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明るい未来

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記事:隅倉 文子(ライティング・ゼミ日曜コース)

「今日は、学校行きたくない」
そう言って、息子は、学校を休んだ。

息子の不登校は、ある日を境に学校へ行かなくなるのではなかった。
1日おきに登校していたのが、週に2日の登校になった。
だんだん休みが増えていき、学校へ行かなくなるというパターンだった。

もともと、勉強が苦手だった。

夏休みの宿題は、よく手伝った。

担任の先生にも、相談をたくさんした。

だけど、今、考えると、そういった行為が、全部、裏目になってしまったと思う。

今だったら、もう少し違う方法でしていたと思う。

なので、私は、後悔している。
不登校に、ならずに済んだかもしれないということを後から、知ったからだ。

不登校を失敗でも、悪い事でもない、と言ってくれる人もいるが、私は、不登校を肯定していない。

息子は、知的ボーダーだと、不登校になってから、相談した施設で診断された。

学校の勉強を理解するのに、時間がかかる子。
学校では、賢くないといわれる。
「バカ」と言われることも、少なからずあったと思う。

サポートが必要な子と認識されている子が不登校になるよりも、サポートが必要だったと不登校になって気づく子は、倍以上になるらしい。

もっと早くに、気づいていれば、不登校にならずにすんだかもしれない。

小学校のころから、勉強が苦手だったことは、わかっていた。
先生からも、指摘されていた。
でも、勉強以外は、なんとかついていけているから、大丈夫だと思っていた。
だから、先生は、勉強ができないでいることを怠けていると思われていた。

時間がたってから、息子が、口にしたことは、
最初は、できないでいることに、仕方ないなぁという態度だった先生が、ある時から、さぼってないでやりなさいという感じで怒り始める。それからは、ほぼ毎日のように怒られてた。小学校の先生は、全員そんな感じだった。

なので、彼のなかでは、学校の先生という存在には、いい思い出はなく、恐怖しかないそうだ。

私は、彼の経験を通して、怒りつづけても、何も生まれないということを理解した。

でも、世の中には、叱咤されることを良しと思っている親が、相当数いる。

ある時、私は、
「しつけや指導と言って、叩いてもは、何も生まれない。だから、対話して、理解してもらうように努力するのがいい」といった。
でも、その人は、
「何度、注意しても治らないのなら、痛い目にあわないとわからない。だから、叩いたりすることは、仕方のない事だと思う。痛い目をあうことで、体で覚える。今度は、怒られないようにしようと努力する。だから、叩いたりすることは、時と場合では、悪いことではない」
「それでも、叩くのは、よくない」といった私に対して、
「口でいって、子どもが理解するわけがない。だいたい、隅倉さんの息子さんは、口で言って、理解して、立派に育ってるの? 」
と言われた。
うちの息子が、不登校だとわかっての発言だった。
私は、何も言えなかった。怒れてばかりいたから、不登校になった。
だけど、きっと、心が弱いからと言われるのが、オチだろう。

叱られ続けていると、自分の脳が、思考停止になってしまう。
考えるのを辞めてしまうのだ。

だから、自分の意志で動くことが、できなくなってしまう。

彼は、知的ボーダーという診断をもらったのだが、それは、思考が停止されていたときの診断だった。
なので、何年か経ってから、もう一度、受けたらボーダーでは、ないこともあるらしい。
しかし、その逆もあるらしい。
さらに、数値が下がるという診断結果になることも。

数えるくらいしか、行かなかった中学を卒業して、今、通信制の高校に在籍している。

今までのように怒る先生は、いない。
注意を受けることは、あるみたいだが、できないことは、できないと言っているらしい。

そうすることで、やっと、彼の思考が、動き始めたような気がする。

先日、高校の三者面談があった。

先生は、成績表を見せて、
「悪くない成績ですよ。次の成績次第では、大学を受験することも可能です」
と言ってくれた。
私は、びっくりした。
中学をほとんど行ってないから、英語は、全くできていない。

試験だって、マークシートだったから、取れたのだろう。
そう思っていたからだ。

先生は、
「決して、今のままでいいとは、言っていません。1年、努力することで、見えてくる未来です。でも、その努力が、本人がしんどいと思ったら、その時方向を変えましょう」
と言った。
私に、必要なことは、黙って見守ること。
先生も、ある時期が来たら、距離を置くようにするらしい。
やっと、怒ることよりも、対話のほうが大切と思える先生に出会えたような気がした。

高校生活もあと1年。息子の未来が、明るいことを願っている。

***

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2020-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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