楽しさを芋づる式にほる方法
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:fuku (ライティング・ゼミ日曜コース)
「だからさぁ、どうしてごめんねっていえないわけ?」
「うるさいな、いつも俺が悪いのかよ」
大好きな本屋の日曜日。
お会計待ちのレジ前の行列で若い夫婦が喧嘩をしていた。
周りの目があるから、声は抑え気味ではあるものの、女性の声に含まれてる怒りっぷりはなかなかのものだ。
しまった、と思う。
後ろに並んでしまっていた。
聞きたくもない会話が耳に入ってきてしまう。ネガティブなものに触れるとズーンとテンションが下がる。
引きずり下ろされてるような気持ちになる。
「そんなこと言ってないでしょ。ほらぁ、ベビーカーが当たるってば」
「なんだよ、いつもいつも……」
「黙って。だまーって」
イラついてる奥様に、最終的には旦那さんが黙らされていた。
数年前の私が、まさにあんな風だっただろう。
マザー・テレサの言葉
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
そんなこと言われても、と思っていた。
思考は勝手に進んでいて、気を付ける前に振り回されていた。
学生時代の留学の先で、近隣の人に”What is success?” 成功とは?とインタビューしてくる宿題があった。成功とは?
Success is being happy. 成功とはハッピーであること
アメリカ人の考えにびっくりした。ハッピーであることはいつでも誰でもできる。彼らこそマウンティング社会のように思っていたけれど、それぞれ個人のハッピーをイコール成功と捉えている、その個人が独立していて他人との比較ではない思考が私には予想外だった。
オーストラリアにホームステイした。
冬の時期で、山で雪崩事故が起きて、10人程度巻き込まれて、一人、亡くなられた規模の事故だった。
ニュースや新聞で報道もされた。
オーストラリアの報道では事故被害者のことはもちろんとして、映画のエンドロール、出演した人、関係者の名前が数分に渡って流れる、あんな感じに助けたボランテイアの人たちの名前がズラーっと出ていた。
被害者だけではなく助けた人たちへ光を当てる、そんな時でもネガテイブだけではなく良き行動を評価する、オーストラリア人の考えにびっくりした。
ずっとアメリカやオーストラリアのような、そういう価値観を持った人になりたい、ハッピーでいられる人になりたいと思っていた。
そう思ってから10年後の私は、本屋で見かけたママのように、イライラと怒ってばかりの女だった。
どうしたら、毎日ハッピーな人でいられるの?
この問の答えを出すためにどれだけの本を読んだことか。
答えが見つからずもうこれ以上、どれだけがんばっても、正しい道がわからない。正解がわからない。
苦しくてたまらなくて白旗を上げて、誰かに教えてもらおうとカウンセリングスクールへ通った。
私が通ったのは人を癒すにはまず自分からと、いう考えのスクールでとにかく自分のカウンセリングをまずたくさん行うスクールだった。
おかげで自分の心の癖にも、気づかされた。
なくて七癖あって四十八癖、このことわざは爪を噛むとかそういった癖ではなくて、心の癖を指してるんじゃないかと思う。誰しも心の癖を持っている。
私の場合、本当に自分の心のいらない癖が強くて、出てくる度に悶絶した。
「正解」を探してしまうマルバツ思考も強かったし、他人を信用していなかった。
だから私の「正解」にあてはまらない場合には、まさに本屋さんにいたママのように私は相手を責めていた。
そういえば妹にも怒られたことがあった。
お風呂の浴槽の縁に彼女はよくヘアピンを置きっぱなしにしていた。
錆びるからやめなよと毎回指摘していたが、ある日突然「お姉ちゃんはいつもいつも正しいことばっかり!!」と怒鳴られた。
今思い返しても、浴槽の縁にヘアピンを置きっぱなしにすれば、濡れて錆びて、赤茶色のサビがつく。
まず、これは事実だ。
でも、そこに置くべきではない、という考えはイコール正解、というわけではないのだ。
正解は人の数だけある、私はその事実を分かっていなかった。
きっと妹にとっては、気持ちよくお湯に浸かることの方が、ちょっとお風呂から出てピンを外に置いておくことより重要だっただろう。
正しさの戦いはあちこちにある。
最近はコロナウィルスの影響による、コロナ離婚が増えていると聞いた。
よくあるパターンなのか知らないけれど、ひとつ読んだケースでは夫がコロナウィルスに対しての認識が低くて手を洗わない、という理由らしい。
価値観の違いといえば価値観の違いだけど、私には「正しさ」の押しつけだなと感じられた。
本屋さんで出会ったママもきっと、旦那さんに「正しさ」を押し付けてしまっているのだろう。
カウンセリングスクールを先生の「安心して失敗してこい!」というい言葉と共に卒業してから、私は今まで正解だと思って選んできて失敗したので正解探しをやめて、楽しそうという根拠だけで選択をするようになった。
その一楽しいだけで選んだ選択のひとつに、天狼院でのライティングゼミの参加がある。
きっかけは、池袋で長時間いても大丈夫そうな居心地の良い本屋を探していた。
ホームページを見ていたら何やら色々セミナーをやっていておもしろそう、活字中毒だしちゃんと習ったら楽しいんじゃないかな、それだけで参加をポチった。ライティングで人生が変わるという触れ込みだけれど、もう騙されないもんね、そんなわけないない、と期待すらしていなかった。
でも数ヶ月の講座を終えて見て、通って正解だったと思う。
もちろん上手くはなっていない気がするし、人生もまだ変わっていない。
ただ、希望は感じている。
ずっと理解されたくてもがいていたけれど、自分のサービスが足りていなかったんだと、教えられた。
それに気付いた時、またたくさんの人に、ごめんとうなだれたけれど、もっと練習したらもっと伝えられるかもしれないと希望を感じた。希望は楽しみだ。
それにずっと他人とは理解し合えない理由がわからなかったのも、解き明かされた。
何十冊という心理学の本を読んでも私には納得できなかったことが、するりと分かった。
効果効能ではなく楽しさだけで選択すると楽しみが芋づる式に増えていく。
どうか本屋さんの彼女が楽しさの芋を掘り当てますように。
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