目の当たりにしたように悲しみ、涙しなければならないのでしょうか?
 
あーめんどくさい。
 
なぜ、ただの紙にかかれた活字に、ここまで心を揺さぶられなければならないのでしょうか?
小説を読み終わる頃には、いつも見慣れた風景が、違って見えるもの本当に迷惑です。
 
それよりも、ビジネス書のほうが、すぐに仕事や生活の問題を解決してくれる方法やヒントを与えてくれるし、文字も大きいし、漢字は少ないし、読みやすいし。
何より、ビジネス書の文章で心を揺さぶられて涙することは一切ないし、自分の能力アップに本当にビジネス書は役にたっています。
 
それに、ビジネス書は速読で読めるから時間の効率もいい。
小説なんて、速読で読んだらストーリーがわからなくなるから非効率です。
間違って結末を先に読んでしまったら最悪です。
 
でも最近、私の中で小説の意味が変わる気づきがありました。
ビジネス書のジャンルの中に、『ビジネス書を紹介するビジネス書』のジャンルがあるのです。
 
有名な経営者が、今まで読んできた本を著者本人の書評で紹介するという、1冊読めば10冊、20冊分の知識がえられるという大変お買い得なジャンルなのですが、これらを読んでいると、必ずと言っていいほど『小説』が混じっているのです。
 
おいおい、ビジネス書で小説を紹介するのはルール違反だろう? と思うのですが、違う著者のビジネス書を紹介するビジネス書でも小説が紹介されているのです。そう言えば、経営者は戦国武将や幕末の志士たちの小説を読んでいる人が多いと聞いたことがありましたが、それと似たようなものだろうか?
 
紹介される小説は、どれもビジネスにすぐに役立つようなものではないですが、軽々しく読めるような小説ではなく、重厚で1冊読み終えた時は違う自分にさせてくれそうなものでした。
それでも、私は読もうという気にはなりませんでした。
 
それからしばらくして、本の名前と著者を忘れてしまいましたが、あるビジネス書で小説を読んだほうがいい理由を見つけてしまいました。
 
小説は、そのストーリーが出来上がるまでに、著者が大量の資料や参考文献、そして取材をもとに書かれたもので、その小説を読むだけで、ストーリーを楽しみながら、膨大な情報を手に入れることができる、それが小説だと。
 
たとえば、中東に詳しくなりたいと思えば、中東情勢をテーマにした小説を読めば、読み終わる頃には、中東情勢の知識が頭に入り、金融に詳しくなりたいと思えば、金融をテーマにした小説を読めば詳しくなれる。ということなのです。
 
なるほど。
 
今までまったく役に立たないと思っていた小説が、実はビジネス書のように役に立つことが分かった瞬間でしたが、やっぱり詳しくなろうと思えば、簡単な内容のビジネス書を読めば済んでしまうので、メリットはありそうだとは思いましたが、まだ小説を読もうとは思いませんでした。
 
そして2ヶ月ほど前、とうとう私も小説を読んだほうがいいという明確な理由を手にすることになる出来事がありました。
それは、仕事の打合わせの時だったのですが、大学生に本を読ませるにはどうしたらいいかという話題になりました。
大学生のお子さんを持つメンバーが多かったこともあり、そんな話題になったのですが、大学生がビジネス書をしょっちゅう読むわけでもなく、スグに必要になるわけでもなく、何を読んだらいいのだろう……ということになり、やっぱり小説? と誰かが言ったところで、それは娯楽でしょ? 読む意味ないんじゃないの? と誰かが言いました。
私もその時点では同意していたのですが、その場で小説を読んだ時の効果についてググって見たところ……
 
共感する力を高める、好奇心が芽生える、話し上手になるなどなど、小説を読むことによって得られる効果を見つけてしまいました。
そういえば、又吉直樹さんの著書『夜を乗り越える』の中でも、小説を読んで、世の中には解決出来ないことのほうが多いのだということを知ったということが書かれていたのを思い出しました。
自分では経験はしていないのだけれど、小説によって世の中の仕組みの一つが分かったという事例です。
 
そして、脳はフィクションと現実の区別がつかないという性質があることは以前から知っていたのですが、小説を読んだことも脳は現実に体験したこととして記憶するということも分かりました。
 
つまり、今まで私が小説を読んできて感じていた、
小説の中の情景をイメージしたり、
小説の登場人物のひとりひとりの感情の喜怒哀楽を登場人物になったように味わったり、
登場人物の死をまるで肉親の死を目の当たりにしたように悲しみ、涙したことは、小説を1冊、1冊読むごとに、それはまるで、パソコンにソフトをインストールして、今まで出来なかった事が出来るようになることのように、小説を読むことで、今までの自分には無かった能力が、知らず知らずのうちに身についていたのです。
 
小説はビジネス書のような即効性はありません。
しかし、小説も読み重ねていくごとに、ビジネスマンとして、そして人としての魅力が積み重なって、自分にしかできないビジネスが作れるのかもしれません。
小説は娯楽では無いのです。
 
 
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2018-12-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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