日本にいながら世界中の名画を楽しむ、どこでもドアをどうぞ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:平野友喜(ライティング・ゼミGW集中コース)
私の趣味は、美術館を巡って絵を楽しむこと。
美術館にいれば、何時間でも絵の世界に浸っていられる。
行きたい美術館は世界中に数多あれど、時間的にも金銭的にもなかなか行けないのは仕方のないこと。
「ドラえも~ん、どこでもドアが欲しいよ~」
どこでもドアがあったら、世界中の美術館を、思う存分楽しめるのに。
絵画好きのそこのあなた、そう思ったことはありませんか?
実は、日本にいながらにして、世界中の名画を楽しめる美術館があるのをご存知でしょうか。
徳島県鳴門市にある、大塚国際美術館です。
大塚国際美術館は、世界中の名画のいわゆるレプリカを集めた美術館で、ここには誰でも知っているような有名な作品しか展示されていません。レプリカなので、触れたり、写真を撮ったりすることもでき、美術館好きにはたまらない、「どこでもドア的」な夢の美術館です。
2018年の紅白歌合戦で、米津玄師さんが「Lemon」という楽曲を歌ったのが、この大塚国際美術館、システィーナ・ホールの「最後の審判(ミケランジェロ)」の壁画の前でした。バチカンのシスティーナ礼拝堂を原寸大で再現したこのホールの、静かで厳かな雰囲気を覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
私が大塚国際美術館を訪れた時も、システィーナ・ホールは、米津玄師ファンの若い子たちで溢れていました。紅白歌合戦の後、システィーナ・ホールには「Lemon」のジャケットとなったイラストの巨大陶板が展示され、それを目当てにたくさんの人がこの美術館を訪れていたのです。
「ね、ね、写真撮って」
「うん。ねぇ、つーか、これって教科書に載ってたやつじゃない?」
「Lemon」のジャケットの横で写真を撮っていた女子高生たちが、その横にあったシスティーナ礼拝堂の説明文を見ながらそう言いました。
「あ、こっちも教科書で見たよね?」
これも見た、あれも見た、を連発しながら、なんだかんだ楽しそうに鑑賞を続ける女子高生。
その時、妙に「世界的名作が一堂に会している美術館っていいなぁ」と思ったのです。実際に、その高校生たちがどんなきっかけで美術館を訪れたかは、私には知る由もありません。おそらく、米津玄師さんの展示を目当てに来たのでしょう。でも、同時に展示されている作品が、あまねく有名な世界的名画であるが故に、高校生や、たとえばあまり絵画に興味のない人だったとしても、飽きることなく鑑賞できるのだと思います。興味がなくても、知識がなくても、多くの人が楽しめる。これが、大塚国際美術館が夢の美術館である理由の一つ目です。
また、夢の美術館である理由の二つ目は、まさに世界の美術館を訪れずとも、国内の、しかも一ヵ所で世界中の名画を実際に鑑賞できるという点です。この美術館には、1000点以上もの作品が展示されているそうですが、たとえば、日本でも大人気のフェルメールの絵画だけで8点も展示されています。
「デルフトの小路」
「デルフトの眺望」
「真珠の耳飾りの少女」
「手紙を読む女」
「牛乳を注ぐ女」
「ヴァージナルの前に立つ女」
「ワイングラスを持つ娘」
「地理学者」
通常、この8点だけでも、本物を見ようと思うとオランダ、イギリス、ドイツの3カ国、美術館の数でいうと5カ所を巡らなければなりません。それを、一ヵ所でまとめて鑑賞できるのは、美術館好きにとって大きなメリットです。レプリカとはいえ、実際の絵画を観ることの高揚感や絵画の前で過ごす時間は、写真や映像では絶対に味わえない、美術館ならではの価値です。私は、大塚国際美術館でレプリカを鑑賞しながら、次に本物を見るならどの作品にしようかと目論んでいます。
また、実際に見てみて驚いたのは、レプリカとはいえビックリするくらいに本物そっくりなこと。これは、陶板と呼ばれる陶器の大きなタイルに、原画をそっくりそのまま再現し、色も大きさも原画と同様になるように作られています。レプリカを制作する過程では、各画家の末裔の方々に、一件一件、許諾をもらいに行くのが大変だったとか。
レプリカでは、通常心配されるような色褪せや作品の劣化の心配がありません。絵画に自由に触れたり、写真を撮ったり、何に制限されることもなく様々な味わい方ができるのは、レプリカならではの貴重な体験です。
さて、そろそろ行ってみたくなりましたか? ここを訪れる際にはぜひスニーカーで。オルセー美術館やプラド美術館に負けず劣らず(ルーブルやメトロポリタンにはちょっと負けるかもしれないけど)とても広いので、一日たっぷりと時間をかけてのんびりするのがお勧めです。
「どこでもドア的」な夢の美術館。
コロナ騒動が収まった暁には、どこへ行こうか。
そうだ、徳島へ行こう。
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