ダイエットの誘惑は、昔付き合っていた女と同じ理論
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記事：鵜飼 優子(ライティング・ゼミ日曜コース)
「昔の女と一緒で別れたら、もう連絡取らないんすよ」ダイエットの話しをしていたら、急にお隣のTさんは言いました。
聞くと、昔の付き合っていた女がめちゃくちゃいい女でも、別れてしまったら、女々しく連絡とったりしない。それと同じで、今まで大好きだったパンや、お菓子も別れると決めたら、もうぜったい口にしない。これで、食事制限やダイエットも乗り切るというTさんの発想でした。
Tさんは、1か月前に体調を崩し、病院に行った際、検査で計ると、血圧が高く、食事を気をつけてくださいと言われたそう。それに加え、もともと悪い腎臓が影響を及ぼしていたらしい。
病院の検査を受けてから、食事制限をしている。具体的には、塩分の量を減らす、パンやお菓子はとらない、食事の量自体を減らす、この3つを心がけていると話していました。
ある日、「昼飯いっしょに食べましょう」とお弁当を持って来られ、いっしょに食べることに。
中身をみてみると、お弁当箱にうすーく詰められたご飯、おかずはうすーく巻いた玉子焼き、もちろん味はなし。それに、梅干しともう一品おかずが入っていました。
お弁当の量は、幼稚園の年少のこどもくらい。Tさんは、30代後半の男性。これでエネルギーは足りるのか心配をしていると、「いや～足りないっす」と物足りなさそうなTさん。
量が少ないお弁当でなんとか満足するため、ゆっくりゆっくり嚙みしめながら食べていました。
数値がよくなるまでは、この食事を続けると話していたので、Tさんの健康を祈りながら、今までの我慢が募り、昔つきあっていた女が（パンやお菓子）恋しくならないように様子を見守りました。
やはり、食事制限と言うと、きつく、我慢の連続のイメージ。食べたいものが食べれないストレスなどが爆発し、一気にリバウンドするイメージが強くあります。
実際、わたしもお菓子をやめようと決心し、お菓子なしを心みたことがあります。3日くらいは、我慢ができたのですが、スーパー、コンビニどこに行っても、誘惑はつきまとい、4日目にチョコレートを食べてしまい、そこで終了。
「ああ、やってしまった」という後悔と共に、「食べたいものを食べたらいい、そのかわり運動したらいいやん」という開きなおりという結果に。
それ以来、食事制限やダイエットはしておらず、ポニョっとしたお腹を育てています。
Tさんが言う、ダイエットの誘惑は昔付き合っていた女と同じという考えで、ダイエットや食事制限が成功するのなら、わたしも再チャレンジするぞと思いながら、Tさんの行方を気にしておりました。
食事制限を始めて、2週間後のTさん。もともと少しふっくらしていた顔がほっそりシャープに。
「お、これは効果がでてきている」と一目みてもわかるくらい。
Tさん自身も、「身体が軽くなって、調子もいいんすよ」と明るい笑顔。
それから、さらに2週間後、Tさんはさらにほっそりし、いつも着ているダウンがぶかぶかに見えるほど。
「もう、パンもお菓子をみても何も思わない」と食事制限している感覚がなくなっているようでした。まったくパンもお菓子も食べていないのか、聞くと、実はと、この間じゃがりこ1本だけ食べてしまったと言いました。ただその1本のじゃがりこが旨く感動したそう。
食べたんかいとツッコみながら、1本で感動し、その1本で満足したと聞き、食事制限は、効果がでているのだと思いました。
ダイエットや食事制限は、誘惑の連続であるし、食べたい気持ちが常に、押し寄せてくる。
新しい食事や味付けは物足りなく感じてしまう。
恋愛だってそうだ、別れてしまった彼女がいい女であれば、つい連絡をとりたくなるし、会いたくなる。
だけども、いつまでも女々しくしていても、昔の女は戻ってこない。きっぱり別れを告げて、新しい恋をするのだ。
そして、慣れてしまえば、新しい味付けや恋がしっくりきて、これがいいとなる。
Tさんは、笑いながら冗談っぽく言っていたが、ダイエットの誘惑は、昔付き合っていた女理論は、あながちいいダイエットの考え方かもしれない。
痩せて、健康になっていくTさんをみながら、よし、わたしもこの考え方でお菓子にさよならを告げ、痩せるぞと決心を固めました。
と言いながら、わたしの机の横には、チョコレートの箱が……
ダイエットは明日から。明日やろうはばかやろうと思いながら、お菓子に未練たらたらのわたしでありました。
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