メディアグランプリ

知らずに寝ていたら損をしていた事


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:松下あすか(ライティング・ゼミGW集中コース)
 
 
掃除して洗濯してお弁当を作って自分の支度をして、そしてあっという間に出勤の時間になって。その後満員電車に詰め込まれて出勤、というのが、ついこの間までの私。
 
早朝の景色を知ったことで、世界は一変した。
 
きっかけはSNSだった。朝の4時や5時にウォーキングに出て、素敵な写真をUPしてくれるSNSで繋がっている人々。朝の柔らかな光の中で撮られた風景が、幸せをおすそ分けしてくれた。
 
最初は、そんな時間に自分が起きる事なんて想像もしていなかった。みんな、早いなー、綺麗な写真だなー、なんて眺めていた。朝は忙しいし、何よりそんな時間に起きるなんて無理、そう決めてかかっていた。
 
非常事態宣言が出され、週の半分リモートワークになってみたら、ある日携帯の万歩計が29歩なんて数字を記録した。家の中では携帯を持ち歩いていないから、と言い訳してみたものの、実際の数字もおそらくそうたいして変わらなかっただろう。
 
通勤のための時間が空いてるし、何より気持ちに余裕ができたので、少しでも身体を動かそうと、出勤の無い日には、朝外に出ることにした。と言っても、片道5分ほどのお寺に行くだけなのだけど。
 
今の季節だったのもよかったと思う。日が昇るのが早くなり、ほんの5分、10分で空の色があっという間に変わる。家を出る時間によってまったく違う景色が楽しめるのだ。
 
こんなに空を眺めたのはいつ以来だろう。
 
思えばずっと地面を見て出勤していた気がする。職場のビルは地下街直結なので、家から駅までが唯一の外。地下鉄に乗ってしまえば、地下街経由で職場へ、後は一日中ビルの中だ。
 
一度空を見てしまったら、その後はいつもより1時間、日によって2時間近くも早く目が覚めるようになってしまった。目が覚める時間が早ければ早いほど、外が暗ければ暗いほど、日の出から空の色が変わるまで楽しめる。好きなだけ早く起きて、私だけの朝の世界を堪能する。
 
目が覚めた時が起き時だってだれかが言っていた。だからまだ外が暗くてちょっと早すぎるかなって思うような時間でも、起きてしまうことにした。時間が早ければ早いほど空が綺麗で空気も澄んでいる。淡いパステルカラーのぼんやりした空の色が最近のお気に入り。
 
何も考えずにただぼーっと空を眺める贅沢な時間。思えば、いつも何かをしていないと気が済まなかった。いつでも何か用事を詰め込んでいた。こんな風に何もしない時間があってもいいじゃない。
 
たまに行くお寺の朝の顔も初めて知った。そうか、ここは朝の方が活気があるんだ。
 
門から本堂までは無駄に広いスペースがあり、初詣の時には駐車場になっている。砂利が敷かれた空間が、景観を損ねているようで好きではなかった。それに昼間行ってもだれもいないし、なんてやる気のないお寺なんだ、なんて思っていた。
 
それがどうだろう。読経の声、お線香の香。そっけない砂利のスペースにラジオ体操のために集まるお年寄り。昼間の活気の無さが嘘のように生き生きとしている。こんな早朝に。自分が見ていることだけで決めつけてはいけない、これも新しい発見だった。
 
ただただ家事を片付けていただけの私の毎朝が、こんなに素敵な時間に変わるなんて。やったことと言えば、朝起きる時間を少し早くしただけなのに。最近、空とお日様と木々と仲良しになった。好きなだけ空や花を眺めて帰宅しても、時間はまだたっぷりある。ゆっくりお風呂に入ることもできるし、本も読める。気持ちに余裕ができると掃除すら楽しくなってくる。
 
一人ではおそらく続かなかったと思う。SNSで繋がっている人のおかげだ。みんなの朝の景色を眺め、今日の空も素敵だったよ、と報告することでまるで一緒に景色を眺めているような気持ちになれる。
 
始めは15分とか30分起きる時間を早くしただけだ。たったそれだけのことでこんなに景色が変わるなら、また別の何かを始めてみようかと思う。今度は何を始めよう。次にどんな景色が見えてくるのか楽しみで仕方がない。
大げさかもしれないけど、人生なんて本のちょっとしたことでがらりと変わるのかもしれない。いつもの毎日を少しだけ変えてみる、それだけでいいのだ。他にも今まで見ようとしてこなかったもの、聴こうとしていなかったものがあったはず。自分には縁のないものと決めつけてきたものも沢山ある気がする。
 
早朝の空が教えてくれたもの。それは綺麗な景色だけではなく、人生の変え方だった。
 
一緒に、空を眺めてみませんか。
 
 
 
 
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2020-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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