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女性が男性に劣る理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:谷中田 千恵(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「女性社員のみなさま。クリスマスに向けて、打ち合わせ室の飾り付けをお願いいたします」
 
メールを送った男性の上司は、何も意識などしていなかったと思います。
なんて事のない、ただの業務連絡です。
それでも、そのメールは、当時の私を、強く刺激しました。
たった一文、いえ、たった一言の「女性社員」という言葉。
 
私は、子供の頃から男女の待遇の違いに小さな疑問を持っていました。
弟だっているのに、「女の子でしょ」と家事の手伝いを頼まれること。
女性は、おしとやかにしなければならないと言われること。
結婚すると、女性の名字だけが変わること。
小さな疑問の積み重ねは、社会人になり、不満や承認欲求へとエスカレートしていきました。
 
私は、その頃、男性と同じだと認めてもらいたいと、強く望んでいました。
技術系の仕事でしたので、男女の業務の差はほとんどありませんでした。
それでも、仕事ができるアピールをしたくて、体力的にきつい業務を進んで受けていました。
体力に自信などなかったので、いつもいつも疲れていました。
疲れて帰るので、ベッドまでたどり着けません。布団で寝られないので、十分に休めずまた疲れる、のループです。食事も毎食、外食だったことも重なり、体調は常に優れない状態でした。
精神的にもいっぱいいっぱいで、イライラしているのが平常モードだった気がします。
それなのに、疲れれば疲れるほど、私って頑張っている。男女の差なんてないでしょ。と自分に酔っていた時期でした。
 
そんな時に「女性社員」のメールを受け取ったものですから、心穏やかではいられませんでした。
こんなに頑張っているのに、上司は、結局女性は特別枠だと思っているんだ。
この忙しい時期に、業務の少ない新人社員ではなくて、中堅どころの多い女性社員を指名するのは、差別だ!
男性と女性が同じじゃないなんておかしい!
狂気の私は、その夜、一睡もできなかったと記憶しています。
 
会社を退職し、自宅で仕事を始めた今なら、よくわかります。
メールを書いた上司という人は、とても頭のいい、頼り甲斐のあるやさしい人でした。
メールに悪意などありません。
ただ、女性はクリスマスや何かの「飾り付け」が好きなものだろうと思っていただけなのです。
 
私が働く建築業界では、男性がとても多く、女性はまだまだ少数です。
大手と呼ばれる会社でも、ほんの数年前まで、女性が事務所に一人もいないことは当たり前のことでした。
長年、建築業界で働く上司にとって、女性と働くことは、つい最近始まったばかりの事なのです。
女性の中にも、飾り付けが好きな人もいて、そうじゃない人もいますよ。と笑いながらさらりと伝えれば終わる話でした。
 
働き方を変えてから、性別を意識する機会はぐんと減りました。
自分の性別を意識するのは、外でトイレを使うときや、化粧品などの買い物をするときぐらいです。
そんな今、性別ってなんだろうと、改めて考えます。
そうすると、こんな風に思えてきたのです。
男性、女性という性別は、乗っている車の種類と同じ話なのではないかと。
 
たまたま、私の乗っている車は、体力がなく毎日は長時間走り続けられません。
その代わり、小回りがきいたり、ここぞというときだけは、多少の長距離ドライブも可能です。
当時、隣のデスクにいた上司は、丈夫なエンジンを積んでいて、毎日どこまででも走れます。ただ、車体が大きいので、細い道が苦手なようです。
もちろん、女性だからみんなが同じとは限りません。
向かいに座っていた女性は、私と近い形の車なのに、馬力があります。誰よりも早いスピードで走り去ります。
 
会社に勤めていた頃の私は、毎日必死でした。
同等に見られたい! と女性が男性に劣る理由を探しては、それを解消しようと躍起になっていました。
あの人の車にあって、私の車にないものはなんだろうと、その違いばかりを見つめていたのです。
自分の車にある良さや、それをどんな風に生かすかはいつも置いてけぼりでした。
 
それぞれ、みんな違う車に乗っています。
そして、それぞれに違う特徴を持っています。
その事に、上も下も、勝ったも負けたもあるはずがありません。
理由を探さずとも、私はいつも同等だったのです。
 
人生が、長い道だとするならば、どんな風に運転をして、何より、どこに向かうかが重要なことです。
人生という、大きな目的にあたり、車の種類の違いなどほんの些細なことでした。
 
随分と時間がかかってしまいましたが、私はやっと、準備ができたようです。
次に、誰かと働く機会があるならば、私は、少し車から降りる時間を作ります。
そして、男性でも女性でもない、あなたという、私という「人間」の話をしてみようと思うのです。
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-06-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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