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呪いを解く方法


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記事:成広汐里(ライティングゼミ平日コース)
 
呪われたこと、ある?
そう聞かれて「ある」と答える人は少ないだろう。
「呪いなんて信じない」と言う人もいるかも。
 
ちなみに私はある。それも1度や2度じゃない。
でも特に体の不調を感じていることもないし、不運続きというわけでもない。
でも呪われている。
よくイメージされる藁人形とか、魔女がかけた呪いとかそういう話ではない。
要は「概念」みたいなもの。
 
「16歳の誕生日に針に指を刺されて、永遠の眠りにつく」
ご存知の通り、「眠れる森の美女」の魔女がオーロラ姫にかけた呪いの言葉だ。
実際は妖精が呪いを弱めて100年の眠りになるし、王子様の目覚めのキスで目覚めるわけだけど。
でもその呪いの言葉は父である国王に国中の糸車を焼かせた。
呪いの言葉の力はここにあると思う。
 
だから私は今も呪いの言葉があると思う。
自分の行動や考え方を制限してしまう、そんな言葉。
それは言った相手と自分の関係性にもよるだろう。
でも私がもらった呪いの言葉の多くは第三者が第三者に言った言葉で。
大体の場合創作物や過去の人物の言葉だ。
最近出会った言葉は
「愛してる、だからあなたもこの世界を愛し続けて」
というセリフだ。
アニメの1場面で最愛の妹を殺された兄に向けたセリフ。
 
想像してみてほしい。
もしあなたが最愛の人を殺されて、
その人の最期の言葉がこれだったら。
もう後も追えない。
大好きな人を殺された、こんな世界を嫌いにもなれない。
大好きな人の最期の願いだから、守りたいと思う。
だけどそれは苦しいだろう。
その言葉をもらった彼がどうするかは分からない。
でも私なら。
私なら、きっと、そんな呪いに苦しみながら、それでもこの世界を愛し続けるだろう。
だって、大好きな人の最期の願いだから。
叶えてあげたいと思うから。
 
私はそんな呪いの言葉に出会った時、決まって笑ってしまう。
「ああ、また呪われちゃったなあ」って。
また、私に簡単には捨てられない言葉が増えてしまった、と。
それは少しだけ重い。
でも嬉しくもある。
なぜならその言葉たちはいつか私を救ってくれるからだ。
 
例えば受験生の時。
どこにいたって自分の力しか頼りにできない。
友達が常にいるわけじゃないし、問題を解くのは自分だ。
「受験は団体戦」とは言え、だ。
心細くなってしまうことだってある。
でもそのときよく聞いていた曲があった。
NEWSの「U R not alone」だ。
こんな歌詞がある。
「ああ、どうか力を貸してくれないか、昨日までの僕よ。
共に乗り越えてきたじゃないか」
私はそれをセンター試験の後に聞いた。
どんなに1人でも、孤独でも、個人戦でも。
本番で味方になるのは今までの自分。
そう思えた。
だから少しだけ元気が出た。
今でもこの曲は大切な曲だ。
 
私の「呪いの言葉」はまだある。
 
「うた恋い。3」の清少納言のセリフ。
「楽しかった思い出は、戻りたいと今を嘆くものではなくて、前向きに今を頑張るためにあるのよ」
この言葉で私は過去を懐かしむことはやめようと思った。
 
2017年大河ドラマ「おんな城主直虎」の主人公・井伊直虎のセリフ。
「やってみねば分からんではないか」
この言葉でやりたいと思ったことはとりあえず飛び込んでみようと決めた。
 
こういう言葉には別名がある。
それは「座右の銘」だ。
座右の銘はこれから生きて行くにあたって大切にしたい考え方や言葉だと思う。
それは人生の岐路で道しるべになるかもしれない。
でもそれは言い方を変えれば、行動を変えているということになる。
もしその言葉を知らなければ
その考え方を知らなければ
この選択はしなかったかもしれない
ある意味「呪い」のようなものだ。
 
もちろん、と言うと悲しいけれど純粋な呪いの言葉もある。
その言葉はマイナスな方向に考え方や行動を制限する。
1番多いのは容姿に対する言葉じゃないだろうか。
「この服かわいいな」
「このアイシャドウかわいい」
そうやって自分を磨くのは大事だし、自信になる。
でもそこで枷がつく。
「私なんてかわいくないから」
「また傷つくかもしれない」
過去に誰かから言われた言葉はいつまでも残る。
呪いの言葉は特に。
 
オーロラ姫は運命の王子さまが呪いを解いてくれた。
私たちはどうやって呪いを解く?
確かに自分にとっての王子さまが解いてくれるかもしれない。
好きな人が自分の全てを肯定してくれたら、素敵なことだ。
でもそんな簡単に王子さまが現れないことも知っている。
だから、多分自分で解くしかないのだ。
呪いを解く言葉はどこにあるか分からない。
もしかしたら今まで自分がもらった言葉の中にあるかもしれない。
数年前の言葉が今になって救ってくれることもある。
 
呪いを解くために必要なのはきっとたくさんの言葉に出会うことだ。
名言集なんて買わなくたっていい。
今はたくさんの言葉が溢れている。
その中に絶対あるはずだ。
あなたの呪いを解く言葉が。
出会ったら、きっと一生忘れられない「呪いの言葉」になるだろう。
でも、絶対その言葉は、
あなたの道しるべにも、あなたを守るものにもなるはずだ。
 
 
 
 
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2020-01-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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