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「フランスの伝説の薬剤師が教えてくれたもの」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:早藤 武(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「君は、フランスの伝説の薬剤師エミールクーエを知っているかい?」
 
僕は12年間プロの薬剤師として日本の医療現場にいるが、
エミールクーエなる人物の名前を薬剤師になってからも
薬剤師の歴史を学ぶ大学時代ですら全く聞いたことがなかったので、
ひとまわり年上の丸坊主頭でニコニコ顔の経営者を前にして、
きょとんとした顔になってしまった。
 
「いいえ、申し訳ありませんが今まで一度も聞いたことがないです」
 
ある朝の経営者同士で行なう勉強会後の朝食会での話である。
 
「謝ることはなにもないよ。
それならクーエの本を取り寄せて調べてみなさい。
きっとこれから君の役に立つはずだからね」
 
そもそもなぜ、そんな話になったのか。
 
僕はたくさんの経営者が、自身の経験談を語り、自分自信の失敗や弱さと向き合って、それぞれの日常で行動して挑戦し、またその経験を語り合い学び合っていくという勉強会に参加していた。
 
そんな中で、僕は何百冊と本を読み知識を詰め込んで勉強してきたが、
いざ何か行動しようとすると怖くて動けないでいたのが課題になっていた。
 
その日、他の地域も含めてこの勉強会の企画や運営をしている丸坊主の経営者男性が遠方からゲストで来てくれたのだ。
僕はまたとないチャンスだと思って丸坊主の経営者に聞いてみたのだ。
 
「たくさん勉強をしているとは思うのですが、
いざ何かをしようと思ったらどうしても自信が持てなくて、
一歩を踏み出して行動ができないのが今の悩みです。
今の僕にできることって何かありますか」
 
この質問をしたところ、丸坊主の経営者は僕をじっと見つめて冒頭のセリフでアドバイスをくれたのである。
 
エミールクーエって誰?
何の伝説を残した人なのだろう?
それが僕の自信が持てない悩みとどんな繋がりがあるのだろう?
しかも自信が持てない悩みと薬剤師が繋がるのか?
 
たくさんの疑問が浮かんできましたが、朝食会も終わり間際
 
「ありがとうございます。この後調べてみます」
 
丸坊主の経営者と別れた後にスマホでエミールクーエを検索してみたところ
確かにフランスの伝説として名を残した薬剤師と書いてあった。
そして続きにはこう書いてあった。
 
「フランスで活動した自己暗示法の第一人者だったのか」
 
そして近所の大きな書店で検索をかけてようやく彼の関わった本を見つけて、
読み進めるうちにようやく丸坊主の経営者が僕にアドバイスしたことが理解できてきたのである。
 
エミールクーエは薬剤師でありながら精神科医、心理学者でもあったのだ。
彼はポジティブシンキングの元祖であり、自己暗示療法を生み出して
当時のリウマチ、喘息、結核、がんに到るまで様々な患者を自己暗示療法で
救ってきたのだと言われている。
 
エミールクーエの思想を短くまとめると
「日々あらゆる面で私はますます良くなりつつある」と心の中で唱えることにあるそうだ。
 
つまり、物事を前向きにとらえることができる言葉や習慣を自分の身近に取り入れることで自己暗示で変わることができるようだ。
 
見方を変えてみると
今の自分は「きっと行動しても上手くいかない。成功しない」という
過去の経験や失敗からマイナスの自己暗示にかかっていると言えるのである。
これこそ自信が持てないというものの正体なのだと思ったのだ。
 
僕は毎日の生活の中でクーエの学びを取り入れることができるように
前向きな気持ちになれる仕掛けをすることにした。
 
朝に目を覚ましたら洗面台の鏡の前で最高の笑顔で歯磨きをする。
 
鏡を通じて自分の笑顔を見ながら
「いいねー!今日も最高の1日が始まったね!」
 
端から見ると完全に頭が危ない人である。
家族に見つかったらなんて説明しようかと迷う光景である。
 
しかし、朝に歯を磨く時は周りに誰かいることはない。
歯を磨く以外に鏡超しに自分の顔を見るくらいしかなかったのだから
この仕掛けは回数を重ねると1週間くらいであることに気が付いた。
 
目覚めて、何もしたくないなという気分が重い状態で
心に雲がかかっている感じが歯磨き後にはなくなっているのである。
 
これは表情筋が笑顔を作ることで活発に動くことで、
脳内でベータエンドルフィンが分泌されて快感を得ている状態であり、
さらにプラスの言葉を発していることで、
脳が自分は元気だと勘違いしてくれているのである。
 
そうやって、気持ちが前向きの状態になって
何かをやってみよう。失敗してもやり直せば良いと考える事ができて
行動が起こせるようになるのだ。
 
朝の歯磨きの習慣を続ける中で、気持ちが前向きになり他の行動を始めた。
人に何かをしてもらったら「すみません」ではなく「ありがとうございます」に変わったりもした。
 
丸坊主の経営者と会って約2か月後
僕は勉強会の参加者から司会進行に挑戦していた。
慣れないので声が震えたり、話す言葉を間違ったりもしている。
 
共に学ぶ年長者の経営者たちは、
温かい目で見守ってくれているとわかるのが僕にはとても心強い。
 
一歩を踏み出して失敗してもいい。
 
むしろ、本当に後悔するのは踏み出さないで何もしなかった時だ。
 
本当に何かを成し遂げた時、
自分はできるのだという自己暗示から生まれた前向きなセルフイメージは
本当の自信に化けるのだ。
 
 
 
 
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2020-03-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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