思春期の子育てには、ペットは効果的
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記事:隅倉 文子(ライティングゼミ・日曜コース)
我が家には、3歳になるメスのねこがいる。
彼女との出会いは、昨日のことのようにおぼえている。
3年前の祇園祭の宵山の日。川端通の側道の植え込みに小さくなって動けなくなっていたこねこをダンナが保護した。
その時、周りを見渡しても、親ねこの姿がなかったので、どうやら、はぐれたらしい。
そして、ダンナは、わたしに電話して、
「親ねことはぐれたねこを見つけたから、保護したいから、保護できるもの持ってきて」
と言った。
私は、
ダンボールといらないタオルをもって、その場所へ行った。
後で知ったのだが、ねこを保護するときは、洗濯ネットにいれるのが、いいらしい。
その日から我が家の一員となり「みーちゃん」と名付けられた。
みーちゃんは、茶白のトラねこで、かわいい顔をしていた。
当時の体重は約300g。
両手に乗るくらいのちいさなねこだった。
床におろすと、あまりの小ささに足で踏みそうになった。
抱くとちいさい声で「みゃーみゃー」とないた。
現在、体重は約4kg。両腕で抱えないと持てないくらい大きくなった。
当時、双子の息子たちは、中学2年生だった。
長男は、学校へ行きたがらない次男に私が、手を焼いているため、好き放題で、勉強もせず、部活かスマホをいじっているか、友達と遊んでいるかである。
時々、親として、生活態度のことをいうと「うるさいなぁ」と言われる始末であった。
すこし前まで
「お母さん、お母さん」と言っていたくせに。
そこに、こねこがやってきた。
もともと、長男は、ペットを欲しいと言っていたので、ダンナが保護したみーちゃんをすぐに気にいった。
長男は、よほど、うれしかったのか、LINEのプロフィール画像が、すぐ変わっていた。
思春期でなくなっていった親子の会話というものが、ねこのおかげで、なされるようになった。
例えば、ねこは、吐きやすい動物である。
少しでも、異物だと感じたら、吐くのである。
キャットフードしか食べていないうえに、未消化のものなので、エサのニオイしかしない。
私は、あまり気にせず、始末をする。
しかし、長男は、見つけたらすぐ私を呼ぶ
「おかん。みーちゃんが、吐いとる」
そう言って、後始末をさせるのである。
そのほかにも、「エサがない」「みずがない」といって、私に用意をさせたり、たまには、自分でしたりしている。
みーちゃんのおかげで、あきらかに、彼とのコミュニケーションが、増えていった。
次男は、最初、こねこを飼うことに難色を示していた。
生き物が怖いというのが、理由である。
でも、彼の友だちがみーちゃんを見て「かわいい」と言ってくれたことや、
みーちゃんは、かみついたり、ほえたりする動物ではないということで、だんだん距離を縮めていった。
最初は、さわることもできなかったが、いまは、「どいて」といって、持ち上げて、部屋の外へ出したりしている。
彼が留学した時、ホームスティ先が、ねこを飼っていたらしい。
でも、彼の感想は「みーちゃんのほうが、かわいい」
そりゃそうだろう。
すごくかわいいのだが、彼女には、空気を読む力は、ない。
だから、わたしが、どんなに、家事でいそがしくしていても、自分の欲求が満たされないときは「みゃーみゃー」とないて、まとわりつくことがある。
そんな彼女もいくつか学習したようである。
ドアが閉じられ、自分で開けられないときは、ドアをかりかりするのである。
「カリカリカリカリ」
最初は、何の音かわからなかったが、ドアを開けるとすぅーと入ってくる。
まるで、ドアをノックしているようである。
そして、玄関の開ける音が聞こえると玄関に走っていく。
しかし、犬のように、必ずではなく、気分の乗ったときのみである。
でも、毎回じゃないところが、いいのかもしれない。
「ツンデレ」である。
そういう態度が、ねこの魅力という人は、多い。
犬のように主従関係じゃないところ。
みーちゃんに出会う前は、別にねこをすきだったわけではない。
ねこは、どちらでもないという感じだったか?
いや、引っかかれたらどうしようと思っていたから、苦手だったかもしれない。
今も、野良猫は、苦手である。
だから、私が、みーちゃんのように、動けないこねこに出会って、飼いたいと思うか
と言われたら、即答できない。
ねこを一匹だけ飼っているので、一匹ではかわいそうと言われたことがある。
しかし、相性というものがある。
人間でも、誰でもOKではない。
ねこだって、誰でもOKではないと思う。
だから、2匹めをむかえる予定はない。
学校や職場でイヤなことがあっても、みーちゃんに家族は、癒されている。
とくにダンナは、メロメロである。
玄関のドアを開けて、そこにいたときになどは、大喜びである。
ねこ効果なのか、長男も次男も性格がまるくなったような気がする。
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