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バレンタインデーは女性にとってなくてはならない重要な日


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事 小林れい(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
持ち込みラッピング専門店を経営しながら、小売店のコンサルティングをしている私。1月も下旬になると
「コンサルティング、お願いしたいんですが。バレンタインが近いとお忙しいでしょうか」
と打診される。
だが皆様の想像に反して、バレンタインデー前後、私の店は忙しくない。
なぜならバレンタインデーにわざわざチョコレートをラッピングしてもらいに来る女性は皆無。そもそも、この時期に売られているチョコレートは、パッケージを兼ねて、すでにラッピング済み。
自作する女性も自分でラッピングをするところまでを楽しんで作っている。
私の認識では、バレンタインデーは珍しいチョコレートがたくさん売られる日。友達の多くも百貨店の特設会場に売っているチョコレートは、誰かにあげるためというより、自分用に買うと聞いている。
一方、バレンタインデーより忙しいのがホワイトデーだ。これはクリスマスに次いで、私の店の稼ぎ時。
恋人や妻からチョコレートもしくはプレゼントをもらった男性、社内で義理チョコをもらった男性などが、お礼の品をネットショップで購入して私の店に列をなす。
男性とのほうが話しやすいので、どんなチョコレートをもらったのか尋ねてみる。
社内の義理チョコであれば、数百円と思われる内容。
「チョコレートが3粒入っていた」
「社内の女性から5人で1つのチョコレートをもらった。お返しの価格もあるので、もらったものをネットで調べたけど、500円だった」
と苦笑する男性たち。
義理なら、そのくらいかもしれないが、お返しをするのはひとりあたり1000円程度だという。
ハンカチやハンドクリーム、文具など、こまごまネットショップで買いこんで、私の店に持ち込む。
「え? 5人で500円のチョコを買った人にもそれぞれ1000円程度のお返しをするんですか?」
「そうだよ。ケチな男だと思われたくないからね。一年に一回の社交辞令と感謝を込めて。こんなおじさんにもわざわざ誰かが買いに行ってくれてくれるんだもの」
なるほど、そうやって経済と人間関係は回っていくのか。
会社員生活を15年前に捨てた私にはわからない世界。
私だったら5人でわけてね、と同じように500円のお菓子で済ませてしまいそう。
男児2人を育てている私は、こういうところで将来の勉強をさせてもらう。
また、彼女や妻、娘にもらったという男性は、ほとんどが手作り。
彼女にもらったという男性は
「板チョコをたくさん買って、作ってくれましたね。材料が余ったから、たくさん作って友達にも渡すといってましたよ」
お返しは彼女からのリクエストで有名店のバッグ。
妻、娘にもらったという男性も
「娘が作ってくれたんですよ。嫁も毎年大変。娘が小学生のころから毎年手伝っているんだけどクラス中の女の子に配るらしい。チョコレート工場のように、ダイニングテーブルにチョコレートが並んでいるね。年々、凝ったことをしているから、嫁と娘で大騒ぎしながら作っているよ」
と、嬉しそうに、2センチくらいのカップに入ったチョコレート3つの写真を見せてくれた。
ちなみに持ち込んだラッピング依頼品は、妻がブランドもののアクセサリー、娘は好きなアイドルのDVD。
なんという、ローリスク、ハイリターン。板チョコを溶かして、100円ショップのカップにいれただけのチョコレート3粒が、バッグやアクセサリーとDVDが手に入るらしい。
この人が特殊なのかと思いきや、こんな感じのお客様で溢れるのが私のラッピング専門店なのだ。
男性は
「手作り、手作り」
と喜んでいるが、原価は知れている。
「ついでに友達のも作る」
と言っている彼女や娘も、同性の私から見るとどっちがついでなのか、と思ってしまうが、それは言ってはいけない。
「いいですね~、手作り」
といって、私はラッピングの手を動かすだけだ。
クリスマスといい、バレンタインといい、ホワイトデーといい。
「風が吹いたら桶屋が儲かる」
とはよくいったもので、きっとこうやってプレゼントをする機会が世の中の経済を回していき、男性を心地よくさせ、女性を喜ばせているんだろう。
そういえば、我が家では結婚してから1度も夫にチョコレートをあげた記憶がない。
むしろ夫が会社でもらってくるチョコレートを私と子供が食べ、お返しは夫がなにかしら用意している、のだと思いたい。
今年は時間もありそうだし、チョコレート3粒、作ってみようか。板チョコがバッグに化けるかアクセサリーに化けるか。
余ったら友達に渡すだけである。
 
 
 
 
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2020-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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