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生命保険は「入る」ではなく「買う」と捉えると理解しやすい


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記事:田中伸明(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
あなたは自分がどんな保険に入っているか、ご存知だろうか?
こんなことを聞かれても、その場で答えられる人は少ないだろう。何せ、保険はわかりにくいため、理解しにくい。理解したつもりでもすぐに忘れてしまう。公益財団法人生命保険文化センターが調査したデータによると、加入している生命保険の死亡保険金額について「不明」と答えた人はだいたい3~4割にのぼる。月々払っている「保険料」についても同様だ。
なぜわかりにくいのだろうか? 私も最近まで似たような疑問をもっていた。しかしいろいろ調べた結果、ようやく理解できるようになった。ここでは生命保険をどう捉えれば理解しやすいのか、について解説をしてゆく。これを読めば、あなたは自分で入っている生命保険がどれくらい過剰なものか、しらべたくなると思う。
 
まず、これまでの保険がなぜ理解しにくいのか、振り返ってみよう。多くの方は、生命保険に「加入する」と思い込んでいる。実際、保険のセールスマンがそのような呼び方をしているからだ。ここに落とし穴がある。
「この保険に加入すると、保険料(月々の支払い)は○千円」
単純に言うとこんな表現になる。親切なようだが、見事に誘導されているのだ。というのは保険に加入すると「会費」のような感覚になるからだ。ところが、将来にわたって全部でいくら払うのかが、ここでは出てこない。出てこないから気にしないのだ。
 
先ほどの公益財団法人生命保険文化センターの資料によると、世帯当たり支払われている年間の保険料は平均32万円になる。1か月あたり2万7千円の計算だ。この金額も小さくないが、保険に「加入する」際には
「月々の保険料が2万7千円」
としかインプットされていない。一体、どれだけの人が
「年間の支払額は32万円」
と理解しているだろうか?
 
さらに言えば、生涯でどれくらい払い込んでいるのか、理解している人はほとんどいないのではないだろうか?例えば、30歳で生命保険に加入して、年間の支払額32万円を65歳まで続けるとどうなるだろうか?答えは
「35年間で1120万円」
なのだ。もちろん、その時の家族構成によって「加入する」保険は変わるだろうから、このような単純計算であてはまる人はいないだろう。しかし、生涯で支払う金額は1000万円近くすることは理解できたはずだ。少なくとも数百万円する話になる。
 
似たような支払をするものとしては、実は家や車である。車を買うときはどうしているだろうか?車を買うときは、多くの人はとても慎重になるはずだ。「この装備をつけると全部でいくらになるだろうか?」、「あっちのお店の方が値引きが大きい」、など総支払額を月々の支払いも同じくらい神経をとがらせるだろう。
 
実は生命保険も同じように考えることができるのだ。つまり、保険に「加入する」のではなく、「買う」のだ。生命保険を「買う」という見方で捉えると先ほどの話はどうなるだろうか。
「この生命保険は1120万円する。これを35年かけて払う。分割払いで月々の支払いは2万7千円になる。」
こんな風に生命保険を捉えると、総額の1120万円という数字が記憶に残るようになる。そしてあなたは「高い!」と思うだろう。死亡時に支払われる金額に対して、あるいは満期時に戻ってくるお金に対して、この支払い総額はそれに見合うだろうか、という目で確認したくなるだろう。
そう、生命保険は「加入する」ものだと捉えていたからわかりにくかったのだ。「買う」ものだと捉えるようにしよう。「買う」ならばどんな種類の、保険金がいくらの保険商品が必要なのか、むちゃくちゃ慎重になるのではないだろうか。そんなにお金を使うなら、自分でコツコツと貯めていったほうが良いと、懸命なあなたなら気づくかもしれない。
300万円くらいの車を買うときにも慎重になるのだから、1000万円近くする保険商品を「買う」ときには総額がいくらになるのか、もっと慎重になっていいはずだ。
 
例えば、あなたがまだ若くて独身で、あまり貯蓄がないとする。あなたが亡くなった場合に生活に困る人はいないはずだ。せいぜい、自分の葬式代を賄えれば、他人に迷惑をかけることはないだろう。そうすると死亡保険金が300万円くらいで十分だと言われている。貯蓄がそれ以上あるならば、生命保険に入る必要はない。むしろその金額を貯蓄した方が、自分のお金になる。
 
別の例としてあなたに子供がいるとしよう。いま、あなたが亡くなると残された子供に対して将来の養育費が心配になる。その際も遺族年金という制度があり、ある程度生活する分には困らないはずだ。それらを鑑みて、大学卒業までに足りない養育費はいくらだろうか、と見積もることができる。あとはその金額を保証してくれる保険商品を探せばよい。高い保険を「買う」くらいなら、その一部を貯蓄に回した方が良いと気づくかもしれない。
 
このようにしてゆけば、間違いなく保険のムダ遣いが減る。保険は「加入する」ものではなく「買う」ものだ。保険の無駄を減らして、あなたの貴重なお金を、本当に必要なことに使うようになって欲しい。
 
 
 
 
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2020-02-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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