iPadとApple Pencilは、航海士の羊皮紙と羽ペンと同じかもしれない
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:高遠ニヶ(ライティング・ゼミ特講)
15世紀半ば~17世紀半ばの大航海時代。
航海士はインクを付けた羽ペンで、羊皮紙に海図を書き込んでいたのかもしれない。
もちろん手書きで。
誰も行ったことのない海の向こうがどれくらい広いかなんて分からない。
きっと航海士は、1枚の紙に収まりきらない広い海に、目眩がしたに違いない。
目の前の海を全て海図にしたら、一体何百、何千枚の海図になるのだろう……!
今、私の手元にあるiPadとApple Pencilは、大航海時代の羊皮紙と羽根ペンに他ならない。
この2つのデジタル機器は、私を紙の束縛から解放した。
その時の感動は、航海士が得た目眩とたいして変わらないと思っている。
私がiPadを手にしたのは2012年。
すでに発売済みのiPadに興味津々だったものの、重いことがネックとなっていて、遅れ馳せながらiPad miniを購入した。
その時は、iPadがノートの代わりになるなんて夢にも思ってなかった。
2015年にApple Pencilが登場しても、一部のスタイラスペン(タッチペン)好きの人達のための道具でしょ、なんて思ってた。(失礼)
しかし2020年。
仕事先でもiPadでApple Pencilを使って記入する人を見かけるようになった。
どうも学生の間で、iPadが授業ノート代わりに使われているらしい。
ある医学生の紙ノート2年間分(実に40cm厚)の束が、iPad一冊に収まった、という記事なども見かけた。
極めつけはライティング・ゼミで見かけた受講者の皆さんの姿だった。
iPadとApple Pencilを手に、受講者の皆さんの手が高速で動いている。
なんて書きやすそうなんだ……!
ノートを書くことが遅くて、まとめが下手で、おまけに字も汚い自分には、羨ましくて仕方なかった。
そこから1ヶ月、様々な本・雑誌・動画・クチコミから検証しまくった。
調べるほど、特にApple Pencilは魔法の杖のようだった。
大きなは特徴は3つ。
1.紙のように文字が書ける
通信接続なので、画面とペンの間に通信遅れみたいなのがあると思っていた。
しかし、通信遅れなど全くなく、吸い付くように文字が書ける。
ディスプレイのフィルムを変えるだけで、書く時の紙のひっかかり感も再現出来る。
2.文字が動かせる
これはアプリにもよるけれど、著名なノートアプリ「GoodNotes5」等は、書いた文字を囲って、ドラッグして自由に動かせることができる。
ノートを取ることが下手な自分には、文字を動かしデザインできるのは魅力だった。
3.A4サイズからの解放
私が一番魅力を感じた点、用紙サイズからの解放。
仕事中にアイディアが湧くと、A4サイズには収まりきらず、つい何枚もの紙を使って書きなぐることになる。
紙を何枚も使い潰すのも忍びないとずっと思っていたし、持ち運びもちょっと面倒だ。
しかしApple Pencilと、用紙サイズ無制限のアプリ(コンセプト等)なら、サイズに縛られず、無限に広大な紙に書くことが出来るのだ……!
もう購入しない理由が思いつかなかった。
2020年1月、私はiPadとApple Pencilを手に入れた。
手に入れて暫くは、夢中で書いた。
書くことがめちゃくちゃ楽しかった。
イラストを書いたり塗り絵をしたり、文章を書いたりメモを取りまくったり。
そして様々な効果をもたらした。
手で書くことはパソコンで入力することと比べ、作業濃度が全然違うので、集中力が増した。
書くことが脳に刺激を与え、同時に覚えたことを整理しながらノートにアウトプットしているので、会議等集中して話が聞けるようになった。
ノートや手帳も全てiPadにまとめたので、鉛のような重さのリュックから解放された。
実家のペットがいかに可愛いかを説明する如く、自慢できる点しか思い浮かばない。
iPhoneの生みの親、かのスティーブ・ジョブズはスタイラスペンに否定的だった。
昔のAppleの講演会で、ジョブズが強く、スタイラスを否定している動画が今も残っている。
しかし「書く」という行為を、ジョブズは否定しなかったのではないだろうか。
スタイラスペンに(ちょっとだけ)怒るかもしれないが、用紙サイズから解放されたジョブズが、新しいアイディアを次々と、iPadを使って書く様を見たかったな、と思う。
iPad、そしてApple Pencilは大航海時代の羊皮紙と羽ペンだ。
溢れ出るアイディアを、海図のように広大に、無限に書くことができるアイテムだ。
紙は大好きだし、読書は絶対紙の本に限ると思っている。
けれど大航海時代の航海士と同じ気分になれる可能性を、iPadとApple Pencilは秘めている。
さあ、次はどの航海に出かけようか……。
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