これこそがジャニヲタの「母性愛」
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:花倉祥代(ライティングゼミ平日コース)
「子宝芋料理会に来ませんか?」
月に一度、経営というくくりで集まっている勉強会のメンバーからお誘いを受けた。
子宝芋ってなに? と思う人が多いだろうけど、芋というぐらいだから、なんとなくその想像は間違っていないと思う。ただ、町のスーパーなどでは見かけない芋だ。
子宝芋というのは、新京野菜のひとつで、産地は京都市右京区、高雄からまだ山を越えた先にある「京北」という地域。
子宝芋、新京野菜、京北、一般的には「なんだ? それ!」となる。
新京野菜の歴史はまだ浅く、優れた栄養価や食感をウリに地域の活性化のチカラになろうとしている京都の新しい野菜のことで、その中のひとつである子宝芋というのは、京北地域限定で栽培されている里芋のこと。
産地である京北地域は、京都市右京区ではあるが、京都市の農地面積の約15%を占めるほどの農業地帯。都市部に比較的近いにもかかわらず恵まれた自然と昼夜の寒暖差が大きいという内陸部特有の気候でおいしい野菜ができる地域なのだ。
説明したところで、多くの方にとっては、マイナーすぎて、なんの感情も湧かないだろう。
ところが、なぜか私はジャニーズ事務所のダンスレッスンの見学会に呼ばれたような受け止め方をした。キラリと光る原石とも言える子宝芋をアイドルに育て上げる企画会議か、オーディション会場に呼んでもらったような、そんな気がしていた。
ジャニ―ズファンは「ジャニオタ」と呼ばれ、私もその一人だったりするが、ジャニヲタはデビュー前のジュニアの頃から応援していることが多い。
ジャニヲタの愛には、いろいろあると思うが、私の場合は「母性愛」が大きいと思っている。「育てたい愛」とも言えるかな。「私は、こんな小さいころからこの子を見ていたのよ」なんて、ジャニタレをいち早く見抜いて注目することに喜びを覚える。
子宝芋がジャニーズ事務所のタレントだとすれば、まだデビューしていないジュニアみたいなものだ。嵐やキンプリのような人気はない。嵐やキンプリは賀茂なす、九条ねぎといった京の伝統野菜といったところだろう。
私はジュニアとも言えるこの子たちがデビューし、トップアイドルに育つのを見守りたい、そんな夢を描いてしまった。完全にオタクの領域……。
子宝芋料理会当日、どんなお料理がいただけるのか、私はジャニーズ事務所のオーディションで審査をするような少し緊張しながらもワクワクする気持ちで参加した。
テーブルに案内してもらうと、今度はまるでオフ会に参加したかのような雰囲気で、自分が知っている子宝芋のネタ話で盛り上がった。
さて、お料理はというと、子宝芋が里芋の仲間なので、私は和食を思い浮かべていたが、想定外の洋食だった。
わかりやすいものでいえば、コロッケ。
まぁ、コロッケといえばもともとじゃがいもなので、だいたい想像がつくと思う。
うん、おいしい!
次、牡蠣と子宝芋のアヒージョ。
オリーブオイルとにんにく、安定においしい!
実は、テーブルに着いた時から私はある小さな器が気になっていた。
その器にはディップのようなものが盛られていた。
「これはなんだろう?」
見たところ白いペースト状のものだったが、その味、食べ方について私は全くイメージがわかなかった。
すると、フランスパンが出てきて、このペースト状のものをつけて食べてくださいと説明があり、言われたとおりパンにつけてかじってみた。
「え?」私は一瞬息が止まるほどの衝撃を受けた。
その直後、私の目はまちがいなくハートになっていた。
ペーストはなんとオリーブオイルを子宝芋にかえて作ったという「バーニャカウダーペースト」だったのだ。
これがなんとも美味で、「バーニャカウダーペーストだけでワイン1本飲めるぜ!」というほど、くせになる味! やめられないとまらない状態になっていた。
この子宝芋、栄養的にもかなりの優れもので、ガラクタンという成分が多く含まれ、これがコレステロールを下げる働きがあったり、血圧を下げる効果があったりする。
人の消化酵素の中にはガラクタンを分解できるものがないので、どれだけ食べても脂肪として蓄積されないそうだ。
たしかに、料理会でたくさんの芋料理が出てきて、腹八分どころか腹十二分ぐらいの超満腹になるほど食べたけれど、食べ過ぎのあの苦しさはなかった。
「明日の朝をお楽しみに」とにやりと笑う主催者。
もしかして……?
正解! お通じが最高らしい。
女性にとってこんなにうれしいことはない。
食べると心から幸せを感じ、食べすぎてもちゃんと翌日おなかの中をきれいにしてくれる。
その見た目は、白くて丸くてかわいい。食感はなめらかで、なんともいえない粘り気とそして主張しすぎない味。サイコーだ! まさに私を幸せにしてくれる、ジャニーズジュニア。
生産者さんが「こんなに水がきれいなところでできる子芋はそうそうないよ」とおっしゃっていた。聞くところによると、里芋などの小芋たちが育つにはたくさんの水が必要らしい。「こんなに水がきれいなところでできる子芋はそうそうないよ」と話す生産者さんの笑顔から、子宝芋へのあふれんばかりの愛情が感じられた。
生産者さんに大切に育てられた子宝芋は、この料理会でみんなにお披露目され、そして参加した私たちは心を奪われた。
これからこの子たちがアイドルとしてどんなデビューをするのか。
ファンとして購入というカタチでお金もつぎ込みながら応援したいと思う。
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