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スピーチのすすめ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:根岸哲史(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
日本人が苦手にしていること
絶対にやりたくないこと。
その一番が、人前で話すことだと、いつだったか聞いたことがあります。
 
人前で話すこと、スピーチというものですが、これを嫌う人はたしかに多い。大勢の人の前に立たされる。注目を一身に浴びる。話を考えないといけない。原稿はすべて覚えなくてはならない。噛んだりとちったりしたら恥ずかしい。原稿をド忘れしたらどうしよう。話が長ければ白い目で見られ、話がつまらなければ呆れられる。リスクしかない。怖い。それはもう地獄の時間。
 
その嫌さ加減は察するにあまりあります。スピーチが好きだなんて、そんなのはたいしたモノ好きだと。そう思いたくなる気もちもわかります。
 
ところが、まあ、そんな人前でスピーチをする練習をするクラブなんぞに私は入っております。大のモノ好きなのであります。
 
スピーチの練習を重ねて、スピーチが嫌じゃなくなり、スピーチが好きになってくると、これはもう人生が変わるよと、それくらいスペシャルな能力だよと、常日頃、私は心から思っております。ですから、多くの人にスピーチのよさを知ってもらいたいと、所属しているクラブに友人たちを誘うのですが、これがまた反応は芳しくない。やっぱり日本人のDNAにスピーチ嫌いは根強く染みついているのでしょう。
 
だから、私としても、スピーチの効能というものについてよくよく考えてきたものです。「なんとなくいいことあるよ」ではなくて。スピーチを学ぶとどんなよいことがあるのか、どんなふうになれるのか、しっかりと伝えられるようにならなければ、大事な友だちをスピーチという地獄へと誘えません。
 
さて、ここですこし話は変わるのですが、ヨガというものをご存知でしょうか。背中の後ろで手を合わせたり、足を複雑に組みあわせてバランスを取ったり、腰を折り曲げたりする、あのヨガです。どうしてヨガはあんなにも複雑で不思議な体位を取らせるのでしょう。実は、あれ、体を柔らかくするためではないそうです。
 
ヨガの目的はリラックスにあります。リラックスする技を極めていくのがヨガの道。でも、大の字に寝転がってリラックスするくらいなら誰でもできます。だから、ちょっとやそっとじゃリラックスできないような状況に身を置いてやる必要があります。要するに、ヨガの複雑怪奇なポーズはリラックスへの負荷なのです。
 
不自然で不安定なヨガのポーズを強いられながらも、それでもリラックスできるようになれば、いつでもどこでもリラックスできる。それがヨガの目的です。リラックスすることで体から無駄な力が抜け、可動範囲が広くなり、結果として、体が柔らかくなるわけです。
 
このヨガにスピーチは似ていると思うのです。スピーチをするシチュエーション、こんなに精神的に負荷のかかる状況もありません。たくさんの人の前に立ち、じっと見つめられる。たいへん不自然で不安定な場面です。そこで自分の話をしなければならない。
 
緊張しないという方が難しい。どうしたって緊張はしてしまうものです。でも、スピーチの練習を重ねていくなかで、次第と緊張しながらでも話すことができるようになっていきます。緊張をしなくなるのではなく、緊張しつつも、緊張している自分を認めて、受け止めて、緊張のなかでできることを増やしていけるのです。
 
心臓が高鳴っているな、声が上ずっているな、早口になっているな。スピーチをしながら、いま自分の状況を察知して、一息つこう、トーンを落とそう、ゆっくりしゃべろう。そう思いながら話せるようになっていく。
 
緊張に呑みこまれるのではなく、緊張している自分を客観的に理解して、できることをみつけていけるようになるわけですね。そうやって、緊張している自分をコントロールする術を身につけられる。
 
どんなにスピーチを練習しても正直おもしろい話ができるようになるかはわかりません。漫談のようにおもしろい話をするには、やはり磨きぬかれたセンスや話術が必要です。でも、人前という緊張する場面で緊張とつきあいながら話をする技術なら誰でも確実に身に付きます。
 
緊張に対応できる能力が得られると、自分自身とのつきあい方が変わります。というのも、緊張に対処する技術は感情に対処する技術でもあるからです。緊張に呑みこまれなくなると、怒りや悲しみといった強い感情に呑みこまれることもなくなります。緊張している自分を第三者の位置から眺めるように、怒っている自分、悲しんでいる自分も客観的に見つめられるようになります。
 
ヨガは不自然で不安定な姿勢でもリラックスしていく術を身につけるレッスンでした。同様にスピーチは緊張する場面で緊張に対処する術を身につけるレッスンになりえます。そして、自分の感情とのつきあい方を磨くレッスンなのです。
 
スピーチをすることで得られる心の静穏は、このストレスフルな世の中を生き抜く私たちの人生を大きく変えてさえしまうものではないかと思うのです。もし、そんなスキルを身につけたいと思っているのなら、ぜひ、スピーチはいかがでしょうか。
 
 
 
 
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2019-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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