私の仕事がAIに取られる時は、結婚相手もロボットになる
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:築地 顕乃(ライティング・ゼミ通信コース)
今、保険代理店に勤めている私は、日々かかってくる電話を取り、老若男女の悩み、不安を聞き保険提案をし、事故や病気の際はご契約の保険が最大限の力を発揮するように手配している。
と、書くととても事務的で、将来AIに取って代わられる仕事のように見えるが、私は絶対に奪われない仕事だと思っている。これは人間にしかできない仕事だ。絶対に。
社会人になってから4年、学生時代のアルバイトを含めると4年と3ヶ月。電話を取り続けているが、実に様々な人から電話がかかってくる。十人十色とはまさにこのこと。
「車を買ったので自動車保険をかけたい」
「結婚したので妻と自分の保険を見直したい」
「リフォームをしたが施工不良で水漏れを発生させてしまった」
「がんになった。これから治療が始まるがどうすればいいか」
人生でこんなにも様々な悩みを聞いたのは初めてだ。今まで聞いたことといえば女子の恋愛相談ぐらい。それも言ってしまえば相槌を打つぐらいなのだが。
さて、働き始めて1年経ったころ、ある疑問が生まれた。今の世の中、スマホでなんでもできる時代だ。わからないことはグーグル先生が教えてくれるし、写真も動画も撮れるし、世界中の人と連絡も取れるし、お金の支払いもできる。人工知能のAIさんが勉強だって自分の弱点を見つけて教えてくれる。なのにどうして、こんなに電話がかかってくるのだろう。もちろん会社が電話回線を引いているうちは電話はかかるけれど、それでもどうして、と思うほどに電話がかかる。
この疑問に対する私の答えはこうだ。
「ネットでもAIでもわからないことが世の中にたくさんある。解決できるのは人間だけだ」
どれだけ調べてもわからない。いや、むしろどう調べればいいかもわからない。情報が溢れすぎていて何が正解かもわからない。便利な世の中は人を迷わせているのかもしれない。そんな時はその道のプロに聞くのが一番だ。病気になれば医者にかかるし、車が故障したら修理工場に持っていくだろう。だからお金や保険で困ったことがあれば、保険代理店に電話がかかってくるのだ。とてもシンプルな答えだけど、基本中の基本にようやくたどり着いたのは、3年目をすぎたころだった。
しかも電話はかなり高度な技が必要になる。これがサービスの分かれ目だと思っている。誰だって知識さえあれば電話で受け答えができる。いや、それならAIによる自動音声と一緒だ。人間による対応が求められる理由は、声にならない声を聴く力が人間にしかないからだと思う。
顔が見えない状態で、声だけが頼りだ。パソコンの画面に字幕も出ない。電話の向こうにいる人の声だけで、何に困っているのかを把握しないといけない。むしろ察して先回りして、「お客様の不安はこういうことですね」と引き出さないといけない。やることはたくさんあるのだ。声にならない声を引き出すことができて解決に導くことができた時、はじめて「電話してよかった」と思ってもらうことができる。これが信頼の第一歩となり、何か困ったことがあればいつでも電話してくださいね、という会社のスタンスにつながり、企業が社会から求められ続ける状態につながっていく。
AIによる自動チャットなどで問い合わせをしてもありきたりな答えしか返ってこず、モヤモヤしたことはないだろうか。結局このモヤモヤがなくならなければ、きっとAIは人間の仕事に代わることができないだろう。
ここまで書いてまた一つ思うことは、植物を育てることもまた、AIにはできない仕事の一つであるということ。電話よりもっと難しい、声も出さない、表情もない、ジェスチャーもない植物の状態を見て感じ取って、最適な対処ができるのはおそらく人間の経験と知識と少しの勘が必要だ。AIにはきっとできないことだろう。うまく花を咲かせることができても元気のなさに気づけるのは人間だけだと思う。
そう、人間にしか生き物の状態を見抜くことはできない。AIには「こうしてほしい」という希望を言えば叶えてくれるかもしれないが、声にならない声、または気配、雰囲気、それらに気づくことができるのは人間だけだ。AIには人間の生活をより豊かにしてくれる便利な存在でいてもらう分には十分だ。大げさかもしれないが、人間の代わりを100%できるAIができて、私の電話業務を私以上にできるようになるなら、そのときはきっと結婚相手の選択肢にAIが入ってくるレベルになるはず。人類は途絶えてしまうから、電話業務だけは人間にやらせてほしいと思う今日この頃である。
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